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焚き火のある光景
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両足を揃えて
御巫 時子
はお辞儀した。
「先生、今日はよろしくお願いします」
ところが
五十嵐 尚輝
は慌てたように両手を振るのだ。
「い、いや、気にしないで……僕も、どうせ暇でしたし……」
楽しそうだと思ってもいたし、と続けて言ったところまでは聞こえたが、後は小声でゴニョゴニョつぶやくような口調になっていたため、彼が何を言おうとしていたのか、はっきりと時子には聞き取れなかった。けれどもこの場に来ることができて、嬉しそうではある。
先週、焚き火のことを聞いてすぐ、時子は尚輝を誘ったのである。すると彼はほとんど迷わず、「はい」と快諾してくれた。学校内のイベントなので、教師には引率役としてボランティアの要請があったそうだが、それに応じるとも言った。
「……みんな結構規律正しく行動していますから、あまり教師が出しゃばる必要はなさそうですね」
会場を尚輝は見回した。といっても、彼の視線は前髪の下に隠れているので、どの辺まで見回しているのか時子にはわからないが。
「先生は燃やすものはあるでしょうか?」
時子は野鳥用の古い巣箱を手にしていた。木ネジ製なので丸ごと燃やせる。といっても綺麗に焼き切るには手間がかかりそうだ。
「ないのです。科学雑誌の古いのを持ってこようかと思ったんですが……読み返したら面白くて……」
心のエンジンがかかったのだろうか、尚輝の口調が熱を帯びてきた。普段のぽつりぽつり雨だれのような調子からすると飛躍的と言っていいほどに早口になる。
「……マイナスイオンの効果を全力で否定する記事でした……いまだにリフレッシュ効果とか、信じている人がいるそうですね。そもそもマイナスイオンというのは実体のある言葉ではなく……」
尚輝にも科学の徒として、いわゆる疑似科学に対する忸怩たる思いがあるようだ。この調子でしばらく続けていたものの、やがて気がついたのか、
「……すいません。話が脇にそれすぎました」
ぺこっと頭を下げる。そして申し訳なさそうに、もさもさの髪を手でかき回していた。
「あ、いえ、いいんです。お話、ためになりましたから。むしろ先生が、焚き火で実験でもされるのかと思っていたくらいで」
「実験ですか」
再びスイッチがオンになったように、さっと尚輝は自分の顎に指をやって、
「そうですね焚き火で実験といえば、そもそもホモ・サピエンスの実験の歴史は焚き火から始まったという説もあり……かつてフランクリンは……」
またなにかブツブツと独り言しはじめたのだが、「いけない」というように彼は首を振った。
「すいません、御巫さん。僕、珍しい催しにちょっと舞い上がっているのかもしれません。変、ですよね……?」
「いいえ」
時子は笑顔だ。
「尚輝先生らしいくていいと思います」
そんな先生が好きです――とまでは言えなかった。
今日も尚輝は白衣だ。その裾が、風にはためている。
ちょうどいい機会――そう思って、
郡 トモエ
はこの場所を訪れていた。
ちょうどいいのだ、燃やすのは。ためこんできたから。そうすれば色々とはかどるだろう。
会場では何人か知り合いの顔を見た。バケツ片手の
高野 有紀
もトモエに気付いて、
「おー郡、来たな来たな。火事にならん程度にガンガン燃やしていけー」
などと発破をかけてくれる。
「はーいがんばりまーす!」
トモエは笑顔で返しながらも、感傷的な気持ちを隠していた。
手にしたファイルケースにはたくさんの紙束がある。すべて手紙だ。トモエは筆まめなので、出すのももらうのもしばしばである。トモエの郵便受けはいつだって、ミツバチの巣みたいに忙しい。
とはいえ今日持ってきたのはいずれも、実際に郵便局を通過した手紙ではない。トモエが書いたものであるのは確かだが、受け取った人は誰もいないのだ。
すなわち、出せなかった手紙である。
――出せへんかったんよね……お父さん宛とか……好きな人とか。
トモエは、父親の所在を知らない。今どこにいるかわからない以上、手紙を書いても出せるわけがない。正直に言うと、もはや彼女にとって父親は概念のようなものなのだ。
けれども書いてしまう。
元気ですか? そんな手紙を。
こんなことがありました、という近況を。
もしかしたらトモエは、父親への手紙という形をとることによって、自分の近況や経験、想いを整理しなおしているのかもしれない。
そしてまた安否を問うことで、父親をただの記憶として風化させないようにしているのかもしれない。
今日、トモエが父に出せなかった手紙の束を手にしたのは、父に対する決別を意味しているのではない。
――またきっと書いちゃうと思うから、もう古いのは焼いちゃおう……。
そんな、むしろ前向きな決定だったのである。
父親以外の男性に出した手紙もあった。
それは、心中密かに恋い慕う相手へのラブレター。
そう、出せなかったラブレターだ。
彼にならいつだって手紙は出せた。直接手渡すことも可能だし、下駄箱を探り出して入れたり切手を貼ってポストに投函することだってできたはずだ。
それを阻んだものはただ一つ、勇気が出なかったから――。
思いが募りすぎて逆に、ラブレターの文面は単純なものになっていた。
されども簡素なだけに、想いは熱烈である。
読み返してトモエ自身、頬がかあっと熱くなるのを覚えた。
――どちらかといったら今これを持っているということのほうが、他人に見られるかもしれないという危険性からすると怖いよね……!
そう考えたのでトモエはこの手紙も、燃やす予定に入れて持ってきたのである。
焚き火で燃やしてしまって一度気持ちとかをリセットしよう。灰にしてしまおう。
――次に書くラブレターはもっと上手いものがかけるよ、うん!
別に怖じ気づいたとか、そういうことはない……はずだ。
なおトモエの手紙の宛名は、『
南波 太陽
様』となっている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月19日
参加申し込みの期限
2015年10月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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