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灰色の雲が覆うどんよりとした夜空の下、
恵御納 夏朝はボロボロのメリーゴーランドの陰に身を潜めた。
すぐそばの木馬がべったりした黒ずみに覆われているのに気づき、比較的マシな木馬の陰に移動する。
荒くなった息を整えつつ、物陰から向こうの様子をうかがう。
その視線の先に居るのは、派手な衣装に身を包んだ白塗り化粧の人影が一つ。
大げさな身振り手振りであたりを見まわし、首どころか上半身全体を傾げるソイツは、いわゆるピエロそのものの姿だった。
やがてがっくりと肩を落とすと、ピエロはどこからか取り出した風船を膨らませ始める。
「クリストファーさん、あれもゴーストなの?」
隣でやはり様子をうかがっていた幽霊猫、
クリストファーに問いかける。うむ、とうなずくクリストファーの表情は重苦しい。
「おそらく、この地で起きた事件の記憶やその犠牲者たちの恨みが形をとったものだろう。見ての通り――」
クリストファーが視線を上げる。
さびにまみれたジェットコースターのレールが蛇のようにうねり曲がって、
『クイーン・ラグドール号』の船体を捉えていた。
船まで戻ったとしても、これでは逃げることもできないだろう。
「きわめて強力だ。この場所全体を、たった一人のゴーストパワーで自在に操っている」
クリストファーの表情に影が差す。強力なゴーストを前に、彼が何を思ったのか。この旅の目的を考えれば、すぐにでもわかることだ。
「まさかあれも仲間にするつもりなのかしら~?」
二人の頭上から声をかけてきたのは、フリルたっぷりの洋服を着た西洋人形。ゴーストドールの
メモワだ。
「わたくしが言うのもなんだけど、あのピエロは相当危ないんじゃない? 正直わたくし苦手なんだけど」
「うむ……。だが吾輩の見立てが正しければ、あの道化師はこの地の記憶に縛られている。それ故に、身体が自動的にその記憶を再現しようとしているのだ。……恐らく、だが」
ラグドール号に乗せて土地と切り離すことができれば、記憶を再現するために暴れることはなくなるかもしれないとクリストファーは言う。
どのみち説得でなんとかなるタイプではないだろう。取りうる手段は2つ。
1つはピエロを倒し、力づくで土地から引き剥がすこと。
そしてもう1つはピエロとこのテーマパークの過去を解き明かし、土地の呪縛から解放を試みること。
1つ目は言うまでもなく危険で、2つ目はうまくいくかわからない。
「強力なゴーストが少しでも仲間に欲しいのは確かだ。しかしそのために、そなたらが犠牲になるようなことはあってはならない。だから……」
クリストファーの言葉を制止するように、夏朝が首を横に振った。
「やれるだけのことはやってみようよ」
ラグドール号を再び動けるようにするためにも、ピエロをなんとかしなければならないのは事実。
危険な戦いになるだろうが、できることをやるしかない。
ハローワールド、風雅です。
恵御納 夏朝さん、ガイドへのご登場ありがとうございました!
またまた少々お待たせしてしまいましたが、お化けの国第三弾のお届けです。
前回、前々回シナリオにご参加頂いた方はもちろん、今回が初めてという方もお気軽にご参加ください!
「今回までの間に、いつの間にか船に乗っていた」「実は前回から乗ってたよ」といったアクションももちろん大歓迎です!
このシリーズについて
本シリーズは 幽霊猫とお化けの国を起点とするシリーズシナリオです。
おばけの国『ゴーストリア』で起きた異変の影響で、ゴーストになってしまった皆さん。もとに戻るにはゴーストリアの異変を解決する必要があり、それには各地でゴーストたちを仲間にすることが不可欠です。
ゴーストリアの王子、幽霊猫のクリストファーと共に、各地でゴーストを仲間にしながらゴーストリアの異変解決を目指す――というのが本シリーズの概要となります。
前回シナリオにおいては、鬼ごっこの末に孤島に住み着いていたゴーストドールたちを仲間にすることができました。
概要
人形島で新たな仲間を得た『クイーン・ラグドール号』が次にやってきたのは、どこかの廃墟と化したテーマパークでした。
そのテーマパーク跡に存在するゴーストは、言葉を発しない不思議なピエロが一人きり。
しかしそのピエロはホラーのお約束の一つとも言える、ピエロのゴーストだったのです!
