青い月の光が美しい夜だった。
巫部 紫苑は、なんだか自分の身体が軽いことに気が付いた。それに、月の明かりがなんだかやけに近く思えることにも。
「あら……? どうして私、空に浮かんでいるのかしら?」
紫苑の全身は白く輝き、そして透けていた。腕をかざすと、その向こうにうっすらと星の光が覗けるほどに半透明だった。
「なんだかふわふわして、いい気持ち……これは、夢でしょうか」
「いいや。夢ではないぞ」
月光を背に、紫苑の前へ現れたのは、猫だった。
ただの猫ではない。人間のようにすらりとした手足を持ち、まるで王族のようにきらびやかな衣装を身に纏う、なんともイケメンな猫であった。
そしてその身体もまた、今の紫苑のように淡く白く輝きながら透きとおっている。
猫は優雅な仕草で一礼し、言った。
「我輩は
お化けの国『ゴーストリア』の王子、幽霊猫の
クリストファー。旅をしているのだが、遠いこの地で、我が船が襲撃を受けてしまってな」
「船? 襲撃? お化けの国……?」
「あれが、我が船『クイーン・ラグドール』号だ」
浮かぶ紫苑と猫の眼下には、これまた浮かぶ船が漂っていた。巨大な帆船で、全体は紫苑や幽霊猫のクリストファーとやらと同様に白い光が灯り、透けている。
幽霊船だ。
「我が船が襲撃で受けた衝撃が、この地に満ちる不思議な力と結びつき、そなたらを呼び寄せてしまったのやもしれぬ」
「まあ。不思議な力といえば、神魂の影響でしょうか」
「我が船はお化けの国の所有物ゆえ、近づいたそなたらもまた、ゴーストと化してしまったようだ……すまぬことをしたな」
どうやら紫苑は、
ゴーストになってしまったらしい。
見回せば、紫苑と同様にこの場へ呼ばれてしまったらしい人々もまた半透明のまま宙に浮かび、困った顔を浮かべている。
紫苑は首を傾げて尋ねた。
「どうすれば元に戻れるんでしょう? ふわふわ浮かぶのも楽しいですけれど、ずうっとこのままはちょっと」
「それは……はっ、いかん! 奴らめ、追いついてきおったか……!」
忌々しげに言ったクリストファーの視線の向こうに、奇妙なものが現れた。
ハロウィンのカボチャのランタンに似ているが、内には不気味な緑の炎が灯り、側面から突き出た二本の腕には巨大なフォークとナイフが握られている。
そのようなものが、数え切れないほど宙に浮いていた。
「
お化け兵だ! ヤツらはゴーストが大好物なのだ、食われないよう気を付けろ!」
「あら、まあ。それは大変ですね」
なんだか良く分からないが、まずはこの場を切り抜けなければならないようだ。
もとの姿に戻るには、ひとまず眼前の敵をどうにか排除せねばなるまい。
「仕方ありませんね」
こんにちは、風雅宿です。よろしくお願いします!
巫部 紫苑さん、ガイドにご登場いただきましてありがとうございました。
このシナリオは、皆さんのアクションによって、
2本以上のシリーズシナリオとなる可能性があります。
概要
寝子島の星ヶ丘地区に突然現れた、幽霊船。
その持ち主は、クリストファーという幽霊猫でした。
クリストファーはどうやら、何者かに追われているようです。
皆さんはなにか不思議な力の働きによってか、幽霊船のもとへ呼び出されてしまいました。
幽霊船へ触れた影響で、皆さんの身体は、ゴーストになってしまいました。
ゴーストには以下のような特徴があります。
<ゴーストボディの特徴>
・空を飛べる
・物体をすり抜けられる
・生身の人間や生物に憑依できる
・任意に姿を消したり出現したりすることができる
・夜になるにつれて力が増し、昼になると力が弱まる
・ろっこんも使用可能(上記の特徴に似た能力の場合、より強力になる)
クリストファーと幽霊船には追手がかかっており、襲撃されています。
敵はお化け兵。
ハロウィンのカボチャに手が生え、武器を持っているような姿をしています。
ナイフやフォークのような武器でなぐりつけてきたり、口から緑の炎を吐き出して攻撃してきます。
お化け兵は無数におり、クリストファーや幽霊船に備え付けの大砲などの武装だけでは、
到底凌ぎ切ることはできません。皆さんの力が必要です!
なお幽霊船内には、剣の幽霊、銃の幽霊など、霊体でできた武器がいくつかあります。
バトルは苦手、という方は使ってみるのも良いでしょう。
お化け兵をやっつけることができれば、クリストファーから話を聞き、
ゴーストボディからもとの人間に戻る手がかりを得ることができるでしょう。
お化けの国とは? 幽霊船や幽霊猫クリストファー、お化け兵の正体は?
それは、お話の中で明かされる……かも?
あるいはこれは、壮大な冒険の幕開けかもしれません……!
NPCについて
・クリストファー
お化けの国『ゴーストリア』から来た、幽霊船『クイーン・ラグドール号』を駆る幽霊猫。
お化け兵に襲われていて、皆さんに助けてを求めています。
本人も剣を振るったり、幽霊船の大砲を使って戦います。
その他、登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
また、Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
NPCやXキャラクターも、ゴーストになってしまっているかもしれません。
いっしょに冒険を楽しんでください。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!