「ちょいとそこゆく人間の方! 少しばかり、お時間拝借してもよろしいですか?」
「はい? なんッスか」
京極 花音を呼び止めたのは、この寒空に額へにじむ汗をしきりにハンカチで拭う、恰幅のよい中年男性だった。
あまり足を止めてくれる者もないらしく、男は花音が尋ね返したのをいいことに、一方的にしゃべり始めた。
「私、霊界『花緑青ツアーズ』の、化けムジナのポン助といいまして。ムジナってのはアナグマでね、ところによっちゃタヌキやハクビシンとも同類視されてたり、いろいろなんですがね」
「はあ……」
「最近は霊界にも人間の観光客が訪れることが多くなりました。ありがたいことですよ。そこで私ども、新しい企画を考えまして……その名も『おいでませ人間さま、霊界弾丸ツアー』!!」
興奮気味に語る男の話を要約するに、こうだ。
あやかし……おばけやら幽霊やら、人外の者たちが暮らす霊界なる世界があり、近頃そこへ迷い込む人間たちが増えている。ならばいっそのこと彼らを迎え入れ、霊界の良さを知ってもらおう。楽しんでいただこう!
強面に反して人の好い花音も、思わず眉をひん曲げた。怖いのは苦手なのだ。
ちなみに彼は霊界へ
行ったことがあるのだが、気づいているやらいないやら。
「いや、俺はそういうのはちょっと。よくわかんねーけど、遠慮しておくッス」
と明確にお断りをするのだが、ポン助という男は少々強引で押しが強いたちらしい。
「まあまあ。最初は皆さんそうおっしゃいますがね、霊界じゃあ人間の世界には無いようなそりゃあ珍しくて面白いモンがたくさん見られますんでね。一生に一度の体験ってやつですよ!」
「いや、霊界とか興味ねぇってか、どっちかっつーと行きたくないんで……」
「まあまあまあ。人間さんの寿命ってやつは短いんでしょう? 感動体験、しなくっちゃあ。いやぜひするべきだ! このチャンスを逃しちゃあいけませんよ!」
「いや、だから俺は」
「まあまあまあまあ! ここはひとつ、騙されたと思って! ね!」
その後もしばし行く、行かないと攻防を続けた末に。
「……俺はいやだって言ったのに」
結局、花音は霊界、花緑青駅前に佇んでいた。
これから霊界弾丸ツアーとやらに出発するとのことだが、
「う、うおおおお!? お化けが! 幽霊が!! ひいいいい!!」
前途多難である。
しかし周りを見れば、同じようにここへ連れてこられた人間たちのツアー客もいるし、フレンドリーなあやかしも参加してたりするらしい。
ここはひとつ、割り切って楽しんでみるのはいかがだろうか。
高城ヒトです、よろしくお願いいたします。
京極 花音さん、ガイドへご登場いただきましてありがとうございます。
ご参加の際は、自由にアクションをお書きください。
概要
霊界の観光スポットをめぐるツアー旅行に参加するシナリオです。
ツアーには、『花緑青ツアーズ』のスタッフに勧誘されたり、自分から申し込んだり、
気がついたら勝手に参加させられていたりします。
主なターゲットはひと・もれいびですが、ほしびとやあやかしももちろん参加できます。
今回めぐるスポットは、以下のとおり。
重点的に見たいところを1~2つお選びください。
★花緑青駅前広場
霊界でも最も近代的な駅ビルで、ホテルやカフェ、その他様々なおばけ施設もあり。
★千年鳥居
千とも万とも言われる、無数の鳥居が連なる長大な道。圧巻の光景で人気のスポット。
★瑠璃紺逆さ屋敷
空に浮かぶ荘厳なお城。重力が狂っていて、逆さになったり横になったり。迷宮のよう。
★鉄紺洞遺跡
巨大な洞窟の中に残された、大昔の遺跡。コロポックルが住み着いていて、歓待してくれる。
★霊界遊園地
刺激的なおばけアトラクションがいっぱい。空飛んだり、壁をすり抜けたり、天地が逆転したり。
★浅縹温泉
霧の中に消えたり現れたりする幻の温泉。入ることができれば大ラッキー。景色も素敵。
どのスポットでも、あやかしに驚いたり驚かされたり、ちょっと怖い思いをしたりするかもしれません。
お化け屋敷や心霊スポットへ出かけるつもりで、お楽しみください。
どなたでもお気軽にどうぞ!
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
以上です。
ご参加をお待ちしています!