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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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酒樽を囲み、柄杓ですくった酒を回し飲みする老翁たちの傍にレジャーシートを敷かせてもらう。行儀悪いから真似しちゃいかん、と口々に言ってはおつまみの干物を分けてくれる爺ちゃんをインスタントカメラで写し、撮った写真を進呈し、真央は今度はデジタルカメラとスマートフォンも取り出す。桜花の宴の写真を撮り続ける。
「寝子島は異世界が近くて幸せなのだネタの宝庫なのだ」
魚の干物をもぐもぐ齧り、持って来たお弁当も開けてもぐもぐ食べる。手も口も動かしながら、真央は桜色の景色を前に頬を綻ばせた。寝子島にはもうないはずの景色をいっぱい撮ることができた。春休み明けに新聞部へ提出する記事の自己ノルマも随分稼げたというもの。
興味津々にお弁当を覗き込んで来る酔っ払い爺ちゃんの口にから揚げを突っ込む。うまいうまいと悶絶する爺ちゃんと桜をまた写し、真央は笑った。
追い出されるまでここに居座ろう。この不思議な桜の世界の写真をたくさんたくさん、撮り続けよう。
「隣、よろしいですか」
嬉々として覗き込んだファインダーに、青みがかった黒髪の青年の顔が写り込んだ。カメラを膝に下ろし、頷く真央の隣、露草はどこか芝居がかった会釈をして座る。
「美しい……これは素敵ですね……」
切れ長の瞳を細め艶めいて微笑み、露草は鞄からスケッチブックと鉛筆を取り出した。なんだなんだと集まる酔っ払い爺たちに慈愛に満ちた笑みを返し、露草は鉛筆を走らせる。見る間に描かれてゆく桜や城や宴に興じる自分たちの姿に、老翁たちは皺に埋もれた眼を丸くした。
「……この城や桜の名を聞いてもよろしいですか?」
絵描きの美青年から静かに問われ、酔っ払いたちは少し臆した表情をみせる。もじもじする素朴な爺ちゃんたちの間からややあって押し出された最年長らしい禿頭の老翁は、頭を掻き掻き頷いた。
「城は八夜城、桜は千年桜。わしらは姫様の名で、……お千代桜と呼んでおるよ」
「お千代桜。……美しい、良い名ですね」
露草は空を覆い尽して咲き誇る不思議な桜を仰ぐ。手元のスケッチブックに、目にした景色を少しでも形に残すべく描き続ける。
「皆様はずっとこの地で宴を?」
「んあ、いやいや。桜の咲かぬ時期は働いとる。あっちの郭の田畑耕したり、花見の宴のための酒仕込んだりな。お千代桜が健在のうちはわしらも在り続けなければならんからの」
「……普段は、何処に?」
少なくとも、今の寝子島では彼らを見かけることはない。三夜湖に突如として現れたこの城は、普段は普通に暮らしているのであるのなら、その普段は一体何処に存在しているのだろう。
老翁は首を傾げた。
「はて。此処ではない何処か、になるのであろうの。いやいや、しかし寝子島はやはりええのう、幾年過ぎようともわしらが故郷じゃのう。……おお、そうだ。絵描きのにいさんは普段は何しとるんかの?」
学費を稼ぐためのアルバイトを、と言いかけ、露草は少し考える。姿かたちからして何百年か前に寝子島に生きていたらしい彼らに、流石にこの言葉は通じまい。
「……短期の働きを繰り返していてですね……」
「こんなに良い絵を描くのに、絵だけでは食っていけんのか」
「大変ですが、概ねどのバイ……働きも楽しいですよ」
「そうかそうか、酒呑むか? 魚食うか? 干し柿食うか? たんと食っていきなさい。ほれ、そっちのおなごも」
「わあ、ありがとなのだ!」
いただきますと手を合わせ、真央は魚と干し柿を片手ずつに持って幸せな顔をする。宴の最中を友人たちと歩いて行く円に食べ物を持った両手を振る。
「やっほー、円ちゃんなのだー」
「やっほー、真央ちゃーん」
真央や露草も巻き込んで宴会を再開する老翁たちや、四方を篝火に囲われた舞台で芸を披露する人々や、人の輪の中で武術大会を繰り広げる人々を見回し、円は緋色の眼を細める。この城の人々は、皆が皆幸せそうだ。
(神隠しのこと、……知ってるっぽい?)
