「「ハロウィン特別企画~~~っ♪」」
テレビ画面の中に映し出された風景は、何だか狭苦しくて灰色で、無味乾燥としてはおりましたけれど。
響いた声は底抜けに明るくて、ぐいっとパンしたカメラが映し出す二人の表情はと言いますと……もう、にっこり! これまた底抜けに明るい笑顔でありまして、実に楽しい雰囲気が伝わってくるのです。
ええもう、全然まったく、怪しくなんてないのです。
「さあ! そんなわけで、イケてる男女の眩しい笑顔で始まった番組ですけれども。ねえ。秘子ちゃん! 今夜の番組は、いつもとちょーっと、違うみたいだね?」「んふふっ。ええ、そうなんです、八十八旗さん。今日は何と言っても、ハロウィン! ですので、いつもの『ミッドナイト・フリーキー・ショウ!』とはちょっぴり、趣向を変えまして。いわゆるひとつの、スピンオフ番組! というやつなんですよ~」
画面の下っかわに現れる、二つのテロップ。左の丸い
青バックの上には、『
八十八旗 信彦』。右の
赤丸の上には、『
胡乱路 秘子』、と丸っこいフォントで表示されております。
「スピンオフだって、そいつは一体、どんな番組なんだい秘子ちゃん!?」
「ええ。今回はハロウィン特別企画っ、題して!」
じゃじゃん! 賑やかな効果音の後に、タイトルがばばんっとでっかく現れました。
「『ミ ッ ド ナ イ ト ・ フ リ ー キ ー ・ ツ ア ー ズ』!!」
「本日、わたくしたちが訪れましたのは、この博物館! ここには、八十八旗さん、とっても面白くて変わった品物たちが、た~っくさん展示されておりまして」
「へぇぇ、一体どんなものが展示されているんだい、秘子ちゃん?」
「それはですね~……んふふ! 見てのお楽しみです」
ぽけん、ってコミカルな音が鳴って、信彦くんがずっこけました。
「どんな風に変わっていて面白いかは、実際に見て、確かめていただくことにいたしまして……八十八旗さん?」
「うん。実は今日はね、この番組を見てくれている視聴者の皆に、サプライズなプレゼント! があるんだよ」
にんまりと笑った二人。
カメラはぐいーん、と信彦くんのバストアップを抜きまして、きらりん! 爽やかに光る、彼の白い歯がとっても眩しいのです。
「今日は特別企画、ということで。なな、なんと! 視聴者の皆をこの博物館?に、20名様に限りご招待しちゃうよ! それでもって秘子ちゃんの案内で、一緒に楽しく館内を見物しながらおしゃべりでもして、『MFS!』ファンの皆と交流を深めよう、って寸法なのさ!」
画面は変わって、秘子のにんまり笑顔。
すいっと掲げた手のひらの向こうには、なんか灰色のロッカーみたいなものとか、飾り気の無い金属の棚に収められたガラクタのような物品ですとか、良く分からないものが映し出されておりますけれど。何というかどちらかと言えば、どこかの
倉庫のような場所ですけれど。
彼女いわく、博物館!だそうです。
「さてさて、気になる参加方法だけど。秘子ちゃん?」
「はーい。わたくしとご一緒に、この博物館!の中を見学してくださるという方は、こちら!」
両手の人差し指でもって、ぴっ! と秘子ちゃんが差しましたのは、自分の頬っぺた。うっすら開いた口の中で、にちゃーって、唾液が糸引くのが見えました。
「わたくしのこのカワイイお顔をじーっと見つめまして、『俺も行きたい!』『私も行きたいわ!』と強く念じてくださいませ。そうしたらわたくし、皆さまをお連れいたしますので」
「受付は、今から約10分間! 深夜なので、あて先はお間違えのないようにお申し込みください! 俺のハンサム顔に祈っても、お迎えには行けないからあしからず!」
ちゃーらりーらー、ちゃらりらりーらー。なんかこう通販番組みたいなノリで、テロップがぱっと表示されました。
『ツアーへのご参加をお申し込みの方は、こちらのあて先まで、お念じください(強く)』って、秘子ちゃんのドアップと一緒に。
「ぜひわたくしと、楽しい一時をご一緒くださいませ。んふふっ♪」
「ちなみにせっかくのハロウィンだし、仮装しての参加も大歓迎! 例えばー……」
「こーんな感じとか」(協力:宇佐見 満月)「こーんな感じでね!」(協力:黒兎 都)
最後に、ずば! と信彦&秘子は両手をこちらへ伸ばして、満面の笑顔を浮かべまして。
視聴者の
あなたへ、にっこり笑いかけながら、声を揃えて呼びかけました。
「「皆さまのご参加を、お待ちしておりま~~~っす♪」」
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドでは八十八旗 信彦さん、それに宇佐見 満月さんと黒兎 都さんにも、番組へゲスト出演していただきました。ありがとうございました!
