【遠足】ねこでんに乗って、どこ行こう？｜リアクション

【遠足】ねこでんに乗って、どこ行こう？

●笑顔のある風景

　再び、赤いレンガの倉庫。
「あれ、久保田先生。皆で買い物？　何買ったんだ？」
　通りがかった神無が、足を止めた。
「うさゴムよ、かわいいでしょ？」
　由利のツインテールを両手でぽふぽふしながら、久保田。
「千唐君のお姉さんのアクセサリーも、探し中。神無ちゃんは、何を買ったの？」
「ペンダントだよ、スワロフスキーの。あっちの店で偶然見つけたんだ、色々あって綺麗だった」
「本当？　じゃあ、そこを覗いてみましょうか。案内してもらっていい？」
　神無を先頭に移動する一行は、フォトモザイクを撮る一角を通りがかった。
「あっ！　写真撮ってもらえるみたいだよー、一緒に撮ろ撮ろー♪」
「……なんか嘘くさい笑顔達だねぇ」
　千唐のネガティブな小さな呟きは、由利の歓声がかき消してくれた。
「記念だから、皆でポーズ作らないー？　こんなのどうかなー？」
「あはは！　面白いわね」
　楽しそうな皆に、千唐も話しに乗った。
「先生、一緒に撮りませんか？」
（どうせこの先生の笑顔も、嘘くさいんだろうな）
　そんな千唐の胸のうちなど露知らず、久保田はよーしと腕まくりをする。
「じゃあ、皆ちゃんと入るようにぃ～！」
「えっ！！？」

　大きく広げられた久保田の両腕が、千唐と神無の首に絡められる。
　由利も一緒になって、頬を寄せ合った写真の顔は、確かにどれも楽しそうに見えた。

＜神奈川篇　了＞