補習危機一髪！　～白い魔弾とウザイ奴～｜リアクション

補習危機一髪！　～白い魔弾とウザイ奴～

【飴と鞭の使い方】

　そして短いようで長い、長いようで短い補習の終了を告げるチャイムが鳴った。

「やぁ、さんま君。君達もお帰りかい」

　生徒達に駆逐されなかった残りの落書きサンマさん達は、ぽんっ、ぽんっと軽快な音を立てて次々と消えていった。
　その様子を晴海飛鳥は頬杖をつきながら目を細めて見守る。

「今度会えるのは期末かな？　楽しみにしているよ」

　そして飛鳥の言葉に見送られるようにして最後の一体が消えた所で課題のプリントも回収された。

「はい、皆お疲れ様」
「んー、疲れたねー。ハッハッハ、やっぱりなれないことするもんじゃないね」

　ぐーっと腕を上へと伸ばして伸びをする飛鳥に、ウォルターがチョークではなく革手袋をはめた指でちょんと額を小突く。

「いつものようにモスマンとか落書きに勤しんでいたどこかの誰かさんの台詞とは思えないんだけど」
「いやいや、落書きだけじゃないよ？　どうやったら先生の心を折る悪戯が出来るかをだね……」
「そんな無駄なことは考えなくていいの。あと久坂と大葉に、他にも終わらなかった子は残りの分宿題ね」
「えー……」
「は、はーい……」

　全く反省の色なしの飛鳥の様子に流石のウォルターも溜息をついてこめかみを押さえた。
　日和は日和で予想はしていたが残っていた課題を宿題として押し付けられ、あからさまに面倒くさそうな顔をした。
　雛子はしょうがないと思いつつも、心の中でめそめそと泣く。悲しいのは宿題よりも、なんとなく制服に魚臭さが染みついてしまったような気がすることだった。

「まぁそれはそれとして。自業自得な子達も多いけど、自主的に勉強しに来てくれた子達も結構いて良かったよ。普段真面目にやってない子も今日は頑張ってたみたいだし。勉強が楽しくない人の方が圧倒的に多いと思うけど、でも少しでも楽しい部分が見つかれば自然と身が入って理解も深まるはずなんだ」

　そう言ってウォルターは教卓の下からクーラーボックスを取り出す。
　クーラーボックスを開けばそこにはよく冷えたペットボトルのジュースと、アイスティーの入ったハンディクーラー。

「そろそろ暑くなってくるし、水分補給も兼ねて頑張ったご褒美。好きなの飲んでいいよ。ちなみに紅茶の方は僕のお手製ね」

　人差し指を唇の前に立て、ウインクを一つすれば勉強で疲弊しぐったりしていた生徒達からわっと歓声があがる。

「今日はありがとうございました！　せんせー大好きー！」

　補習中我慢していた分ぎゅーっと勢いよく抱きつく岬に、やれやれと肩を竦めるウォルターが少しだけ嬉しそうな顔をしていたのは補習に参加した生徒だけが知っている。

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あとがき

担当マスター：本条小鹿
ファンレターはマスターページから！

大変お待たせして申し訳ありません！
そして補習に参加して下さった皆様、ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございました。
遅れてしまったのは一重に本条のスケジュール管理の甘さ故、ご迷惑をおかけしてしまったこと深くお詫び申しあげます。

そしてこの度NPCとしてウォルター・ブラックウッド先生が登録されました。
また別のシナリオでお会いすることもあるかもしれません、ちょっとコワイ先生ですが何卒よろしくお願い致します。

それでは次のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。
お疲れ様で御座いました！

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