郭を巡るうちに耳にした城内の人々の話と能美子が殿様たちから聞いた話を併せてみれば、その考えに行き着く。
『桜すごい。おしろもきれい』
青い瞳を輝かせて城を見回していた海が、溢れ出る感情をスケッチブックに記して言葉にする。少し言葉を考えるように桜の下の人々を見つめ、もう一度ペンを走らせる。
『なんだかみんなしあわせそう』
頷いてくれる能美子と円に笑みを向け、海はけれど俯く。寝子島書房の本に書いてある通りなら、この人たちがここに居られるのは今宵限り。能美子や円が集めた情報から鑑みて、次に三夜湖に帰ってくることが出来るのは、果たして一年後の今日になるのか、それとももっとずっと先の春の夜になるのか。
『なんだかちょっとかなしいね』
絵を描く少女は連れのふたりに告げてその場に留まり、スケッチブックを広げる。来年も会えるかもしれないけれど、もしかするともう二度と会うことができないこの場所のことを少しでも覚えていられるよう、絵に描き留めよう。桜とお城と、この場所の人々を。
海のスケッチブックに眼をとめた露草に手招きされ、誘われるままに海は彼と並んで座った。城の老翁たちが宴をしているここに居れば、城の話も聞くことができるだろう。この城に何があったのか、少しでも知っておきたかった。
行ってらっしゃい、と手を振る海に手を振り返し、能美子は天井のように空を覆い隠す桜の梢を見上げる。
「んー……ますます気になってきたわね」
「だよね」
「何とかして千年桜の幹に触れることはできないかしら」
触れて見つめることが出来れば、能美子のろっこん『役立たずの逆さ時計』は発動する。城とほとんど一体化した桜に宿る、桜に対する人々の思いを少なからず読み取ることができる。上手くいけば、この城のことがなんとなく分かるかもしれない。
なぜ寝子島から消えてしまったのか。
そもそも、本当に最初から城は存在したのか。
「城の構造すごいよね」
円は空の梢を視線でなぞる。城を抱き込んだ格好となっている桜の幹に視線を辿りつかせる。桜が城を呑みこもうとしているのか、城が桜を支えとしているのか。
能美子と話していた殿様は、以前はもっと小さな桜であったと言っていた。そうであるなら、お千代桜とも呼ばれるらしい千年桜はどうしてこんな巨木となったのだろう。
「……お千代桜、神隠しと切っても切り離せないと思うんだけど」
「そうね……」
歩き始めようとしたところで、能美子はふと足を止めた。手酌で酒を呑む老翁の傍ら、美しい所作で膝をつく。にこりと艶やかに微笑み、老翁の手から古びて欠けた徳利を取り上げた。眼を丸めて皺深い頬を酒精だけのせいではなく赤く染める老翁の猪口にお酌をする。そうしながら、ろっこんを発動させる。
――こうして呑むのも、これで最後かな
垣間見えたのは、鎧兜を身に着けて寂し気に呟く老翁の姿。
「戦があったのですか」
見えたままを思わず呟けば、目の前の老翁は、ろっこんの中に見たときよりもよほど楽しそうに笑った。
「もう避けられぬと思うたがの。わしらの姫様は大したもんじゃ」
言いつつ、老翁は桜の下を跳ねるように歩く薄紅の着物の少女を呼び寄せる。姫様、と呼ばれた少女は、屈託のない笑みを浮かべて駆けてきた。着物の裾をひらひらはためかせ、宴の端に立つ円の腰に人懐っこく抱き着く。
「おう」
不意に抱き着かれて思わず声を上げ、円は少女につられて笑った。この小さなお姫様に、何か見せられるものはあっただろうか。咄嗟に考え、
「そうだ、お姫様」
円はポケットから色付きのメモ紙を取り出した。丁寧に線を折り、四角に切り取れば、即席の折り紙となる。しゃがみこんだ膝の上で作るのは、いつかインターネットで見て練習したことのあるバラの花。
円の手元をわくわくした瞳で見つめていた姫は、出来上がった折り紙のバラを差し出されて歓声をあげた。折り紙のバラを胸に抱いて嬉しそうにくるくる回る姫を見て、円は素直に微笑む。
(うん、辛気臭いよりはずっと、嬉しい事だ!)
