――星幽塔・第六階層?
(どうして? どうして私が……)
薄闇の中、フードをすっぽりと被った女性が必死に走っている。振り返れば、棒やつるはしを持った男達が血走った目で彼女を追っていた。
――待て、魔女め!
――俺達の苦しみを味あわせてやる!!
あの日から逃走を続けていた彼女は、隠れて暮らしていた。
だが、何者かが彼女を見つけ、こうして追われている。
黒衣の魔女はぐっ、と手に力を込めて銀の使い魔を呼び出す。そして、逃げ出そうとしたのだが……。
――ばちゅん!
鈍い音を立てて何かが飛び、彼女は右肩に傷を負った。集中力が切れそうになりながらも、魔女は使い魔に捕まって逃走する。
だが、地面には赤い血が点々と落ちており、このままでは見つかってしまうだろう。怒れる群集は、魔女を血祭りにあげんと息巻いており誰も彼女の苦しみをしろうとしない。
(どうして……!)
魔女は、歯を食いしばって痛みに耐えながら、涙を流した。
* * * * *
「みんなー、たいへんなのー! 第六階層がたいへんなのー!」
ステラ・ラ・トルレの声が聞こえたかと思うと、そこは第六階層だった。だが、冒険者達が見たのは、平穏な空気の第六階層だった。突如のことに、
結城 日和を初めとする冒険者達は眼を丸くする。
(あれ? あれれ? 見た感じ何もなさそうだけど……)
日和が不思議に思っていると、慌てた様子のステラが冒険者達を穴倉へと呼び寄せる。そこにいたのは、肩に傷を負ったやぎ座のアステリズムの女性だった。
1人の冒険者が治癒の光を使おうとした瞬間、大きな地震が起こる。穴倉から出ると、そこにいたのは、銀色に輝く半透明な龍。それがぐるり、と天で周り……地震が起こって消えるのだ。ステラの傍にいた日和は首を傾げて問いかける。
「これって、どういう事なの?」
「魔女の星の力が、第六階層を揺らしているの。悪夢をみていて、苦しんでいるの。このままだと、第六階層が
抜け落ちちゃうの」
ステラがそういう傍から、消えた龍がまた現れ、地震を起こして消えていた。
ステラ曰く、魔女の力が龍となって地震を起こしているらしい。魔女を悪夢から目覚めさせればこの現象は収まるようだが、その為にはあるものが必要なのだという。
「わからないけれど、これを大切にもっていたの。これを修理したらいいみたいなの。でも、何でかパーツが足りないの」
ステラはそういって素敵な装飾の施された小さな箱を手渡す。それは……オルゴールであった。だが、ふたをあけても音が鳴らない。どうやら壊れているらしい。
「足りないものは何?」
「
『銀の歯車』『硝子の歯車』『黒い螺子巻き』の3つなの。『銀の歯車』はこの階層に、『硝子の歯車』は第五階層、『黒い螺子巻き』は第四階層にあるみたいなの」
日和がオルゴールを覗き込むと、ステラが説明を付け加える。そして『銀の歯車』は魔女の城に、『硝子の歯車』は騎士団に、『黒い螺子巻き』は第四階層の商人の家にあることを告げた。
(場所がわかっているならば、後は取りに行くだけだよね)
日和はいつになく真剣な眼差しで頷いた。
また魔女は第六階層の人間に命を狙われているようだ。うまく隠れる場所はあるだろうか?
だが、とある者の証言によるとアステリズムは
隠し階層と担当階層以外の階層に行く事ができないらしい。と、いう事は……?
「ともかく、助けてほしいの」
ステラの言葉に、日和たち冒険者は……。
はい、菊華です。
「ひと」も「もれいび」も「ほしびと」も集合ー!!
まどろっこしい説明を抜かして楽しんでもらいたいところですが、
下手したら大ピンチなので、頑張って読んでください。
概要
第六階層は、空と雲海と奇岩の世界です。
この世界では、人々は巨大な奇岩を刳り貫いて住居にしており、
奇岩間を行き来する小ぶりの木製帆船のような形の飛空艇が、現代の車やバスのように一般的な乗り物です。
ついこの間まで、魔女の操るゴーレムを恐れて、飛空艇は雲海の中を航行していましたが、
星の力を宿した者たちによって魔女はやっつけられ、現在は平和が戻っています。
ところが、負けて城から逃げだした魔女(第六階層のアステリズム)が、傷ついた状態で発見されました。
彼女は悪夢にうなされており、その影響で第六階層で地震が起こっています。
このままでは第六階層が抜け落ちる可能性が……!
悪夢から解き放つには、魔女が持っていたオルゴールの音色を聞かせるといいみたいですが、
オルゴールは壊れています。
ミッション
オルゴールを修理し、魔女を悪夢から解き放つのが今回のミッションです。
今回は成功条件・失敗条件があります。
成功条件
魔女を悪夢から解き放つ
? ? ? ?(ここをクリアすると大成功に近づく)
失敗条件
第六階層が抜け落ちる
・やぎ座のアステリズム(以下魔女さんと表記)は、穴の中で悪夢に魘されています。
目覚めません。
・魔女さんは右肩を負傷しています。
どうやらただの矢ではなかったらしく、傷口が少し抉れている状態です。
また、傷口の近くが紫色に変色しています。
しかし、第三階層のどこかにある『不死鳥草』というオレンジ色に輝く葉が
あると解毒できるでしょう。なんでも暑い場所にあるとか。
あるいは……。
・オルゴールの足りないパーツは
『銀の歯車』『硝子の歯車』『黒い螺子巻き』
以上3つです。
ステラの話をまとめると?
『銀の歯車』は――
第六階層にあります。魔女のいた場所に落ちているかも?
『硝子の歯車』は――
第五階層にある騎士団の詰め所にあります。
丁度新人騎士たちの腕試し大会が行われており、その優勝商品のようです。
『黒い螺子巻き』は――
第四階層の商人が持っています。
ですが、その商人はもったいぶって見せようとしません。
色仕掛けがきまれば渡してくれそうですが……。
・地震の所為で魔女さんがいる場所は徐々に崩れ始めています。
早く別の場所に移動したほうがよいでしょう。
・おまけ
アステリズムは隠し階層以外の他の階層に行く事ができません。
因みに、隠し階層へとあるアステリズムを待機させておくと……?
・おまけその2
第六階層は、魔女さんが悪夢にうなされるまで平穏でした。
人々は魔女の所為なのでは……? と警戒しています。
自主的に魔女を探している人達もいる模様です。
おもな登場NPC
黒衣の魔女
第六階層を支配していたやぎ座のアステリズム。
先代のやぎ座のアステリズムは階層を支配し悪事を働いており、住民たちから恨まれていた。
先代は死んだが、魔女に先代と同じやぎ座のあざができたのをみた第六階層の住人たちは
魔女も先代のようになるのではないかと、彼女を虐げた。
それにより魔女の心は歪み、階層の住民たちを苦しめるようになった。
星の力を宿した者たちに負けた魔女は、ゴーレムの城から逃げ出し、姿を隠していたが……
※参照「【星幽塔】第六階層 黒衣の魔女とゴーレムの城」(風雅宿マスター)
ステラ
ステラは魔女さんが心配なのか、傍を離れようとしません。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
▼最近加わった星の力(こちらも利用できます)
・幻視の光(銀):物に宿った、作り手や持ち主の記憶や想いを垣間見ることができる。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの ほしびととは をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!