(皆さんはノリノリでご協力いただけたのかも知れませんし、何かカンペとか台本みたいのを読んでたのかも知れません。
またこの後さらっとお帰りいただいたことにしても、一緒に見物に回っていただいても構いませんので。
もしこちらにご参加いただける場合は、そのあたり含めましてご自由にどうぞ!)
今回のシナリオの概要
今回のシナリオを、なるべく端的に分かりやすく一言にまとめてみますと、
『胡乱路 秘子と行く・謎の博物館見学ツアー!』となります。
この、秘子いわく『博物館!』には、いわゆる超常現象的なアイテムが数多く収蔵され、管理されているようです。
これらのアイテムは、ちょっと不思議な、あるいは奇怪な現象を起こすようなものから、中には見る者の命に関わるような、極めて危険度の高い現象を起こすものも時には含まれており、そういったものは厳重なセキュリティのもとに隔離されていたりするとのこと。
今回はそんなアイテムがたくさんな、不思議な博物館?を、胡乱路 秘子ちゃんの案内とか解説とかを聞きつつおしゃべりも交えて、一緒に見学しよう! ということになります。
ご自分から参加を申し込んでいただくのはもちろん、別に参加したくないというPCさんでも、テレビを見てたらいつの間にか参加させられてた、とかでも構いません。
どなたでも、お気軽にご参加くださいませ!
アクションでできること
不思議なアイテムたちのうち、今回は特に秘子のオススメ(【1】【2】【3】)の中から1~2つをお選びいただき、見学していただきます。
または、館内には他にも無数のアイテムがありますので、何かしら妙なものをご自分で見つけていただいたり(【4】)、目的を定めず館内を散策していただいても構いません(【5】)。
各種アイテムについては、秘子が何かしら特徴を説明してくれたり、ものによっては実際に触れて体験することもできます。
ちなみに館内のいかなるアイテムであっても、持ち帰ることはできません。あしからず。
以下は主なアイテムの名称と、そこに付随されている資料らしきものの内容です。
【1】FO/A-15473『過剰演出マイク』
・まず本FO『15473』はカテゴリAに分類されており、周囲へ何らかの直接的な破壊を
もたらすものでは無いことが確認されているものの、非常に他者の耳目を引きつける現象を
引き起こすため、発見者は速やかな回収及び状況の隠蔽を徹底する必要性を自覚するべきである。
・『15473』は、何の変哲も無い無線ハンドマイクの形をしている。
内蔵の電池によって動作し、スイッチを切るか電池が切れれば現象も発生させないことが確認
されている。
・『15473』はこれを使用する者の歌唱力を、客観的な評価において素晴らしいものへと
変化させる性質を持つ。
これには当人の本質的な歌唱力に依存せず、常に一定の『素晴らしさ』が保障される。
・またこの時、『15473』は使用者を中心とし、スポットライトやネオンなどの光学現象、
バックミュージックやコーラス、観客の歓声などの音声現象を発生させ、使用者の歌唱を全面的に
演出する性質を持つ。
※なお、ある保守点検担当者が密かに本FOを使用し、深夜にミニライブを開催していた件に
ついては、既に担当者を更迭処分済みである。
【2】FO/D-00092『うそつきねこったー』
・FO『00092』は、主に携帯電話やスマートフォンと言った携帯端末のデータ内に発生または
出現し、自らを短文投稿型交流アプリケーション『ねこったー』へ偽装する。
また、内部にこのFOの存在が認められた携帯端末そのものを指して、『00092』と呼称する。
・『00092』のアプリケーションを起動した者が『ねこったー』のアカウントを所有している場合、
『00092』は当人のアカウントを操作し、所有していない場合はアカウントを自動的に登録した
上で、当人の自画像つきの7つの短文を投稿する性質を持つ。
・短文及び画像はどれも当人のプロフィールや行動に関するごく個人的な情報であり、そのうち
6つは正しい情報であるが、1つは全く事実と異なる誤情報である。
・誤情報の内容は使用者によって多岐に渡り、明るい話題や楽しい行楽風景であったり、当人が
社会的な損害もしくは著しいイメージダウンを被るような内容であったりと、現状ではそこに
何らかの法則性を見出すには至っていない。
※なおこれまでに、本FOの保守点検担当者が興味本位から『00092』を起動し、人間関係に
おいて深刻な破綻や軋轢に追い込まれるケースが数件ながら発生している。
担当者は十分に留意し、節度ある作業態度を心がけること。