跳ね回る姫の頭をそっと撫でる八ヶ淵の殿と見守る奥方を見つけ、円は真摯な顔を向ける。
「歴史や、桜について聞きたいのですが」
歴史か、と結った黒髪を揺らし、八ヶ淵の殿は黒い瞳を細める。
「……さて、……八ヶ淵の興りはわしより三代前。城が建ったはその頃。桜は郭のうちに古よりあった。その頃より千年桜と呼ばれていたが、今は城の者は皆お千代桜と呼ぶ」
抱き着いてきた薄紅の着物の姫を抱き留め、八ヶ淵の殿は誇らしげに微笑んだ。
「この子の名だ」
おお、と宴会の老翁たちから歓声があがった。
「なんじゃなんじゃ、音がする! これもそこな真央の持つ異国の品の類か!」
「はい、南蛮渡来の品なのですー」
どこからともなく現れたゼロがどこからともなく取り出したMPプレイヤーのイヤホンを耳に当てたり、電子辞書の画面をおっかなびっくり触ったり、酔っ払い爺たちは大騒ぎ。
「よければどうぞなのですー」
「よっ、よいのか? よいのかっ?」
桜の花びらのついた銀糸の髪を揺らし、こくり、ゼロは頷く。そうして話すは、城の外、つまりは寝子島で見聞きしてきた珍しくも不思議なお話。
夜の海の空に浮かぶ西洋風のお城や、黄昏色の空の下で生きる人外の物の怪たち、聖人の誕生日に現れた恐ろし気な怪人。
「……なのですー」
のんびりとした口調で幼女の口から語られる、見たことも聞いたこともない話にこどものように夢中になる爺ちゃんたちに、ゼロは今度は掌から次々と色鮮やかな花を湧き出させて見せる。
「種も仕掛けもないのですー」
手品なのか本当の魔法なのか、それは見ている誰にもわからない。
「すごいすごい! すごい!」
爺ちゃんに混ざった姫からぱちぱちと全力の拍手を受けて、ゼロは灰銀の瞳を笑みに細めた。足元に落ちた花を両手にすくい、姫の上からふわりと掛ける。春の夜風にふわふわ躍る色鮮やかな異国の花に、姫は飛び跳ねて喜んだ。
「ゼロはゼロなのですー。一緒に遊びましょうなのです」
見回した限り、姫と同じ年頃の少女は郭のどこにも見受けられない。純白の少女と薄紅の少女は、手を取り合ってその場で遊び始めた。
「あげる」
姫から掌に握りこまされた金色の花片に、ゼロはふと首を傾げる。
「財宝があると聞いたのですー」
「ざいほう?」
「八ヶ淵の埋蔵金なのです」
うん、と頷いた姫は、その辺に転がった枝切れで地面に猫の横顔を描いた。ここ、と指し示すのは、猫の瞳の斜め下。ちょうど猫の口のあたり。
「川の始まりに桜の枝をさして、たからものを隠したよ」
言って、姫は気まぐれに立ち上がった。
「いいにおいがする」
「またねなのですー」
においに呼ばれてふらふらと歩き出す姫に、ゼロは白い手をひらひらと振った。純白のワンピースの裾にひらりと落ちる金色を手を伸ばして掴んでみれば、それは金の色した花片。姫からの贈り物らしい花片を小さな手に包み込み、ゼロは月影を蒼く透かせる桜の梢を仰ぐ。帰ったら、姫から聞いた埋蔵金の在処へ行ってみよう。
目印の桜らしきものが見つかったら、根元をスコップで掘ってみよう。姫の言う『たからもの』とは一体何なのだろう。
「なにがでるかななのですー」
ふらふらと歩く姫に手を振っていたはずの純白の少女の姿は、現れたときと同じにいつの間にか消えている。
桜吹雪の舞う中、帯に折り紙のバラを飾った薄紅の着物の少女が歩く。
「いいにおい」
ふらふらと近づいたのは、宴の場の一角、持ち込んだカップ入りのカレーヌードルに保温水筒のお湯を注いで出来上がりを待っていた萌とユウの傍。
「食べる?」
近づいてきた少女に、萌は人懐っこく話しかけた。大きく頷く少女の分のカレーヌードルのカップを取り出しお湯を注ぐ。
「三分待ってね」
こくこくと頷く少女の後ろ、興味津々に覗き込んで来る城の人々と目が合って、萌は思わず得意になる。こういうこともあろうかと、カレーヌードルは数個持って来た。そして更に、
「こんなことも有ろうかと!」
取り出したるはわりといつも持ち歩いているカレールー。
「厨房とか借りれるかな? え? ここで作るの?」
萌とユウと少女がカレーヌードルを食べている間に、集まった人々が手際よく即席の竈を作り、炭を入れて火を熾す。酒盛りをしていた場から持って来たらしいおにぎりや菜っ葉や焼き魚を見回し、萌は腕まくりをした。
「よし、ボクに任せて! みんなに振舞っちゃうぞー!」
手伝おうとするユウに、萌はそっと耳打ちする。
「ユウくんの音楽を聴かせてみたらどう? 何かご褒美が貰えるかもよ」
「俺?!」
「ほら、いつも何かしら音楽聴いているもん」
うーん、と考え込む振りをしてから、元来目立ちたがりなユウは大きくひとつ頷いた。篝火で囲んで作られた即興の舞台へ向かい、司会のような役割をしているらしい歌舞伎の隈取のような化粧を施した男に何事か話しかける。
「当代一の歌い手、野菜原ユウ!」
化粧の男の大仰な紹介で舞台に立ったユウは、大きく息を吸い込み――初手の音を外して観客たちから大顰蹙を買ってしょんぼり帰って来た。
「ま、こんなもん」
にししっ、といい加減に笑うユウの憎めなさに、萌はうっかり笑ってしまう。
「もう、ユウくんだなあっ」
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3人まで
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日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
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シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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