四月も半ばを過ぎたというのに、寒風が吹きすさぶ。
否、寒いのは彼の心だった。
物心ついてからほぼ毎日飽きることなく違う女子に告白し続け、そしてその全てを玉砕してきた堂島 貞二(どうじま ていじ)。
彼は覆面をかぶり、昼休みの屋上に設置されている貯水タンクの上で、決意を込めて最大音量に設定したメガホンのスイッチを入れた。
「みんな、聞いてくれ! 通報せずに聞いてくれ!!」
一瞬のハウリングを含んだその大音声に、寝子高の誰もが昼食の手を止めて注意を向けた。
「俺は おっぱい が大好きだ!!!」
唐突過ぎる告白である。
当然、寝子高の敷地内では弁当を噴き出す者や箸を取り落す者が頻出していた。
「温かさがほしい! あの柔らかいぬくもりを! 誰でもいいから! 俺にくれと叫びたい!!」
そんなことは露ほども知らず、彼は熱弁を奮い続けた。
叫びたいと言いつつ、もう盛大に叫んでいる。
「つーかもう 男 でもいい! 無機物 でもいい! とりあえず おっぱい的ななにか に埋まりたい!」
おぉおおおおおい!!!
校内の至る所でそんなツッコミが聞こえた。
「 板っパイ でも チッパイ でも 雄っぱい でも 生意気なおっぱい でも しょぼくれた過去の巨乳 でも! 何でもいいから埋まりたい!」
ここまで痛々しく主張されると、もはや大多数の生徒はドン引くしかない。
「でもそんなの言ったら通報されるじゃん! やったりしたらぶっちゃけ痴漢じゃん!! 寝子高のみんなは優しいから、最初にお願いしたら通報されてないと信じるけど!」
あぁ、それで通報しないでと最初に叫んだのか。
通報しようという積極的な反応すら忘れさせる、いわば脱力感を誘う主張だったため、その発言でやっとそういう選択肢もあるのだと思い起こさせる。
しかしそこで、ひときわ大きな声が校内に響き渡った。
「合法的に触らせてくれる彼女も、俺にはいない! 作れる気もしない! だからみんな! おっぱいに似通った何かを! 俺と一緒に作ってくれ!!」
作る、という単語に、それまで無視を決め込んでいた生徒も興味を惹かれた様子で顔を上げる。
「想像で誤魔化すのはもうやめた! 女子のおっぱいをチラ見するのもそろそろ通報される気がするからやめなきゃヤバい!」
力いっぱい残念な決別宣言である。
しかしその声にこもる情熱は、機械的に拡張されていようとも燃えたぎっていた。
「本物に近くなくてもいい! 現実に触れるものを! 男の夢を具現化したような、そんな夢のおっぱいを作りたい! だから俺と志を同じくする誰か! 協力してくれ!!」
その叫びはろくでもない欲望にまみれながら、なおもキラキラと輝きを放つ。このまま熱弁が終了されれば、きっと何人かの有志が集まりその夢を叶えるに違いないと容易に予想させた。
だが残念なことに、この熱弁はここで終わることはなく。
「もし出来たなら! 許されるなら! 誰かの本物おっぱいと揉み比べをしてみたい!!」
おぉおおおおおおい!!!
校内に本日二度目のツッコミがこだまする。
「むっ、こうしてはいられない。俺のこの勇気ある行動を止めようと誰かが上がってきた気配がする!」
当たり前のことだが、さすがにこの暴挙を見て見ぬふりしている人間ばかりではないらしい。
僅かに慌てた様子の声音が響くと、彼は最後にこう呼びかけた。
「では俺と志を同じくする諸君、今日の モンキーの時間、イヒツワ子の部屋 で会おう! さらばだ……女体最高!!」
暗号を残し、それ以降校内は得も言われぬ沈黙に包まれる。
どこか気まずいその空気感の中、誰かがぼそりと呟いた。
「こういう話題って、どう仕切り直せばいいのかわかんないよな……」
その言葉に、周囲は言葉もなく何度も頷いた。
( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい!
お久しぶりです、井之上です!
夏シナリオ付近での復帰と申し上げておりましたが、少人数シナリオがリリースされたとのことで、コメディシナリオを引っ提げて戻って参りました。
おっぱいに関することなら任せろ!という方も
お、おっぱいなんてハレンチな!という方も
おっぱいはともかく何か作るなら協力するよー!という方も
奮ってご参加頂ければ幸いです。
彼は「夢のおっぱい」を作る場所として、暗号を残しています。
まずはこちらを解読してください。
モンキーの時間
時間を指しています。
この時間から作業を開始するようです。
イヒツワ子の部屋
校内のとある場所を指しています。
おっぱいについて語るもよし、具体的に「夢のおっぱい」に使える材料、知識を持ち寄って頂くもよし、おっぱい製作なんていうハレンチな集いを妨害してもよしです。
協力する場合は、何かおっぱいの材料になりそうなものをご持参ください。
また、「夢のおっぱい」完成後には宣言通り、誰かのリアルおっぱいと揉み比べを企んでいます。
ガイド本文で叫んでいる通り、老若男女、大きさを問いません。
製作協力者は揉まれる可能性が強まりますので、参加はするけれどもおっぱいを揉まれるのは拒否したい場合、そちらもご記入ください。
もちろん率先して揉み比べ候補に立候補するもよし、誰かを生け贄に推薦するもよしです。
妨害の際は、具体的な内容を書いてください。
相手はおっぱいを切実なまでに追い求めて一念発起したキャラクターです。
ヤジを飛ばしに行く程度の妨害だと、返り討ちに遭う可能性があります。