【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

45.

　廊下で交戦状態にあった種田凜乃と椿美咲紀が、後木真央を認める。
『極力戦闘を避ける』という方針の射撃部。
　凜乃はそれをきっかけに退却する。
「ちょっとわくわくするよね」美咲紀に不敵な笑み。「マジでダルいけど」
「取材のご協力ありがとうございました！」それに対し、デジカメを構えて、美咲紀は丁寧に頭を下げる。

　状況の変化を悟った月とねむる。
　退却の時が近づいている。
　逃げられなくなるのは、避けなくてはならない……。

　月は壁にすっくと立つ。
　重力を完全に無視した状態で、１２色のボールペンを構える。
　欠陥品の、まがい物の自分。
　かつてそんな自分を、美しいと言ってくれた人がいた。

　――まるで花嫁のようだ。

　その時のことを思い出し、一瞬、眩しいような目をして……。

　十二の筆を、ねむるに向け放つ。

　血塗られた花嫁！
　十二の軌跡が、銀の光を放って、矩形に描かれた。

　ねむるは月に突進、上体を反らして半分を回避。あとの半分は、両手の拳銃をぶん回し、トンファーの要領で撃ち落とす。
　校舎に迷彩服が、あまりにも異様だ。
　そのまま壁を蹴って跳躍。柱から窓枠、弾丸のように飛び出し、月の至近距離へ。

　戦いにしか生きられぬ、美男と美女。
　二人の顔は間近にあって、次の瞬間、眠るのエアガンが風船めがけて打ち下ろされる！
　風船に向けられた銃口が、火を噴く！
　主武器がペンの月。リーチは長くない。
　コメディエアーで減殺されるとしても、風船を割るくらいは可能……。
　拳一つのリーチを使った、ねむるの強引な戦法……。

　だが次の瞬間、足を薙ぎ払われる衝撃で、ねむるは自分の策が潰えたのを察する。
　月が手にしていたのは……古新聞。
　果てしない、手の読みあいであった。

　ここまでと、踵を返す両者。
　一言も交わさぬながらの、濃密な時間が過ごされた。