Present for you｜リアクション

Present for you

☆必勝鉛筆

　休み時間。１年５組の教室で、佐藤英二はクラスメイトの野々ののこと話していた。
「そういえば、もうすぐ期末試験だけど……野々さんは大丈夫？」
　ふと聞いてみると、ののこはぽかんとした顔になった。
「ほえ……？　まだまだ先だよね～、だ、大丈夫だよ」
　大丈夫じゃないだろう、と英二は思っていた。
　ののこの今までの成績からして、むしろ自信ありげな返答なら正気を疑いそうだ。
「油断してるとあっという間だよ？」
「ええーっ、そんなこと言わないでよー」
　ののこがちょっとしゅんとなったのを見て、英二は用意していた鉛筆を取り出した。
「とりあえず気合を入れた試験勉強は必須として。気休めかもしれないけど、お守り代わりに、この『必勝鉛筆』を進呈するよ」
　『必勝』『頑張れ！』等の文字がプリントされた鉛筆を手に、ののこは目を輝かせる。
「すごい！　サイコロ機能も完備してる！　ありがとう英二くん♪」
「あと、僕でよかったら試験勉強、手伝うよ。一部の教科はこっちもピンチだけど……みんなで勉強したら何とかなりそうな気がするよね」　
「うん、みんなで勉強すれば大丈夫だよね！」
　暢気に言うののこに、大丈夫かなあ……と思う英二。
　しかしののこの喜ぶ顔を見ていると、あまり厳しく言うのもどうかな……と思ってしまうのだった。

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