午前中の段階で早々と大気が揺らめく。その日は夏本番の暑さに見舞われた。
寝子島行きの電車内。乗客の目は一人の人物に向けられた。
黒いパーカーのフードを目深に被り、やや俯いた姿で座っている。顔の半分は白いマスクに覆われ、無造作に伸びた前髪で両目が隠れていた。人相どころか。性別さえ、はっきりしない。
車内アナウンスが次の停車駅、「寝子島」を軽やかに告げる。パーカーの人物がゆらりと立ち上がった。
前髪の一部が割れて片目が覗く。眼光は鋭く、白目には血が混じる。片脚を引き摺るようにして歩き、ドア横に付けた。
周囲の乗客は硬い表情となる。示し合わせたように目を伏せて押し黙った。
電車が減速を始めた。寝子島の玄関口、寝子島駅に到着した。
ドアが開くと同時にパーカーの人物はホームに降りた。不自由な脚で懸命に先を急ぐ。
「……道連れにしてやる」
苦し気な声で不吉な言葉を残し、改札を通り抜けた。
シーサイドタウンの実家にいた
白 真白は窓から見える青い空に笑顔を向ける。
「こんな日は出かけないとね」
うきうきした様子でネグリジェを脱いだ。着替えが終わるとツインテールのリボンの色を選び、しっかりと結び付ける。義眼の色は少し悩んだ。
「これかな」
満足気に頷くと軽い足取りで自室を後にした。
旧市街の漁港近くにある一軒家。庭に出た
新田 樹は明るい空とは裏腹に目を伏せていた。
「なんでなの?」
青く澄み渡った空に問い掛ける。胸の辺りに手を当てた。その姿のまま思いを吐き出す。
「胸騒ぎ?」
瞬間、不敵な笑みで頭を左右に振った。掌に固めた拳を何度か当てる。
「スリルの予感だね」
樹はポニーテールを弾ませて外へと出かけた。
今回のシナリオはバトルがメインになります。
早速ですが詳しい説明に入りたいと思います。
今回の舞台
晴天に恵まれた日曜日の寝子島。暑さのせいで薄着をした人々が多く見られる。
パーカーの人物
謎に包まれた組織の一人で小柄な女性である。身なりを隠した状態で寝子島に現れた。
もれいびでもあり、後方宙返りを決めることでろっこんが発動する。身に着けている物ごと、豹に変身する。
声帯は人間のままなので通常の会話が可能となっている。
背景&目的
謎の組織は過去、寝子島を襲撃した。目的はもれいび達の拉致監禁である。
能力を解析することで自由自在にろっこんを生み出し、軍事利用を目論んだ。
だが、その計画は失敗に終わり、任務に当たった黒服達は密かに処分された。辛うじて生き延びたパーカーの人物は
発端となったもれいび達を一方的に恨み、追手を躱しながら報復の為に寝子島へ再び現れた。
報復の対象は「逆襲の時」に関わった者達である。邪魔する者にも容赦なく牙を剥く。
ただし以前に手にしていたオートマチックの二丁の拳銃は失われ、武器も所持していない。体術とろっこんのみ。
勝利条件
パーカーの人物の撃退。もしくは身柄の確保となる。
説得を試みてもいいが当事者の場合、反発は免れない。
慎重に言葉を選び、相手の事情を察する能力に長けていれば可能性はゼロではないだろう。
少し長くなりましたが説明は以上になります。
パーカーの人物の報復対象は十七人ですが、二人とは特に因縁が深いようです。
続編っぽい内容ですが、初参加のPCさんも大歓迎です!
寝子島のフツウを守る為に、ここは一致団結して解決に当たってください。