【3】FO/H-02828『レンズ・キャッツ』
・FO『02828』は、眼球に当たる部位にカメラのレンズ、尾の先に電波送信用のアンテナを
備えた、ツヤの無い真っ黒な毛並みを持つ猫のような生物である。
・レンズで撮影した映像を、アンテナでどこかへ送信する性質を持つと考えられるが、送信先は
現時点では不明。
・また『02828』は、自身の姿を光学的に隠蔽する能力もしくは機能を有しており、自身が
他者からの観察の対象となった場合、高い頻度でこれを使用する。
・なお、我々が捕獲に成功したこの一体に限らず、他にも無数の『02828』の存在が報告されて
おり、我々が常に見えない『02828』によって撮影され、どこかへ情報を送信されている可能性を
否定できる根拠は無い。
・現時点でのカテゴリレベルはHに分類されているが、これは暫定的なものであり、今後の動向に
注視しつつ、現象の進行に応じてカテゴライズの再審査を検討する。
※収蔵・管理には、『第14隔離観察室』の使用を許可する。
※なお保守点検担当者は、『02828』が活動停止しない程度のエネルギーを常に供給するため、
一日二回所定の時間に、清潔な容器に移した『ねこまんマグロ』『ササミだニャン』のいずれかを
50g程度と少量の水を用意し、観察室へ投入すること。
【4】他のアイテムを探してみる(オリジナルアイテムを考える)
何かしら奇抜なアイディアをお持ちの方は、オリジナルの超常アイテムを考案してくださってもOKです。
その際は、適当に『○○のような形で○○といった性質を持っている』等の特徴を書いていただければ、↑のような注意書きをこちらででっち上げますので。
なお、内容はどんなものでも構いませんが、あまりにも規模の巨大な現象や致命的な結果を引き起こすアイテムについては、厳重に隔離されているものをガラスごしに見学し、秘子の解説を聞くに留める、といった形になるかも知れません。
【5】適当に館内を散策する
目的を定めず、ぶらぶらと館内を歩いていただくということもできます。いわゆるお任せコースです。
この場合は、誰かと一緒に上記のアイテムのいずれかを見学することになったり、あるいは別の変わった何かを発見したり、といったこともあるかも知れません(内容は指定できません)。
アクションには、
・どのアイテムを見学する? 何が起こる?
・参加に当たっての心情
(不思議現象大好きでノリノリ、怯えて混乱しながら、積極的に触ってみる、など)
・胡乱路 秘子への印象、対応
(常に警戒しながら、親しげに話しかける、など)
と、いったあたりをお書きいただければ。
『ミッドナイト・フリーキー・ツアーズ!』とは?
謎の深夜番組、不可思議で不条理な出来事と、それに関わった人々の行動や、その顛末などが紹介される『ミッドナイト・フリーキー・ショウ!』のスピンオフ番組。だそうです。
このシナリオ内で描写された出来事は、現実に起こったことかも知れませんし、あくまで番組内でのことであり、現実には起きなかったことかも知れません。
このシナリオ内で、ご自身のPCが体験した出来事について、プレイヤーさんは実際に起きたこととして設定に組み込んでいただくことも出来ますし、番組上の演出や架空の出来事だったとしても構いません。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
『ひと』、『もれいび』のいずれかも問いません。
●舞台
数々の超常現象的アイテムを収拾・管理している、博物館?が舞台となります。
中はかなりの広さがあり、普通に物品を納めてある棚が並んでいる一角もあれば、ケースに収められて触れられないようになっていたり、防弾ガラスを張った部屋に厳重に隔離されていたりするものもあるようです。
ちなみに、この博物館? が一体何なのかは、今回のシナリオで明らかになるのかどうかは分かりません。
●NPC
○胡乱路 秘子
謎の深夜番組に登場し、そのストーリーテラーを名乗るアヤシイ少女。今回は出ずっぱりです。
何かしらプライベートな質問を投げても構いませんが、都合が悪そうなことはするっとはぐらかされてしまうかも知れません。
●備考や注意点など
※上記に明記されていないNPC、及び今回のシナリオには参加していないPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になりますー。不思議で奇妙で素敵な楽しい一時を、秘子ちゃんと一緒に過ごしませんか?
というわけで、皆様のご参加をお待ちしております~。んふふ!