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雨の日、秋の日、フツウの日?
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●
傘を差して歩く二人が遠ざかっていく。一瞬気になった彼らから、
桜 月
は再び曇天の空へと顔を向けた。
銀糸の髪は雨濡れて、服と共に身体に張り付いている。白く筋を引いた雫は色素の薄い肌ではね、髪や頬を伝って流れていく。
長く雨の中に立っていたせいか、月は雨の感触や冷たさをあまり感じていなかった。ただ服が水を吸い込み、徐々に濡れて重くなっていくのが分かる。
それが自身の余分なものを削り取ってくれているような気がして、月はただただ雨に身を委ねた。目を閉じ、水の音と流れに心を澄ます。
(そろそろ、いいかな)
余分な物に隠されていた、自分の奥底に潜む何かを感じようと、月はその心の中に意識を深く沈めていった。己の内側へと深く深く潜っていって、そこにあるものを第六感的に視て、感じ取っていく。
それはまるで、光の差さない深海を泳ぎ落ちていくような感覚だった。
――ああ。
水を掻いていた手が底に触れた。同時に月が感じたのは達成感ではなく、落胆だった。ひどく長い時間を泳いできた気がするのに、そこは相変わらず真っ暗な深海で。待てど探せど他の気配はない。
何も感じない。すごく寂しいな、と月は感じた。
――これが、私?
自分の奥に何かあると思って、見つけられると思って来たのに。何もなかった。きれいな景色があるというわけでもなく、心の中は進んでも真っ暗なままだった。
それとも、アプローチがおかしかったのだろうか。
自分でもよくわからぬ何かを探そうという、漠然とした想いがこの場所を見させているのだろうか。
もし、すべてが正しく動いた上の結果だとしたら、何もないこの場所は。
――ああ。
ため息のような感情が漏れ、月は深い思索から帰ることにした。意識が急浮上を始める。
五感が戻った時、月は自分がひどく消耗していることに気づいた。「――はあっ」と大きく息を吐いて、そこで自分が支えられていることに気づく。
「……」
月の足元から立体化した影が、彼女の身体を抱きしめていた。強く念じなければこうは動かぬ影に、月の唇が思わず動いた。
「……私が無意識に呼んだのか?」
答えはもちろんなかった。影はただ雨に打たれて、濡れた月を抱きしめている。
「もう、帰ろうか」
しばらくして、月は言った。降りしきる雨の中を、影を伴い歩き出す。
その足取りはもう、しっかりとしていた。
●
「ふう……」
星ヶ丘寮の、月の部屋。モデル兼メイドとして雇われている
北条 冬華
は、窓から見える空と雨の風景にため息。家事はあらかた終わらせたのだが、やはり洗濯物は晴れた空の下で干したい。
「もう秋も終わりかけですし、雨も降ってるせいか少し寒くなってきましたね」
気のせいか、窓から漂う気配はひんやりとしたものがある。次の季節の気配に、冬華はしばし灰色空を眺めていた。
「……しかし、外は完全に雨ですよね?」
彼女の目が不意に、何かに気づいたように瞬いた。
「月さんが出かけてますけど、傘を持って行った記憶は無いのですが……」
自問自答の結末は、再度のため息だった。月が傘を持たずに外に行ったということは、必要ないと判断したからだろう。もし必要ならば、連絡があったり、どこかで傘を買っているだろう。
そう思いながらも、月が出てから結構な時間がたっていることに、冬華はなんだか落ち着かなかった。引き続き家事をしながらも、強くなっていく雨の音に、心配になって呟く。
「どこかで雨宿りでもしていればいいのですけど……」
――月が帰ってきたのは、それから一時間ほどしてからだった。
「ただいま」
玄関から聞こえる普段通りの声に、やはり取り越し苦労だったのだと、主を迎えるべく玄関へ。服は少々濡れているかもしれないと、タオルを手に向かった。
「月さん、おかえりなさ!?」
「……ん?」
月の濡れ具合はと言えば、少々どころではなかった。
影は、衆目が多くなりそうなところで元に戻した。「ただいま」と言って自室の扉を開ける。その間、月は雨に濡れた足が歩くたび、妙な音を奏でるのが気になった。
「月さん、おかえりなさ!?」
「ん?」
さすがに、靴まで濡らしたのは失敗だったかな――そんな風に思っていたら、ちょうど出て来た冬華が奇妙な声を発した。かなり驚いた顔をしている。
普段おとなしい彼女にしては、珍しい反応だ。
「冬華さん?」
月は一歩、彼女に寄る。さっきまで川で泳いでました。と言わんばかりに濡れた彼女の全身から、水滴がどんどん落ちていく。
「す、ストップです!」
