供物　～らっかみさんらっかみさんお越しください！～｜リアクション

供物　～らっかみさんらっかみさんお越しください！～

◆Ｎｙａｐｈｏｎｅにおまかせ！

「それが、食べたいものなのね」
　冷静に問いかけるアリシア・エーゼルベルクは欧州の某国生まれの、故郷育ち。中学生のときには、授業で降霊術を学んでいたこともあり、アリシアからすれば幽霊などさほど珍しいものでもないのかもしれない。
「よかったら、メモどうぞ」
「ありがとう」
　恵御納夏朝がまとめた質疑応答のメモを受け取り、さっそくアリシアは推理を開始する。
　夏朝は夏朝で、メモを取って終わりではない。
　ジッと書きだしたヒントを見つめ、考察していく。
（海が綺麗な暑い所、観光客が一杯来るとても大きな街……）
　これならもしかして。
「少し検索してみるね」
　夏朝はＮｙａｐｈｏｎｅ(ニャップル社の最新型スマートフォン！)を取り出し、さっそく検索サイトにキーワードを打ち込んでいく。
　検索→海・綺麗・観光・海外。
　結果→タイ・マレーシア・オーストラリア・ギリシャ・モルディブ・メキシコetc.
「うーん、さすがに色んな所が出てくるなぁ……」
　キーワードの組み合わせを変えてみたり、色々と試してはみるが何ぶん候補地が多すぎる。
「グアムかな、違うかな……？」
　確証を得られないまま、時間が過ぎていく。

「個人的にはこのまま学校に棲んでくれても構わんがな」
　八神修はふふと不敵な笑みを浮かべるが、すぐに素直な笑みにすり替えた。
「けど、貴方が帰りたいのなら協力するよ」

「ドーモ、ドーモ、デス」

　陽気な幽霊に、修は再びまた別の種類の笑みを浮かべるが、ふと大切な質問を忘れていたことに気がついた。
「ところで、貴方の名前は何と言うのですか？」

「アンディ・コプリーだよ」

「アンディ・コプリー、コプリーと呼んでも？」

「ノンノ！　アンディ、イイヨ」

「わかりました。ではアンディ――」
　ついでにもう一つくらい質問をしようと修が口を開いたそのとき、学校中を予鈴が響き渡る。
「……時間切れか」
　修はさほどガッカリした様子もなく、らっかみサン（？）もといアンディに別れを告げ、教室に向かう。
　他の生徒たちも次々に去って行き――
「カレーを何かで包んだり混ぜたりしたものか……な？」
　甫のつぶやきも、予鈴にかき消されたのだった。

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