ああもういやだ。
どうして自分ばかりこうなのだ。
ねこでんが好きで、この会社に就職することができたのに。
どうして、自分にばかりこうやっかみ的なクレームが来るのだ。
「毎日毎日毎日、俺ばかりを狙い撃ちするかのようにクレームしてきやがって。俺が何をしたっていうんだ!」
全てのストレスを解放するかのように、自室を荒らす。
結局こんな事をしても、後片付けでさらにストレスをため込むことになるのだが。分かっていても感情にまかせた行動は止めようがなかった。
「クソッ! ルールもマナーも悪いのは利用者の方だってのに、注意一つしたら鬼のようにクレームとか、頭おかしいんじゃねえの!?」
荒れた部屋に座り込み、安酒を一気に飲み男は独りごちた。
『ジャア、ソンナヤツラダマラセヨウゼ』
男の愚痴に呼応するようにぬるりとした囁きが聞こえた。
胡乱げな視線で男は目の前にいつの間にか立っていた、自分そっくりの奴を見上げた。
疑問はなかった。酒に酔い幻視し、幻聴まで聞こえていたのだろうと思ったからだ。
そいつが攻撃的な笑みを浮かべながら囁く。
『スッキリシヨウゼ。アイボウ。コンナクサッタセカイ、カエチマオウゼ?』
甘美で退廃的で、非生産的だが、とても魅惑的なその言は男の心を揺さぶるには効果的だった。
それは、心の奥底で望んでいた男の本心でもあったからだ。
生産性のないクレームばかりを送りつけるクソ共に、この世の恐ろしさを思い知らせてやりたかった。
それでもなけなしの理性がなんとか男を押しとどめていた。
「はっ、んなことできるわけないだろ……。こうやって酒飲んで愚痴るのが関の山だ」
『オレニマカセレバイイサ。スベテノフクシュウハオレガヤルヨ』
「それじゃ意味ねーだろ」
『ナアニ、オレハオマエノ“シャドウ”サ。ツマリオレノイチゲキハオマエノイチゲキダ。オーケー?』
「わけわかんねーが。まあいいさ。そんかわり俺は見てるだけでいいんだな」
『ソウダ。オマエハソバデミテイレバイイ。アンシンシロ、カオハバレナイヨウニカクス。オレハオマエデ、オマエハオレダカラナ』
「もういいよ、お前の好きなようにやればいいさ」
考えることが面倒になって、男は投げやりに言った。
『マア、キョウハモウオソイ、アシタカラヤロウゼ。ソンデスッキリシヨウゼ、アイボウ』
これは男がもれいびとして覚醒した夜の話だった。
翌日から行動を開始した男は、非番の日を用いて粛正だとほくそ笑みながら、男にクレームを付けてきた奴らを片っ端から攻撃していくのだった。
初めまして、もしくはお久しぶりです。来宮です。
今回は毛色の違う「種族:もれいび」限定のシナリオをお届けいたします。もれいびなら学生社会人問わず参加することができます。
ただし、「種族:ひと」PCは、参加したとしてもリアクション中に描写はありません(居なかったものとして処理されます)。ご了承ください。
このシナリオで「ろっこんに無自覚なもれいび」だったが「ろっこんに自覚したもれいび」になるよーというような人は遠慮なくご参加ください!
PCとしてとれる行動は大きく分かれて2種類程度になります。他にも細々した物はありますが大別してそれくらいです。それが以下になります。
・ろっこんの発動者を止める
・ろっこんから出てきた“シャドウ”を倒す
早速状況説明です。
現在被害者は三人です。
一人目、男にやっかみのようなクレームを付けまくる女性
二人目、寝子島シーサイドタウン駅構内にゴミやタバコの吸い殻を捨てていく男性
三人目、待合室やトイレといった利用者の多い場所でたむろし、他の利用者に迷惑をかける学生集団のリーダー的男子学生
どれも日常生活に多少支障が出る程度の怪我ですが、被害者全員思うところがあるのか大事にはなっていませんが、重度のクレーマーや迷惑行為を平然とやってのける人たちばかりが標的にされています。
やっていることは正しいことかもしれませんが、ろっこんを悪用しての行為のため、皆さんにはこの男をとめて頂くことになります。
三人に粛正を加えることができ調子に乗った男は、人目につくところで四人目に襲いかかろうとしたところで皆さんに見つかります。
男の誘導、その他諸々が済んだ状態――人目にはつかない状態から状況が始まりますので、ろっこんの能力を遺憾なく発揮することができます。
戦闘開始場所は、シーサイドタウンの人気のない路地になります。
敵の男の攻撃手段等は以下になります。
・攻撃的な本能が刺激されているのか、理性的な思考はあまりしていません。本人の口から出てくるのは暴言や罵倒の言葉が多いですが、直接的に暴力を振るう事はしません。興奮状態が収まると会話が成立しやすくなります。
“シャドウ”の攻撃手段は以下になります。
・直接攻撃を多用し、近くに落ちている武器になりそうな物を振り回します。会話は成り立ちません。
・またある程度時間が経過すると、男が指示を出し始め連携プレイをするようになります。
PCが得られる情報は以下になります。
・敵の男の名前が「くさかべ」という名前であること
・寝子島シーサイドタウン駅北口の窓口に常駐している、目つきが悪く、口調も荒いが仕事をしっかりしている人
・改札口付近でよく客から文句を言われている姿を見かける
という程度の情報しか得られません。これらは知っている体で話を進めて大丈夫です。
プレイヤーにお知らせする敵情報は以下になります。
名前:草壁誠也(くさかべせいや)
年齢:27
職業:駅務員
特性:本人に悪気はないが、よくクレームを付けられる。
性格:口調等荒い部分はあるが、無遅刻無欠勤、周辺の観光スポットに詳しく案内は丁寧。
幅広い年齢層、趣味層に対応できる話題も豊富だが、いかんせん普段の雰囲気が近寄りがたいくらいに怖い。
そのせいでクレームの対象になっていることに本人の自覚がない。
典型的に雰囲気で損をしている人。
迷惑行為を行う人への敵愾心は人一倍強い。
ろっこん名:もう一人の自分“シャドウ”
ろっこん詳細:ストレス値が一定値を超えると発動する。召喚される範囲は使用者を中心に半径30m以内の視界内。
攻撃的な本能しか持ち合わせていないもう一人の自分を召喚する。
“シャドウ”がある程度攻撃をうける、
もしくは、一定以上の攻撃をしろっこん使用者本人のストレス値がさがれば自動消滅する。
今回は皆様のアクション次第でエンディングが三種類に分岐します。
サンプルアクションにそのヒントがありますので、参考にし、よく相談してアクションをかけてください。今回は連携がとても重要です。
唐突に始まるのに連携も何もと思われるかもしれませんが、そこはまあ、どうとでも処理できますので、特に気にしないでください。
サンプルそのままの提出はボツ扱いになりますのでお気を付けくださいませ。