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【遠足】ねこでんに乗って、どこ行こう?
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●築地・体験学習 ~巡るフライパン~●
築地に何軒かある玉子焼き専門店のひとつに、希望していた生徒たちが集まっていた。
「「よろしくお願いしまーす!」」
白沢先生
と一緒に白い割烹着に身を包み、店長と案内をしてくれる従業員の女性に挨拶を済ませ、まずは店舗部分の見学だ。
(ここで練習すれば、少しは上達するかしら……)
零葉の心境は、その静かな佇まいからは想像もつかない不安に揺れていた。
何もかも完璧な双子の兄とは違い、壊滅的な料理の腕を少しでもなんとか出来ないか……そんな思いを隠している。
(やっぱりちょっと不安だわ……)
近くで従業員の説明を聞いているアリーセも、図らずも似たような思いを抱いていた。
ちょっと不器用なところがある彼女は、玉子焼きを綺麗に焼く事が出来ず、苦手に思っていた。
レシピ通りに作れば、見た目はともかくそれなりに美味しいものは出来上がるけれど、やっぱり見た目は大事だ。
アリーセの表情に時折不安げなものが見え隠れするのを、隣の
李 小麗
はちらちらと見ていた。
(なんだか切ない目なのだ……お腹が空いてるのか?)
店の中には、ショーケースに並んだ玉子焼き。
奥からは、出汁の入った玉子が焼ける美味しそうな匂いが漂ってくる。
くきゅるるる。
(…………しゃおりーも、お腹空いたのだ)
お昼まではまだ時間があるけれど、食べ盛り育ち盛りのお年頃には辛い時間帯だ。
(確か、体育科の……この子、お腹が空いてるのね)
小麗の腹の虫に気付いて、アリーセは小さく笑む。
緊張が少し、解けたような気がした。
「んぁ?」
彼女の視線に気付いた小麗が見上げてくる。
「李さんだったわね」
「しゃおりーのこと、知ってたか! ええと、確か芸術科の……く、くろ……」
「黒衣アリーセよ」
「おー。そうだ、アリーセだ!」
名前をなかなか思い出せずにむーむー首を捻る小麗に、アリーセが名乗るとお団子頭の少女の顔がぱあっと明るくなった。
「しゃおりー、玉子焼き屋の玉子焼きが、甘いのかしょっぱいのか気になったから、実際作って食べてみることにしたのだ!」
「……そうなの」
同い年だけれど、小麗のあどけない話し口や仕草が微笑ましい。
そんなアリーセを、期待の眼差しで見詰める小麗。
「アリーセも、もしかしてしゃおりーとおんなじで、玉子焼きを食べたくなって参加したのか???」
「えっ……ちょっと、違うかしら」
小麗は自分の勘違いに、かあっと頬を赤くする。
「な、なんだ違ってたのだ」
「私は和風の玉子焼きも大好きだけれど、自分で作るとどうしても綺麗に出来ないの。
今日は頑張ってプロの焼き方をマスターしたいわね」
アリーセの家庭の玉子焼きは母の故郷であるドイツ式で、ジャガイモやベーコンなどを炒めてから玉子を流し込んで焼くものだった。
日本ではスペイン風と呼ばれる事が多い玉子焼きだ。
小麗はそれを、感心げに聞いている。
「アリーセは真面目なのだ……今回のしゃおりーは真面目より食い気だったのだ」
「自分で綺麗に焼き上げた玉子焼きを食べてみたい、という意味では私も変わらないわ」
ふふ、と笑みを零すアリーセに、「そうか!」と彼女も笑顔を見せた。
店舗の見学が終わると、簡単な説明の後奥の工場へと通される。
清潔な工場では、半袖の白衣を着た職人たちが玉子焼きを作っていた。
長いコンベアの上に並ぶ、無数の四角いフライパン。
その前に立つのは4人で、各々役割があるようだ。
一番端の1人目が油を引いたフライパンに機械から卵液が流し込まれ、熱の入ったコンベアに並べられる。
ゆっくりと横へ流れていく間に火が通り、2人目が掻き混ぜるように一度端に寄せ、タイミングを見ながら数度ひっくり返した後板で押さえて形を整える。
3人目が型を取って外側に玉子焼きを寄せ、空いた場所に油を引き直し長いチューブに繋がった器具で卵液を追加する。
その後、4人目がまた熱の通り具合を見計らいながらひっくり返しを繰り返し、板で形を整え……最後に取り出され、網の上に置かれた玉子焼きは美味しそうな色合いと綺麗な形で並んでいた。
合間に4人目の職人が、奥にあるレールに空いたフライパンを置くとカラカラと小気味良い音を立てて最初の地点に戻っていく。
「……」
「……」
「……」
一糸乱れぬ動作を延々と行う職人たちの背や手許を眺め、思わずしーんとする一同。
従業員の女性が説明はしていてくれたものの、一切無駄のない動きには唖然とするしかない生徒もいる。
(これは……料理なのか?)
