風紀桃色プールサイド｜リアクション

風紀桃色プールサイド

　変態が隊長含め全員捕獲されると、プールはようやく平穏を取り戻したようだった。
「ふう……まさかこんなに多くの不届き者がいたとは。すみません相原先生、なにからなにまで任せてしまって」
　破廉恥小隊の隊員たちの一覧を作成した桐島が一息ついた。
「いえ……生徒たちが守ってくれましたから」
　そう言って微笑むまゆは、竜司の元へと向かった。
「あ、まゆ先生！　お疲れさまです！」
　まゆを見つけた竜司が我先にと駆け寄る。竜司はこの一連の騒動の中で、唯一ＰＥＣ隊員でありながら罰を受けなかった男だった。といっても、破廉恥行為を働いていないので当たり前ではあるが。
「竜司くん……あの時は、ありがとう。少し、頼もしく見えたわ」
「ま、まゆ先生……まゆ先生がデレた！　ウオオォオオ！　まゆせんせえええええええ！」
　竜司は今までの我慢がまゆに褒められたことで爆発し、まゆにルパンダイブを決めようとした。が、その瞬間、寿美礼の水泳用フィンが竜司の首に勢い良く食い込み、竜司はカエルのつぶれたような声を上げて地面に叩き落とされた。
「げぶぅ！？」
「こらこら！　まゆ先生にイタズラしようとしちゃだめだよー！」
「ど、どいひー……結局こうなるのかよ……」
　そんな微笑ましい（？）やりとりを少し離れて見ていた桐島のもとに智瑜がやってきた。
「桐島先生！」
「ん、宮祀か。お前もプールに来ていたんだな」
　桐島は智瑜の褌姿には触れなかった。
「はいっ！　お疲れ様で……、きゃ！」
　智瑜はプールサイドの水で足を滑らせ、桐島に抱きつくような形で転んでしまった。
「おっと！　……大丈夫か？」
「は、はい……すみません」
　急いで体勢を整える智瑜だったが、水着、いやサラシごしに桐島の男のごつごつした感触が残って、思わず顔が熱くなってくる。
「……宮祀、ほんとに大丈夫か？　赤くなっているし、もしかしたら熱が」
「いっ、いえいえいえいえ！　大丈夫です！　私、元気ですっ！」
　智瑜は極力意識しないように努めたが、そうすればするほど今の自分の格好も相まって恥ずかしくなってしまい、智瑜は桐島に背を向けて女子更衣室に走って行ってしまった。

　その頃風紀委員の面々は、取り締まりに協力してくれた生徒たちも含めて集まっていた。
「みんな、おつかれさま。これで変態達も懲りたと思うわ」
　どこかすっきりしたような顔の貴子に、「それはわかりませんけどねー」と彩葉。
「とにかく、取り締まりに協力してくれた人たちもありがとう。お礼と言っては何だけど、桐島先生が寝子島サイダーを差し入れてくれたから、持って行ってください」
　咲はダンボールに詰まった缶のサイダーを一本づつ取り出すと皆に配り、簡単な打ち上げ状態となった。
「かんぱい！　いやあ、変態達は強敵だったねゆーかちゃん、ちとせちゃん」
　上機嫌の信彦が話しかけると、千歳は「ちとせちゃ……」と嫌そうな顔をしたが、ふっと笑った。
「まあいいわ、八十八旗君もおつかれさま」
「……私も助かったわ。ありがとうね」
「なあに、最初に言ったでしょ？　レディのピンチに駆けつけるのは紳士の務めだってさ！」
「これでチャラさが抜ければいいんだけどね～」
　かっこよく決めたはずの信彦は、後ろにいた彩葉のセリフでずっこけてしまった。
「け、結局チャラいって言われるのね……」
　そんなこんなで皆がソーダを飲み終わって各々再びプールに向かったり、帰路についたりしている時に事件はふたたび起こった。
「や、矢萩さん、なにを……」
「えへへぇ……ぎゅー……」
「矢萩先輩が酔ってるぞ！」
「き、桐島先生、まさかお酒を……」
「い、いや、そんなはずは……！」
「冴木くんふっとばされたー！」
「どいひーっ！？　なんで俺がーっ！」
　寝子島の夏。プールで起きた不思議な破廉恥事件は、もう少しだけ続きそうである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり

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あとがき

担当マスター：むょりん
ファンレターはマスターページから！

どうもこんにちは、むょりんです。今回は間に合いました（ギリギリでしたが……）。

今回は半分コメディ、半分バトルという形になりましたが、いかがだったでしょうか。
もともと戦闘描写が好きなので、今度は純粋なバトル物をやろうと考えております。

ともあれ、亀のシナリオから続けて参加くださった方々も、今回が初顔合わせな方々も、ありがとうございました。
また機会があればよろしくお願い致します。

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