「ふわぁぁ……もう朝か」
目覚めると、
橘 勇は寝ぼけまなこでウトウト。しばし布団の中で身じろぎした後に、どうにかベッドから離れました。
いつもと同じ朝、いつものように身支度を整えて、いつものように学校へ行く準備を済ませて。
いつもと同じように、玄関の扉に手をかけたところで……彼は今日という日が、いつもとは少し違っているということに気付きました。
「ん? 何だ、ドアが重い……?」
がちゃり、と無理やりにそれを開いたところで。
ザバーーーーーーン!! ドドドドドドドド!!
「!? な、水が……がぼがぼがぼがぼっ!?」
水です。大量の水が扉の外から押し寄せて、凄まじい勢いで、家の中へと流れ込んでくるのです!
しかもこの水……塩っ辛い!?
「か、
海水だと……!? 一体なぜ、というか溺れ……ッ!! ………………あれ?」
瞬く間に、とぷんと海水で満たされた家。けれど勇は、その中でぷかぷかと水中を漂いながらも、
「声が出るぞ。呼吸も、できる……?」
普段と何ら変わらず、息を吸って、吐いて。しゃべることまでできるようです。
これは一体……?
「やれやれ、また神魂か……」
ふと、どこからか聞こえてくる声。
「どうやら一晩で、
寝子島が海中へ水没してしまったようだぜ」
どうにか手足を動かし水をかいて、勇がドアの外に出てみれば……そこは一面、海の中。
ゆらゆらと泳ぐ小魚たちの群れは、海面から届く日の光を浴びて、鱗をきらきらと輝かせ。踊るようにくるり、くるりと見事なフォーメーションを披露してこちらを誘う、人懐っこいイルカたち。
青い水中に身を横たえる寝子島をデコレートするのは、海流にそよぐカラフルな海草たちに、広がるサンゴ礁。
美しく幻想的な風景が、勇の目の前にはありました。
「ま、一日も経てば、すっかり元通りになるだろうよ……それまでは、せいぜい楽しむこったな」
と、無責任な言葉を残して、それっきり声は聞こえなくなってしまいましたけれど。
「……楽しむ、か。まぁ、それも良いかもな」
落ち着きを取り戻し、きゅ、とネクタイを締め直しながらそうつぶやくと、口から漏れ出た泡が、ぷかりぷかり。海面へと向かって登っていきました。
溺れてしまう心配が無いのなら。この際割り切って、寝子島での
海中遊泳を満喫してみるというのも、確かに案外、悪くは無いのかもしれません。
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドへは、橘 勇さんにご登場いただきました。ありがとうございました!
このシナリオの概要
今回は、突如海の中に没した寝子島で、海中遊泳を楽しもう! と言うシナリオになります。
この現象は神魂の影響であり、海中にありながら、呼吸や会話に支障は無いようです。水圧の影響などもありません。
それ以外は概ね、素潜りをしているような感覚です。
水没した寝子島は美しい海の底にあり、建造物などはそのまま残されていますが、シナリオ参加者以外に人気はありません。
代わりに、そこらじゅうを色彩鮮やかな魚たちが泳ぎまわり、あちこちをサンゴ礁が覆っています。
水の深さは、九夜山のふもとから上がぽっかりと海面へ出るくらい。海上は晴天で、明るい日の光が帯状に海中へ差し込んでいます。
水温は南国の海のように暖かく、快適です。
なお、テオくんの言う通り、一日くらいで(シナリオ終了後に)元の状態に戻りますので、特に解決を試みたりしなくても大丈夫みたいです。
束の間の夢ということで、細かいことは気にせず、楽しんでください!
アクションでできること
アクションは、こちらで用意したシチュエーションを選んでいただく(【1】~【3】)か、または寝子島の中で自由に場所を指定していただくことも可能です(【4】)。
自分のやりたいアクションに合わせて、該当するものをお選びくださいませー。
【1】寝子島高校でイルカと遊ぶ
海中へ沈んだ寝子高の校舎周辺に、イルカの群れが集まっています。
彼らはとても人懐っこく、人間を見かけると喜んで近寄ってきます。どうやら遊んで欲しいようです。
そのへんに浮かんでいる運動部のボールで遊んだり、一緒に校舎の中へ入って探検したり……思い思いに、イルカたちと遊んでみてください。
【2】星ヶ丘珊瑚礁を見物する
星ヶ丘地区一帯は、建造物の合間をびっしりとサンゴ礁が覆っていて、小魚などがそこを棲家にしています。
きらきらと日の光に輝くような美しい風景の中を、自由に泳ぎまわり楽しんでください。
【3】寝子電スタジアムの真珠ザメを追い払う
海の中には、危険な生き物だっているのです。
シーサイドタウンにある寝子電スタジアムの中は、凶暴な真珠ザメたちの縄張りになっているようです。
うっかり迷い込んでしまい襲われたり、それを助けようとして飛び込んだり……きっかけはともかく、何とか追い払ってください。
【4】自由に海の寝子島を楽しむ
その他、寝子島の中でしたら、お好きな場所を指定していただいても構いません。
海に沈んだ自宅の様子を見に行ってみるとか。エノコロ岬灯台のてっぺんに泳いで登ってみるとか。何でもOKです。
※ただし、モノによっては採用されない場合もあります。あらかじめご了承くださいませー。
アクションには、
・状況に対しての心情
(驚き戸惑っている、割り切って楽しむ、など)
・泳ぎは得意? 苦手?
・どこに行って何をする? 何を見る?
といったあたりをお書きいただければ。
なお先述のように、今回の現象は時間経過で元に戻りますが、そのことについてPCさんが知っていても構いませんし、知らないことにしてもOKです。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
●舞台
一時的に水没した寝子島が舞台となります。
沈んだ建物の合間を色鮮やかなお魚たちが泳いでいたり、あちこちにサンゴ礁が広がっていたりします。
基本的に穏やかで美しい海ですが、時折危険な生き物などもいるかも知れません。
●NPC
○相原 まゆ
寝子島高校の体育教師。水泳部の顧問。
イルカたちと一緒に、楽しそうにボール遊びに興じています。いつもよりちょっぴり、はしゃぎがち。
○寝子 サンマ
寝子島観光大使。文字通り、水を得たサンマさん。
星ヶ丘珊瑚礁を優雅に泳ぎ回り、彼を慕う小魚ちゃんたちと戯れています。
○二宮 風太
寝子島小学校の生徒。いつも元気で純粋な少年。
寝子電スタジアムにて、タチの悪い真珠ザメに絡まれています。た、助けてー!
●備考や注意点など
※上記に明記されていないNPC(テオ含む)、及び今回のシナリオには参加していないPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になりますー。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております!