黒い指先　――三つ目の願い――｜リアクション

黒い指先　――三つ目の願い――

●エピローグ３　～そして時は巡る？～

　拝島薫に呼ばれ、後木真央と八神修は三下邸を訪れた。
「薫ちゃん、マダムちゃんに会いに行くのだ？」
　真央は嬉しそうに問う。あの日、薫はゴローが事故で人を傷つけてしまい、本人も入院したと千代子に嘘をついた。千代子は大層心配したけれど、怪我は双方大したことはないと言いくるめ、その場を収めた。

　迎えに出た使用人に案内され、三人は地下室に降り立つ。
　待っていたのは、かつてろっこんを悪用し、人を殺したあの男。

（バカゴロー……！）
　思わず薫の背中にしがみついた真央に、彼女は心配ないと微笑む。

　修は地下室を油断なく見回した。
　多数の監視カメラが稼動している。来客は告げてあるから、きっと人目も存在しているのだろう。
（幽閉されているのか。確かに此処では、ろっこんは使えない）

　納得するのも束の間、ゴローは薫の姿を認めると、中年男に似つかわしくない情け無い歓声を上げ、擦り寄って来た。目はどこか上の空で力がない。
「ママ、ママ……やっと会いに来てくれたんだね」

　はっきりと異変を感じ、真央は飛び退る。修も、すぐには二の句が告げなかった。
「幼児退行……、か？」
　強いストレスは、ゴローの精神を崩壊させていた。

「ママ。ねえ、もっと僕に会いに来て、寂しいよ。
　僕頑張って、勉強もするから……兄さん達みたいに賢くなって、パパのように偉い人になるよ」
　取りすがるゴローに、薫が横に首を振り、真央は堪らず主張する。
「バカゴロー！　そんなのより、マダムちゃんに優しくするのだ！」
　ゴローがきょとんと、真央を……そして若き日の母の面影のある女を見上げる。
「そうだね、優しい人になりなさい」
「優しい人……？　そんなのでママはいいの？」
「ゴロー。それが人にとって、一番大切な事です」
「ふうん、そうなんだ……。
　うん、ママが喜んでくれるなら、僕は誰よりも優しい人になるよ……」

　ゴローの言葉を、真央と修は深く胸に刻んだ。

「楽しみにしていますよ」
　浅く笑う美しい女は、どこまでも優しく――どこまでも冷たい。

　　　終

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あとがき

担当マスター：メシータ
ファンレターはマスターページから！

　メシータです。このような結果になりましたが、いかがでしたでしょうか。

　ポルターガイスト＆ゴローに関わるアクション内容にも関わらず「三つ目の願い」への対策が抜け落ちている方が、見受けられました。それらが目的達成の足枷となっている方も、ちらほらおられます。
　また準備はアイテムをどれだけ持ち込むかで、到着時間に差が出ています。逆にアイテムもなく、単独行動を行った方は他より先に現場にたどり着いていますが、アクションで何も工夫されていない場合、単騎で敵に突っ込む結果になっています。
　ポルターガイストへの対策がなくても、さとみのみに関わるアクション内容・一緒に行動されていて庇い合える人がいれば、互いにフォローし合え、負傷を避けています。
　ゴローの側についていた人は、そもそも攻撃対象にならなかったのでスルーですね。

　難易度高であるにも関わらず、多くの方が望まれた結果以上のものが出せているのは、ヒーラーさんのお力によるものが大きいです。また未央は風弥さんの援護が無ければ、状況的に最初の段階で死亡していました。もれいびは死ににくいというだけで、頑丈かどうかは本人の元々持っている資質によります。実際、毎日鍛えている設定のＰＣ様の方が、未央より余程強いです（笑）。

　未央の母は全盲でしたが、ご配慮いただきました結果、日常生活を送るのに支障がないレベルまで視力を回復しております。ありがとうございます。
　千代子へのお気遣いも、ありがとうございました。ゴローを問題ないレベルまで教育出来れば、後日会わせられると思います。ガンの克服は、今後次第というところでしょうか。とは言え、決して意味の無い行動ではありません。確実に命を伸ばしていただいています。

　そうそう、ジニーさんがゴローから聞き出した犯行供述の録画は別ルートで薫の手に渡った為、交渉の結果、ジニーさんは実はこっそり三下家から口止め料を受け取っています（笑）。

　釘打機は、いいなさんへ。ガイドではわざと伏せておりましたが、安全装置は未央が直して持参していました。もう先端が物に触れていないと、釘は打てません。
　猫鳴館の修繕などに使っていただければ、幸いです。

　負傷者はヒーラーさんに恵まれていましたので、軽傷はポルターガイストによる打撲・かすり傷程度です。

【負傷者一覧】
■軽傷
新井米太郎
犬神花梨
御剣刀

■重傷
三下ゴロー（発狂）
犬飼未央

　それでは、本シナリオへのご参加まことにありがとうございました。
　少しでも楽しんで頂ければ、幸いです。

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