【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！｜リアクション

【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！

　　【たまには、こんな日があっても】

　大天使天吏は戸惑い気味に、カボチャ帽子を持つ手を確認しました。
　それは綺麗に整えられた爪をした、愛らしさに溢れたいぬの手。
　カボチャ帽子を片手に自分の耳に触れてみます。そこには聞くのに支障はありませんが、大きく垂れた耳が、それぞれ左右に一つずつ。
　先程から思うことはただ一つ。
　──自分がいぬになってしまっていいのだろうか。
　それは天吏にとって切実な問題でした。しかし、答えは出ないまま、
「準備よーし、かぶりよーし、スッポリ度よーし！　よしっ、つぎ！」
　その掛け声と共に、天吏は広場の中に放り出されてしまったのです。

　入り口から少し離れて。視界の中央にある広場を行き来するカボチャを眺めれば、じっと見なくても、カボチャ帽子の下には一つも人の体を持つ存在はいませんでした。
　人と猫以外の動物の方が遥かに好きな天吏にとっては、そこは楽園に見えました。
　天吏にとっては、それはとても珍しく好奇心がそそられる光景。その好奇心を満たす為に、天吏は目的を定める事無くふらふらと辺りを探索する事に決めたのです。

　しかし歩いた中で、祭の中には大嫌いな猫がいる事も、尻尾の形やその他もろもろから知りました。
　それでも、言葉は通じても、天吏はねこに対して、今日だけは、挑発的な発言は慎むと決めたのです。
　今日は“いぬとねこのお祭の日”であるから、それは、いぬさんがとても悲しむだろうと思って。

「おおっ、この匂いは！　もしかして天吏殿です！？」
　ふと気がつけば、遠くから天吏の元へ駆け寄ってくる１匹のカボチャの姿。
「……？」
　駆け寄って来た、恐らくいぬのカボチャの姿を天吏はじっと見つめます。
　そして、記憶の中から、とある暑い夏の日に出会った１匹の柴犬の姿を思い起こしました。

「天吏殿にまた会えるだなんて思いませんでした！」
「……また会えるなんて、嬉しい……。
　あなたが、敬語を使う必要なんてありません。
　私より、ずっと偉いのだから」
「いいえっ、敬語はクセなのです！　だから、天吏殿が気にする事はありません！
　──ああ！　屋台の店番を交換するお約束が！　でも天吏殿とお話したい！」

　天吏は目の前でじたばたするいぬ、もといカボチャを見て、天吏はふと思いました。
　──普段から人間は好きに犬を扱っている。何を売っているのかは想像がつかないが、こんな時こそ。
「い……カボチャさん。
　……お店の、お手伝いをさせてください……。役に立つかは、分からないけれども……」
「そんな！　屋台主殿も前にせっしゃを助けてくれた天吏殿のお話に感動していたんです！　天吏殿なら大歓迎です！」

　こうして、天吏とカボチャのいぬが向かった先はぬいぐるみを売る屋台でした。
　可愛らしいいぬとねこのぬいぐるみが一緒に並ぶ中、天吏は話通り店主もいぬのカボチャだと知ると、自分に手伝える事として、売れたところに在庫のぬいぐるみを置いたり、お店周りの小さなごみを捨てたりと一所懸命に頑張りました。
　これが、いぬの為になるのだと思うと、天吏には心から嬉しいと思えたのです。