瞬平
の頭に疑念が浮かぶ。
否、これは流れ作業ではないか?
しかも、職人の手際のお陰で一見簡単そうに見えるものの、実際はそう簡単にこなせるものではないと、彼には理解出来た。
やがて、職人たちが作業を切り上げ、あれだけ並べられていたフライパンは一端片付けられる。
体験の際には、ひとつずつ流すようだ。
「え~それじゃ、4人ずつ交代で焼いてみましょうか」
女性従業員はにこやかだけれど、先程の光景を見て気後れしてしまう生徒もいる。
「とにかく、やってみようか」
刀が一緒に来た面々を促す。
『おりょうりは、にがて……』
スケッチブックで鼻から下を隠すようにしながら、海は眉を下げる。
「僕、家ではやってるから……失敗はしないと思う……けど」
よく手伝いをしているという日向に元気付けられて、そろそろ前に出た。
ブリジットがはっとする。
「って、私にもやらせる気?」
龍八はカメラを構えたままだ。
「大丈夫だ、俺もこういうのは初めてだが……やり甲斐がありそうじゃないか?」
負けず嫌いの刀は静かに挑戦心を燃やしているようだけれど、ブリジットは苦虫を噛み潰したような顔をする。
他人には言えないけれど、炊事洗濯家事全般は彼女の苦手とするところなのだ。
使用人が身の回りの世話をするようなお嬢様であれば、無理からぬ事なのかも知れない。
「1人目なら、そんなに重労働じゃないだろう?」
「しょうがないわね……」
ブリジットは渋々承知した。
2人目に刀、3人目に海、最後に日向がスタンバイし、玉子焼き作り体験が始まった。
卵液の入ったフライパンが、コンベアに乗せられる。
コンベア周辺の静かな熱気に、じわじわと額に汗が浮かぶ。
まるで戦いに挑むようにフライパンを見据え、刀は箸を構え、かき混ぜるように端に寄せ……。
「……!」
ひっくり返すのがちょっと早かったか、まだ固まっていない卵がはみ出た。
「大丈夫……まだリカバー、出来るよ」
日向の声掛けに、海がおたおたしながら追加の卵液を入れる。
ワンプッシュで必要な分だけ出るから、失敗はない。
コンベアを流れるフライパンをじっと見詰める日向。
熱を加えられた出汁の匂いが漂う。
(……このくらいかな?)
いつもおっとりしている彼からはあまり想像がつかない箸捌きと手の返しで、玉子焼きはくるっとひっくり返った。
フライパンは大きさの分重かったけれど、上手くいった事にほっとひと息。
「上手いな……!」
刀が感心し、海も胸を撫で下ろしている。
もう一度ひっくり返して、形を整えて。
初めてにしてはまずまずの玉子焼きが出来たようだ。
「なかなかの出来じゃない。私が油を引いたお陰ね!」
胸を張るブリジットにみんな言葉がなかったけれど、日向は「……うん」と眉を下げて微笑んだ。
その後何度かやった際も、途中で少し上手くいかなくても、日向のお陰でひとまずちゃんとした厚焼き玉子の体裁は保てるものが完成した。
一番手の結果に安心したのか、次のグループへの交代は割と速やかに進んでいく。
失敗しても笑い合い、割と和気藹々とした空気が流れている。
やがてアリーセと小麗、零葉たちの番になった。
アリーセが2番手、3番手、4番手にそれぞれ小麗と零葉が立つ。
(なずは一層目を焦がさないように、お箸でかき混ぜながら……)
「エイッ!」
あまり綺麗な形にはひっくり返ってくれなかった。
フライパンの重みが結構ある事も、より返しを難しくさせているかも知れない。
(……まだよ、次で挽回すればなんとか)
「それっ!」
べちゃん。
力が篭りすぎてしまったか、大きく跳ねた玉子が半分フライパンの縁で分断されて、虚しく床に落ちてしまった。
アリーセ、ショック。
「ああ……あっ!?」
残念そうな顔をしている小麗の前を、フライパンはゆっくり流れていく。
慌ててフライパンの端に半分くらいの玉子焼きを寄せ、卵液を追加した。
後は零葉に託すしかない。
「わかったわ、やってみる」
淡々と答えた後は眉ひとつ動かさず、彼女はフライパンと箸を動かし……形こそ小さいが、なんとか厚焼き玉子らしい姿を取り戻した。
アリーセと小麗はほっとする。
更にもう一個。
「今なのだアリーセ!」
「くじけるなアリーセ!」
先程アリーセがあまりに大変そうだったので、小麗はタイミングを見て声を掛ける事にしたのだ。
でも。
「…………あ、あの、ね?」
声に気を取られているうちに返し損ねたり、ちょっと驚いて半熟状態の玉子に箸を突撃させてしまったりと、上手くいかない。
「お、おぉ……かえって気が散るか。ごめんなのだ」
「ううん、気持ちは嬉しかったわ」
肩を落としてしょんぼりする小麗に、アリーセは首を振って見せた。
「さ、李さんもこっち、挑戦してみましょう?」
「うん、しゃおりー、アリーセの分も頑張るぞ」
意気込みは充分の小麗の前に、卵液の入ったフライパンが流れてくる。
「む、む……」
タイミングはいつかと、睨めっこ。
「そろそろかしら」
「ぬう!」
そっと知らせるアリーセの小声を耳にし、小麗の手に力が篭った。
ぐにゃあ。
「うぅ!」
必死で眉を吊り上げる!
