仲良くなりたい、その２｜リアクション

仲良くなりたい、その２

☆桃井かんな朝

　朝の旧市街。
「小学生、可愛いですねー……あ、あれは」
　屋敷野梢は、登校する小学生の中に知った顔を見つけて自転車を止めた。
　銀髪のボブには可愛いヘアピン。ランドセルからは猫のリコーダー入れが覗いている。
「かんなちゃん、おはようございますー」
　梢は手を振って挨拶する。
　以前、旧市街でかんなを見かけて、一緒にステッラ・デッラ・コリーナまで旅をした。
　名前や住んでるところはそのとき聞いて、意外と家が近いので驚いた。
　こちらに顔を向けたかんなは、ちょっとはにかむように手を振り返した。
「こずえさん、おはようございまーす」
　梢は心からの笑みで手を振って見送る。
「ばいばーい」
（ふふー、いい子で、マイペースで可愛いですよねー）
　あの時、お母さんに書類を届けるため頑張っていたかんなの表情を思い出し、梢は満足げに笑った。
　子どもの純粋さに弱い梢にとって、かんなは守ってあげたいお気に入りのちびっこなのだ。
「おっと、私も学校に行かなくちゃ」　
　梢は三つ編みを揺らし、自転車を押して学校へ向かった。

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