パートナーと一緒にモンスターを退治しながら愛情を育んでいくオンラインゲーム『ニャンアイふぁんたじー』略して『ニャンふぁん』
知名度が低く遊んでいる人自体は少ないものの、パートナーキャラクターの容姿や性格が細かく設定でき、イラストも美しく、恋愛イベント時のスチルが豊富で一部の人間から熱狂的な支持を得ている。
そんなニャンふぁんの夏イベントが明日に迫ったその日、何故かイベント特設ページへのリンクが既に出来ていた。
バグ? それとも日程が前倒しになったのか?
浮かぶ疑問をそのままに、イベントページをクリックする。
イベント予告のページでは、パートナーキャラクターが水着姿で「最高の夏を楽しもう!」と笑顔で言っていたのに、イベント名は『呪われたクワ病院から脱出せよ』となっている。
どうしてこうなった。あのイベント予告は何だったのか。それともニャンふぁんのキャラクターは水着で廃病院を探索するのか。
ツッコミどころが満載のイベントページに軽い頭痛がしてきた時、急に視界がグニャリと歪んだ。
パソコンの画面に吸い込まれるような感覚に目を閉じ、恐る恐る目を開けばボロボロの廃病院の入り口に立っていた。
二次元の世界にようこそなんて夢のようだが、パートナーキャラクターの姿はどこにもない。
更には、主人公のサポートをしてくれる、モールス信号で会話をする純白の猫『モルニャン』の姿もない。
モルニャンは猫好きでなくとも悶えるほど可愛い見た目をしているのに、主人公にかける言葉が冷たすぎて、一部の人の間では崇拝の対象となっている。
一部の選ばれし属性の人間ではないため、モルニャンがいなくともダメージはないが、パートナーキャラクターがいないのはいただけない。
この世界に来た意味について悶々と考えていると、視界の端に白い何かが映った。
『目標:屋上へと行き、クワ病院から脱出する』
頭の中に響く機械じみた声に顔をしかめつつ、横でチラチラと動いている白いものに目を向ける。
どこからどう見ても患者な半透明な幽霊が、こちらを見つめていた。
その姿は、美麗なキャラクターイラストに定評のあるニャンふぁんとは思えないほど現実味のある怖さがあった。
今回はホラーバトルと微恋愛、ほんの少しコメディ風のお話になります。
……嘘です。ほぼコメディです。
でも、ラスボス戦の難易度は高めです。作戦を立てない限り倒すのは難しいです。
ニャンふぁんでは、自分のキャラクターの性別を選ぶ事ができます。
性別は特に指定がなければPCと同じ性別とします。
別の性別を選択しても構いませんが、選択した性別を元に恋愛イベントを行いますのでご注意下さい。
性別選択によって女体化・男体化する事はありませんが、服装は変わります。
男性の場合は、着るのも脱ぐのも難しそうなゴテゴテの装飾がついたゴシック服。明らかに戦闘に向いていない動きにくさ。
女性の場合は、フリルやリボンが可愛らしいゴシック調のロリータ服。スカートは膝上20cmのミニ。
スパッツ? そんなものは あ り ま せ ん 。
ただし、ガールズ・シークレット(乙女の暗黒聖域)によってスカート内部は闇の力で守られます。
恋愛イベントですが、パートナーキャラクターがいないため、PC同士でのイベント消化となります。
イベントは基本的に選択した性別が男女の間に成り立ちます。ただし相互了解があれば同性同士でも可能です。
相手を励ます、助ける、庇う等の軽い恋愛イベントのみが用意されていますが、GAを組んで了承が取れている場合に限り、濃い恋愛イベントも可能です。
使用武器
拳銃に刀、ナイフに弓矢など、武器として使用できそうなものなら何でも1つだけ選択可能です。
ただ、どんな武器でも威力自体はさほど高くありません。
全ての武器には聖なる力が働いており、霊にしか効きませんので、味方に攻撃判定はありません。
ろっこんも使用できますが、威力は大分弱くなります。
また、ろっこん使用によってバグが発生する可能性があるため注意が必要です。
→性別が急に変更になる、服が物凄くセクシーになる、攻撃時に一々謎の技名を言わないといけなくなる等
戦闘不能
ニャンふぁん内では体力判定はなく、疲れる事もありません。
敵から攻撃を受けても痛みを感じませんが、一定以上の攻撃を受けるとダウン状態となり戦闘不能になります。
戦闘不能時は仲間から応援してもらう事によって復活できますが、強制的に恋愛イベントとなります。
クワ病院
廃病院になって長く、全体的にボロボロです。
1階は入り口ホール部分以外は謎の力によって閉ざされており、ホールに開いた巨大な穴から地下と2階に行けます。
地下で入れるのは実験室・霊安室の2箇所、2階は管理室・食堂の2箇所のみです。
他の部屋は、扉を開けようとしても『見えない力で閉ざされている』となります。
屋上へ行くために
地下の実験室と2階の管理室でそれぞれ謎のボタンを押してエレベーターを起動させる必要があります。
壁に埋め込まれているバレーボール大の赤いスイッチを押す勇気が試されます。
屋上
聖水入りのドラム缶が六個転がっています。一定ダメージを与えると何故か爆発し、周囲に聖水が飛び散ります。
敵キャラクター
・患者の霊
無限に出現します。体力・攻撃力共に低いものの、一度に出現する数が多いため囲まれると厄介です。
複数で掴みかかって攻撃してきます。
全ての階に出現します。
・看護師の霊
2体のコンビで出現し、一度倒してもすぐに復活します。体力は低いですが、攻撃力はそこそこあります。
メスを飛ばして攻撃してきます。近づくと掴みかかってきます。
2階にのみ出現します。顔さえ見なければ、思わずドキっとしてしまうほどスタイル抜群です!
・医者の霊
3体出現します。体力・攻撃力共に高く、一度倒しても一定時間経過後に復活します。
緑や紫の液体が入った注射器を飛ばして攻撃してきます。紫はまともに当たるとダウンしてしまいます。
地下と屋上にのみ出現します。
・朱里(じゅり)の霊
ラスボスと呼ばれる存在で、赤い洋服を着た女の子の霊です。
体力・攻撃力共にとても高く、スピードは瞬間移動なみです。
黒い靄のようなものを飛ばしてきたり、自分の周囲に衝撃波を出して攻撃してきます。
攻撃を避けるように動く癖があります。一定ダメージを与えると怯みます。
朱里出現時に医者の霊3体と患者の霊複数が同時に出現するため、いきなり難易度が跳ね上がります。
聖水入りドラム缶の攻撃を五個確実に当てれば除霊出来ますが、当てるためには作戦が必要です。