【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

44.

　志波武道は、ディスプレイ上の変化に目を止めた。

　――射撃部の様子が、変わった。
　風船破裂の数、交戦数が、ぴたりと減ったのだ。
　要所要所でかっちり戦闘を行っているため、ジャッジも手が出せない……。

　明らかに意味のある変化だった。

　コメディエアーのルールギリギリで、逃走を繰り返す。
　それが、修の選んだ作戦だった。

「まさにルールの間隙をついた、見事な作戦です！」彰尋が絶叫する。

　しかしこの戦法、安易に生み出されたものではなかった。
　その証拠に、見よ！

「かくれんぼしちゃ、ダメだよぅ☆」物陰の少女漫画部を、鶏のクレイ人形、ドリー氏が注意する。

「出てきてー♪　お願いー♪」社会人研究会の裾を、犬のクレイ人形、パド君が引っ張る。

　あちこちで大量に、ジャッジに警告を出される団体が現れていた。

　あわただしくなった審判。
　呉井陽太も、前線に出る。
（ろっこん使っても、大丈夫なのかなぁ？）
　現状でも、ろっこんを使用して状況を見ているがとくに異変はない。
　コメディエアーの影響だろう。
（こそこそっと粘土ちゃん５体を動かして色々やってみたいし……発動させておこっと）
　陽太に指でつつかれると、急に起こされたような感じで、５体の人形が、ううんと身を捩った。

　――セーフ！
　猫のニャッタ君と熊のカスミさんが、ぴこぴこ歩きながら『◎』のプラカードを出す。
　――アウト！
　投げられた兎のウー君が、毅然とレッドカードをさらす。
「レッドカードー！」陽太の指摘に、違反者、黙って頭をかく。
　素早く、的確な判断。
　彼が求められるほど、状況は混乱していたのだ。

　――コメディエアーは生き物。
　状況により、ジャッジの判定基準、濃淡は変化する。
　単に三分時計を見ているだけでは、機微は理解できない。
　とくに前半戦、空気のあったまっていない間、修達は連戦を余儀なくされた。
　そのかいあって、データを膨大に蓄積することができた。
　仮説と検証、そしてバトル。
　うんざりするほどのデータにより、修たちは最適解を導き出したのだ。

　それを可能にしたのは、日暮ねむると種田凜乃、ふたりの戦闘力のおかげだった。

「可能な限り戦闘回数を少なくし、要所要所できっちりボケておく……。イー作戦ダナァ」
　武道は呵々大笑。