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Melt Sinner
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絵に没頭すると、時間が経つのも忘れてしまう。その日、
月居 歩
は夢中で風景画を描いていて、ふと気づいた時には日付が変わっていた。歩は筆を置くと、小さく伸びをしてから目を擦った。眠さはなかったものの、絵を凝視し続けていた目は疲労を強く訴えていた。立ち上がり、完成間近の絵を眺める。青い空に、平凡な街並み、小洒落た外観の家々 ―― 歩の記憶のページが捲られ、同じ様な風景が脳裏に蘇る。
意識して地元の風景を描こうとしたわけではなかった。記憶の底、色濃く縫いとめられた過去がゆっくりと開かれていくのを感じ、歩は窓を開けると空を見上げた。散りばめられた星々は、明るい満月の光に包まれて輝きを半減させている。どこからともなく細い歌声が聞こえ、歩は目を閉じた。
あれは、高校に入ってすぐの事だった。あの日、たまたま何処にも寄らずに真っ直ぐに帰って、その道すがら買い物帰りの母親と出会った。その出会いも、たまたまだった。学校の帰りに母親に会うなんて、今まで数えるほどしかない。
歩と母親は、特別仲が良いというわけではなかった。でも、特別仲が悪いというわけでもなかったため、目的地が一緒なんだからと一緒に帰った。歩には家に帰る以外に予定がなく、買い物帰りの母親もまた、家に帰る以外に予定がなかった、ただそれだけだった。
偶然予定のなかった歩が偶然母親と出会い、特に理由がないから一緒に家に帰る。どこもおかしなところはない。そして ―― 病気で気を失った運転手が乗ったトラックが、歩道に突っ込んできたのも、たまたま……。
大きなトラックが、法定速度以上で走っているのは視界の端に移っていた。でも、真っ直ぐな坂道は、速度を守って走るトラックばかりではない。だから、気に留めなかった。母親の持つ買い物袋を一つ掴み、何となく歩調を合わせて歩くのが気恥ずかしくて、早足になる。母親が歩の名前を呼び、足を止めて振り返った。
トラックの運転席で、ハンドルにグッタリともたれかかる運転手の様子が見える。坂道で跳ねた身体がハンドルを動かし、タイヤが歩道へと向けられる。細いガードレースがトラックの車体に薙ぎ倒され、足を止めていた母親を巻き込んで民家に突っ込んで行く。物が壊れる音と、誰かの鋭い悲鳴が混ざり合う。数人の男性が何かを叫びながら走って来る。車体の下を覗きこみ必死に声をかける人、運転席の男性を助け出そうとする人、民家から飛び出してきた住人、携帯電話を片手に必死に救急車を呼んでいる人。一際鮮やかに映し出される鮮血。タイヤの下から緩やかに流れ出た血は見る間に広がり、投げ出された白い腕が、瞬く間に赤く染まって行った。
―― そう、全ては偶然の産物だった。誰が悪いわけでもない。病気で気を失っていたというなら、運転手も責められない。全ては、不幸な事故だった。……その、はずだった。
「何故守ってやれなかった!」
病院の廊下に響く父親の声に、歩は何も言い返すことが出来なかった。胸に抱いた怒りをぶつける方法が、他になかったのだということは分かっていた。父親が心から母親を愛していた事も、分かっていた。……何より、歩自身『何故あの時守れなかったのか』と後悔していた。だから、父親の言葉をそのまま受け入れる事にした。
けれど、心の底にモヤモヤとした感情は残った。警察から話を聞いた直後、憔悴する歩に真っ先にかけた、責める言葉。警察官が仲裁するまで、父親は傍にいながら何も出来ずにいた歩を詰った。
あの日以来、ろくに父親とは会話をしていない。父親も歩も、お互いの気持ちを理解するなんて無理なのだろう。その状況を見かねた親戚が、歩に一人暮らしを勧めたのは去年の冬、勧められるまま寝子島に来て、寝子島高校へ編入した。
いつの間にか、歌声は聞こえなくなっていた。歩は目を開けると、目にかかる黒髪を指先で払った。窓を閉じ、完成間近の絵に目を向ける。
今でもあれは、偶然が重なった不幸な事故だと思っている。どれか一つでも欠けていれば起こりえなかった事。でも、変えようのない過去を今更仮定しても仕方がない。頭では分かっているが、それでも考えてしまう。
もしもあの時、歩が母親を守ってあげていれば。母親の代わりに、死んでいたら。……きっと、父親も母親も幸せだったのだろう。そう考えてしまう。
何故あの時、守れなかったのだろう。足を止めて、振り返り、走って母親を突き飛ばす、たったそれだけの行動が出来ていれば、母親は死なずにすんだ。トラックの異変に気付いてすぐに行動していれば、母親は掠り傷程度で生きていたはずだ。そうすれば、父親があれだけ嘆き悲しむ事もなかっただろう。
誰かを喪うのは、もう嫌だ。そう思いながらも、母親を助けられなかったと言う事実が暗く影を落としている。
歩は小さく息を吐くと、再び絵の前に腰を下ろした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月13日
参加申し込みの期限
2014年02月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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