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雨の日、秋の日、フツウの日?
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●
窓をたたく雨に、
紅林 柳霞
は目を覚ました。
アンティークセレクトショップ『ステラ・マリス』の二階。室内は薄暗く、カーテンの周囲だけがぼう、と淡く光って見える。雨音に交じり、時計の秒針が高らかに時を刻んでいた。
(明け方……?)
いつもより早い時刻。違う何かが起こりそうで――いつもより、独りでいることを感じてしまう時間。
あんな夢を見てしまったから、と柳霞はため息を吐いた。
父と母が口論をする夢だった。どんなに扉を固く締めても、ベッドに潜って耳を塞ごうとも、あの声は階段を駆け上がって、小さな隙間から柳霞を苦しめにやって来る。どこにも逃げ場などなかった。雨の日は、特に。
(楽しいこと、考えないとね)
過去の影を振り払うべく、柳霞が思ったのは
荒井 景貴
のことだった。
「景貴さん、もう起きてるかな」
お店の準備で起きてるかも、と彼のパティシエ姿を思い浮かべ、微笑む柳霞。
もしかしたら、寝てるかもしれない。それもなんだか微笑ましく思える。
「メールなら、大丈夫かな?」
いつも優しい彼に『今日も頑張ってね』と伝えたい。もう少し明るくなったら、と手を伸ばした端末が、次の瞬間振動を始めた。
メールの通知だった。
(え――)
表示される差出人の名に鼓動が乱れる。
おそるおそる開いた画面に、内容が示された。
『柳霞、元気にしているか。
突然だが話がある。今日の昼、星が丘にあるホテルに来なさい。母さんも待っている。
お前の将来を決める大事な話だから、紅林の娘としてふさわしい服装で来るように――父より』
過去の影が忍び寄ってくるのを、柳霞は感じた。
●
荒井 景貴
は窓から、雨の景色を見つめていた。
――今日はお客さんも少ないでしょうね。
そんなことを思いつつ、開店準備に取り掛かろうとした景貴の耳に、携帯の振動音が聞こえた。
「柳霞さんから……?」
こんな早い時間に珍しい、と思いながら、景貴が内容を見る。
その目が見開かれた。
いつか、こうなる気はしてた。
『臨時休業』と書かれた札をかけ、柳霞は今日何度目かのため息を漏らす。外は彼女の心のように、雲が何層も暗く塞いでいた。
――お見合いの話は、この島に来る前からあった。
意見のあわない父に、大学を受験したふりをして反抗した。祖父母にも助けられ、寝子島に来た。そして景貴と出会った。
でも、いつまでも逃げられるわけはなかったのだ。
「景貴さん、どう思っているのかな」
景貴には、いつか全てを教える約束をしていた。それが今日になるとは予想もしていなかったのだが。
本当なら、直接会って話したかった。
「行かないと……」
気乗りしないが、逃げるわけにはいかない。せめて真正面から拒否しようと、柳霞は自室に着替えに行く。
ドアが荒々しく叩かれた。振り返れば、全身を雨濡らした青年が立っていた。
「えっ……景貴さん!?」
慌てて駆け寄り扉を開けると、
「柳霞さん。突然すみません」
「景貴さん、風邪ひいちゃう! 早く中に……!」
景貴の手を引いて、中に入ろうとする柳霞は直後、背後から抱きしめられていた。その力強さと、雨の冷たさと、何より彼が震えているのを感じて、柳霞の時が止まる。
「あなたが好きです」
「あなたが好きです」
腕の中で愛しい人が消えてしまわないよう、景貴は強く、己にかき抱く。
「僕は本当に馬鹿でした。こんな状況にならないと、行動に移せないなんて」
お見合いの話に居ても立ってもいられなくなり、飛び出してきてしまった。どこをどう走って来たかも覚えていない。
「でも、急がないと本当に、二度と会えなくなる気がして……あなたと離ればなれになりたくない気持ちを、抑える事ができませんでした」
あの満月の晩にした約束を、伝えそびれた言葉を、口にする。
「あなたのことが大好きです。どうかこれからも一緒にいてください」
柳霞はこみ上げてくる感情に一度、目を閉ざした。頬を伝う熱さが、雨に溶けていく。今はそれでよかった。彼に見せるのは、泣きぬれた顔ではない。
答えなど、ずっと前から決まっていた。
振りかえる柳霞から、景貴は腕を解く。
「私も景貴さんと、同じ気持ち」
笑顔で、想いを伝える。
「景貴さんが大好きです」
互いの唇が、触れ合う。
月と星と黒猫が二人を見守っていた。
●
「こんな時に、変だけど」
ホテルのエントランス。赤を基調とした正装に着替えた柳霞が聞く。
「お店、だいじょうぶ?」
「両親に留守を頼みました」
景貴が微笑む。彼もまたスーツに身を包んでいた。