強力なゴーストパワーでラグドール号を捉えたピエロは、様々な道具や能力で皆さんに襲いかかってきます。
果たしてピエロを撃退することはできるのでしょうか!?
今回の敵はゴーストピエロ。
その名の通り、ピエロの姿をしたゴーストです。一人しか居ませんが、その代わりすさまじいゴーストパワーを有しています。
一切言葉を発しませんが、代わりに表情の変化や仕草が大げさです。
テーマパーク跡に捉えた皆さんを、様々な手段で攻撃してきます。
ラグドール号は完全に抑え込んでいるため、放置しています。
・分身
攻撃を当てると消える幻覚のような分身ですが、普通に攻撃してきますしダメージも受けます
・バルーン
動物の形にひねったり結んだりした風船です。ピエロが作り出したりふくらますたび、自律行動するようになって襲ってきます。
・びっくり箱
ハトや刃物が入ったびっくり箱です。そこらじゅうに撒かれています。
・パントマイム
ゴーストパワーによるものか、このピエロの行うパントマイムは実際の影響力を有しています。
例えば扉を開ける仕草をすればどこにでも侵入してきますし、壁があるような仕草をすればそこに見えない壁が現れます。
・ジャグリング
ジャグリングをしながらピンやナイフが襲いかかってきます。
また、ピンやナイフは近接武器としても使用してきます。
・チェーンソー
ゴーストボディのためか斬られても死にはしませんが、死ぬほど痛いです。
なおクリストファーの見立てでは、このピエロのゴーストが攻撃してくるのは土地の記憶に縛られ、それを再現しようとしているだけのこと。
ゴーストピエロ自身に邪悪な意志があって攻撃してくるというより、この土地にいる限り、身体が勝手にそう動く。状態だと思ってもらえばよいでしょう。
ピエロを叩きのめして力づくで土地から引き剥がすこともできますし、この場所の過去を探ることで土地の呪縛からの解放を試みることも可能です。
なおテーマパーク跡にはジェットコースター、メリーゴーランドの他に
・崩れかけのミラーハウス
・レトロなゲームセンターなどのあるアーケード街
・淀んだ水のたまったウォーターライド
・ショーに使われていたと思しきステージ
・ティーカップ
・小さな観覧車
・ボロボロのサーカス小屋。
などの施設・遊具があるようです。
本シリーズの特殊ルール
本シリーズでは、幽霊船の影響によって参加者の皆さんはゴーストとなっています。
ゴーストには以下の特徴があります。
<ゴーストボディの特徴>
・空を飛べる
・物体をすり抜けられる
・生身の人間や生物に憑依できる
・任意に姿を消したり出現したりすることができる
・夜になるにつれて力が増し、昼になると力が弱まる
・ろっこんも使用可能(上記の特徴に似た能力の場合、より強力になる)
・霊体に対しても「物理的に干渉するろっこん」が通用する状態になる
※種族「あやかし」の幽霊とは、使用可能な能力などが異なる場合があります。
※あやかしも、このシナリオには問題なくご参加いただけます。
幽霊は、大きな変化はありませんが、火の玉や冷気を出す能力、ポルターガイストが強力になったり、
憑依能力が使えるようになったりすることもあるようです。
妖怪・付喪神は、ゴーストボディになります。特殊能力などはそのまま使用可能です。
>あやかしとは
NPCについて
・クリストファー
お化けの国『ゴーストリア』から来た、幽霊船『クイーン・ラグドール号』を駆る幽霊猫。
ピエロについては「戦力にできそう」とは思っているものの、それはあくまで皆さんの無事が大前提。
そのため迎撃には全力を尽くします。
・メモワ
人形島から一行に加わったゴーストドールたちのリーダー。
見た目はフリルたっぷりの洋服を着せられた西洋人形ですが、周囲の物体を操る、髪を伸ばして拘束するといった強力なゴーストパワーを操ります。
ピエロは苦手らしく、本気で迎撃します。
彼女についてきたゴーストドールたちも一緒に居ます。
その他、登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
また、Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
NPCやXキャラクターも、ゴーストになってしまっているかもしれません。
いっしょに冒険を楽しんでください。