切迫した声でそう叫び、冬華は奥の方へと駆けていった。剣幕に月がフリーズしていると、冬華はバスタオルをひっつかんで、すぐさま戻ってきた。月の頭上で白がひるがえる。視界が塞がれたと感じたときには、月は冬華に頭を拭かれていた。
「うわっ!?」
何気に荒々しさを感じる手つきに、流石の月も慌てた。
「冬華さん、自分でできるよ。わわっ」
見えぬ視界でタオルを取ろうと手を動かすが、冬華は渡してくれない。
「冬華さんってば」
「こんなに濡れて……風邪を引いたらどうするのですか?」
冬華の声に、月の手が止まる。静かだが、寂しそうな悲しそうなな声。
タオルの隙間から垣間見える冬華の目に、月の中でああ、と理解が広がっていく。
――私は冬華さんに、随分心配をかけてしまったんだな。
「冬華さん、ごめん」
「もう11月なんですよ。気を付けて下さい」
「……うん」
トーンダウンした月の声に、冬華もようやく表情を緩ませた。
「それでは、身体を拭くので、服を脱いでください」
「う、うん……」
言われたまま、月は上着に手をかける。だが濡れた服はいつもと勝手が違った。思いのほか冷えて、手が動かないせいもある。袖のボタン一つすら、手間取ってしまう。冬華は手を伸ばした。ボタンが外され、月が赤瞳を見開いた。
「私がやりますね」
「ごめん……」
「いいですよ、じっとしていてください」
冬華の手が、月の肌に張り付いた服をほぐすように触れられる。月は不思議な感覚を覚えたが、さっき怒られた手前、じっとされるがままにしていた。
「万歳してください」
「バンザイ?」
「ほら、両手を上げる……」
「ああ、あれか――こう?」
「もっと高くです。はい、ばんざーい」
「ば、ばんざーい」
もろ手を天井にあげた月の服を、冬華は引き上げた。身長は冬華が高い。それでも重くなった服を脱がすのには手間取った。
(こんなになるまで雨の中にいたなんて)
白い肌をさらした月に、冬華の手が触れる。その冷たさに冬華が思わず眉をよせ、月は手の暖かさに驚く。
「早くお風呂に入って温まりましょう」
スカートが取り払われる。全身を拭かれたのち、月はようやく中にあがることができたのだった。
●
浸かった湯船は、マグマの源泉のようだった。
「体の芯まで温まるまで出てきてはいけませんよ?」
風邪をひいたら大変なんですから、という冬華に、大丈夫と月は返した。冬華はしばらく月の顔を見ていたが、納得したように風呂場から出ていく。
――だいぶ、心配させてしまったかな。
反省もしているが、湯の温かさが月にもたらしたのは、少々の眠気と微笑みだった。申し訳ないという気持ちと同じくらい、嬉しいという気持ちが生まれている。
「久しぶりに、誰かに甘えた気がするな」
あんな風に心配されて怒られるというのは、いつ以来だったろう?
それにあんな風に服を脱がしてもらったり、身体を拭いてもらったり……
思い返すうち、月の頬が温かさとは違うもので赤くなっていった。よくよく考えれば玄関であんな格好になってるし、バンザーイとか小さな子供のように……
月は慌てて湯で顔を洗って、思考を振り払おうとする。
しかし、時折思い出しそうな予感がした。
「これでよし、と」
濡れた服の処理を終えて、着替えも用意。冬華の足はキッチンへと向かう。何か温まるものでも用意しておこうと思ったのだ。
「生姜湯にしようかな……?」
生姜をすりおろし、カップにお湯を注いでいく。独特の匂いが鼻をかすめた。もう一つ作り、一口味見をする。
「ん」
大丈夫。
(でも、雨の中疲れたと思うし)
ハチミツを適度に加える。入れてかき混ぜた頃合いで、月が風呂からあがってきた。一瞬照れたように冬華を見た後、いつもの顔に戻ってテーブルにつく。
「これ、生姜湯?」
「はい。お口に合えばいいのですけど」
月がカップを持ち、香りを味わうように口を付けた。一口飲んだ後、微笑む。
「うん、美味しい。冬華さんありがとう」
「ふふ、良かった」
雨の音が小さく聞こえてくる。二人の間を静かな、心地よい時間が満たしていった。
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担当ゲームマスター
叶エイジャ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
バトル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月08日
参加申し込みの期限
2015年07月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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