「今日はずっと、貴女のそばにいます」
その言葉が嬉しくて、頬を染める柳霞。二人ともに、緊張は隠せない。だが、互いを支え合おうとする気持ちが勇気を生み出す。
「行きましょう」
約束の時間だった。
向かった先、ラウンジに柳霞の両親はいた。
「柳霞……」
「お久しぶりです。お父様、お母様」
毅然とした口調で、柳霞が機先を制した。
「この人は
荒井 景貴
さん――私の大切な人なの」
柳霞が見据える男の視線に、景貴は気圧されそうになった。こらえて、自己紹介をする。
「お見合い当日に、このような形でお会いする事になり、誠に申し訳ありません」
「まったくだ」
声こそ静かだが、柳霞の父の顔は赤黒く染まっていた。その隣にいる女性は柳霞に似た容姿だったが、冷たさのある視線で景貴を見ていた。
「今日はお願いがあって参りました」
「それは、娘と結婚したいということかね?」
「いいえ」
はっきりとした否定に、男の顔がやや動く。景貴が頭を下げた。
「娘さんとお付き合いをさせてください」
「……なるほど、見た目よりは考えているようだ」
「お父さん!」
鼻で嗤った父に、柳霞が景貴をかばうように立つ。
「お前は黙っていなさい」
「いいえ黙りません!」
芯のある声だった。思わず押し黙った両親に、柳霞が続けた。
「どうしてそんなことを言うの?」
「……当たり前だ。この馬の骨は、大切な娘をたぶらかしたんだからな」
「大切なのは私じゃなくて『跡継ぎ』でしょ?」
「なに……?」
「私が選んだ人を認められなくて、それでも大切にしてるって言えるの?」
「お前は分かっていない! その男がなんの野心も持ってないと言い切れるのか!」
「言い切れます。景貴さんのことを分かってないのは、お父さんの方よ」
静かだが、強い意志を感じさせる柳霞の声だった。景貴も再び頭を下げる。
「お願いします。娘さんは僕にとってかけがえのない大切な人なんです」
「……」
「お見合いは待って頂けませんか。お願いします」
「……黙れ。これは家族の問題――」
携帯の着信音が、父親の言葉を遮った。忌々しそうに端末を見た彼は、なぜか届いたメールの文面を妻に見せる。
「あら」
柳霞は、なぜか母が少し笑った気がした。
「絶妙なタイミングですね。確かに潮時かもしれないわ、あなた」
「……そうだな」
妙な会話はすぐ終わる。柳霞の父は突然「急用ができた。帰る」と告げ、歩きだした。
「ちょ、ちょっと待って」
事態の推移が分からないのは、柳霞と景貴だ。
「まだ話は――」
「話は終わりだ。特別に今日の見合いは待ってやる」
景貴が顔を上げる。
「じゃあ」
「待つだけだ。柳霞も遊びたい年ごろだろうからな」
「お父さん! 景貴さんと私は――」
「好きにしろ……また連絡する」
一方的にそう言い、両親は去っていく。頭を下げる景貴を完全に無視して、ホテルの外に止まった車に乗る。車はあっという間に消えていった。柳霞は、それをじっと見つめているしかなかった。
彼女の手が、優しく握られる。仰げば景貴の笑顔があった。
「また改めて、ご両親にご挨拶に伺いますね」
「景貴さん、ごめんね。まさかあんなひどいこと……」
「大丈夫です。これからも何があっても、僕は貴女を諦めません」
景貴の言葉に、柳霞が笑顔になった。
二人の気持ちを表すように、握られた手は固く、そして優しい。
ホテルから出ると、雨はさらに勢いを増したようだった。
「今日は朝から慌ただしかったですね」
「そうだね……ねえ景貴さん、これからデート、しない?」
「今から、ですか?」
驚く景貴に、柳霞が気恥ずかしげにはにかんだ。
「だって、せっかくおめかししたんだもん。それに」
今日はずっと、そばにいてくれるんでしょう?――そう言われ、景貴も微笑んだ。
「ええ、もちろんです。それでは行きましょうか」
星が丘のホテルから人影が二つ、歩き出した。
二人の頭上には、傘が一つ。
雨にぬれても、今日は気にしない。
だって今日の雨は、二人を祝福してくれる、優しい雨だったから。
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担当ゲームマスター
叶エイジャ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
バトル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月08日
参加申し込みの期限
2015年07月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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