Present for you｜リアクション

Present for you

☆お弁当用のレシピノート

　終業式前の１２月のとある日の昼休み。
　鴻上彰尋は、１年５組の教室に七夜あおいを尋ねた。
「彰尋くん、どうしたの？」
「以前話をしていたレシピなんだけど、いくつか簡単な奴をまとめたノートを作ってみたので良かったらって思って」
「……ああ、あの時の。わざわざ作ってくれたの？　ありがとう！」
　ちょっと驚いたあおいの表情が満面の笑みに変わった。
「元のレシピのコピーって思ったんだけど、結構古くて文字が薄くて読みにくいとか、結構ぼろぼろで汚かったからわかりやすいようにもしたので、これなら作りやすいかなって」
「助かる、参考にさせてもらうね」
　料理が得意でないあおいに、簡単なレシピ教えようかと気軽に言ったものの、いざちゃんとしたものを渡そうと思うとなかなかに手間も時間もかかった。
　けれどそれは楽しい作業だった。
「楽しく料理してくれたら嬉しいな」
「うん、これでお弁当のレシピには困らないよ。まずは何から作ろうかな～、クリームコロッケがいいかな」
　熱心にレシピノートを広げるあおいの横顔を眺めながら、
（クリームコロッケはちょっと難易度が高いんじゃないかな……）
　言うべきか迷う彰尋だった。

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