へちょっ、でろん。
フライパンから零れこそしなかったけれど、とってもイビツな形になってしまった。
「ぐぬぬ……」
このままでは、玉子焼きの本当の味が確かめられないかも知れない。
「負けないのだ! しゃおりー、玉子焼き屋の玉子焼きを食べるのだ!」
懸命に挑戦する小麗を見守りながら、アリーセもぎゅっと拳を握り締めていた。
他の生徒の手も仕上がりに影響する事を思い、瞬平はひとりでやらせて貰えないかと交渉する。
「止めはしないけど……大丈夫かな?」
職人さんたちは戸惑い気味だけれど、瞬平が目指す玉子焼きには必要不可欠だ。
彼は空のフライパン片手に端に立つ。
(卵焼き……ただ卵を焼くのみの単純な料理。それ故に深い。
ただ『焼く』、それのみに籠められた深み。
ほんの少しの加減の違いで、完成品は雲泥の差になる)
その手つきは、鮮やかだった。
指先よりも繊細な動きを見せる菜箸で、かつ思い切りよく絶妙のタイミングでひっくり返していく。
出来上がったのは、職人のものにも引けを取らない美味しそうな玉子焼きだ。
「凄いな……」
思わず感嘆の呟きを零す刀だったけれど、瞬平にとっては少し物足りないくらいだった。
卵液を自分で作る訳でもなく、一定した環境での作業にすぎなかったから。
感心した様子の職人から「卒業したらうちに来ないか?」と声を掛けられたりしたが、多分それはないだろうと瞬平は内心思う。
同じものを延々と作るのは、やはり料理というより作業だ。
「みんな、お疲れ様。玉子焼き作りはどうだったかしら?」
白沢先生が朗らかな笑顔で労う。
「この後皆さんが作った玉子焼きは、少し冷ましてから屋形船のランチに出される事になるわ」
後は店の従業員から船宿へと送られる手筈になっているという。
「だけど、一生懸命作った玉子焼き、食べてみたいと思わない?」
そう告げた白沢先生の後ろから、試食用に切られた玉子焼きが運ばれてきた。
みんなで試食し合って、焼き加減などの感想を交換する。
どれも元は同じ味付けの卵液だから、ベースとなる味は変わらない、筈なのだけれど。
「……」
自分の作った玉子焼きを口に入れて、零葉は眉間にシワを刻む。
「なんだか……他のと違うような」
「ううん? うーん……」
アリーセや小麗、同じ玉子焼きを食べた生徒たちも首を捻ったり、変な顔をしている。
内側はやや半熟の玉子焼きだが、外側の味が何か違う気がする。
(どうしてこうなっちゃうのかしら……)
零葉は小さく項垂れた。
基本を忠実に守り、教えられた通りこなす彼女は料理も見た目『だけは』問題ないものが作れるのだ。
だというのに、味の方がおかしくなってしまう。
そうさせている要因も分からず、彼女の悩みはそう簡単に解決しそうにもなかった。
「玉子焼き屋の玉子焼きは、しょっぱくてちょっと甘いんだな!」
他の生徒たちが作った玉子焼きにありついて、噛み締めるように食べる小麗。
「出汁と卵の元々の味が、こういう味を引き出すのね」
アリーセも、好みの味付けと卵の風味に表情が和らぐ。
わいわいと賑わう生徒たちの中、ただひとり静かに堂々と佇む瞬平。
自分が作った玉子焼きの味は、言外に『食えば分かる』と言っているようだ。
「……美味い!」
「全然違うな、焼き方でこんなに変わるのか」
彼が作った玉子焼きを食べた同級生たちのそんな声を聞いて、瞬平はフッと口許に笑みを浮かべた。
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シナリオジャンル
日常
学校生活
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
125人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年02月24日
参加申し込みの期限
2013年03月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年03月03日 11時00分
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