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その胸のあまりに痛きこと
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【その願いに届くのであれば】
星の綺麗な夜だった。
今日は満月。街灯が要らない星すら霞む明るい月の光を、腕に抱えた黒い髪がつややかに照らし返した。
御剣 刀
は、片手に
ルヴィア
というアンティークドールを座らせて、旧市街から星ヶ丘まで月明かりの下を散歩に出ていた。
このアンティークドールには、動いていた過去がある。刀は、その事件の顛末に、強く望みその身を請けた人形と共に、人を惹きつける自然な明りの元を歩いていた。
親友の姉の手により、また工房で綺麗にしてもらった夜より深い黒い髪。
15年ぶりに洗われた、黒を基調に赤とレースを各所に添えた、半袖に長いスカートの服。
それを纏い、半袖から見える砕けて、僅かに宝石の欠片を残した腕からは、半袖に球体関節が付いている。柔らかなウェーブに広がる長い黒髪が、月の灯りを柔らかに受けていた。
人形とは機会があれば出来るだけ一緒にいる事にしていた。
この人形は、事変を元に、見たものを覚え、“心”というものがある事を理解していたから。
今日は、寝子電に乗って星ヶ丘に来たのだが、乗っていた人は極めて少ないとは言え、その道中の人形への視線の集まり具合には、流石の刀も少し驚いた。
そんな経緯を経て、今静まり返った道を歩く──
その時、月が眩しく役に立っていないのではと思われた街灯が、きらりとステンドグラスの一片の色を反射させて、その光を刀に届けた。
「そう言えば、ここには教会があったな。
──夜の教会か。ちょっと行ってみるか」
聖堂への扉を開けば、無数の炎に模したランプが点在していた。
うっすらと柔らかなオレンジの灯りが、聖堂全体を僅かに包み込むように照らしている。
その独特の空気に、刀は一瞬踏み出す足を止めてから、再びゆっくり足を踏み入れた。
扉と区切られた祭壇との丁度中間あたりの会衆席に腰を掛け、刀はその膝にちょこんとルヴィアを乗せた。
少し落ち着くが、身が引き締まるような。その様な不思議な空間の中で、刀はその豪勢の言葉を上回るステンドグラスをゆっくりと見上げてみた。
天井に暗く、そして内側から明るく照らされたステンドグラスは、夜でありながらも優しく仄かに光を反射していた。
「綺麗だな……」
思うままを言葉に乗せてみた。零れた言葉は、吸い込まれるように空間に消えていく。
その言葉の行方に誘われるように、刀は小さく──段々普通に話す様に、言葉を溢し始めた。
「俺には叶えたい夢があって、成したい望みがある。
でもそこへ向かって手を伸ばしても届く前に消えてしまう──」
そっと、自分の手を持ち上げ、薄明かりの中で見つめる。
「速く、もっと速く、誰よりも速く、何よりも速く、あらゆる全てのものを駆け抜け、あらゆる全ての物を置き去りにしてでも俺の望みを、願いに手を届かせ掴み取りたい」
だから、自分の力は【加速】なのだろう、と。
ふと、腑に落ちるように納得をする。
「届かないと、届かないと、届いて掴まないと。
届かない事が嫌なんだ、望みの成せない事が悔しいんだ、あと一歩進めてたら届いたんじゃないのか? って疑問が消えないんだ」
見つめていた掌が、無意識に拳を作る。息を詰めた声が聖堂に残響を残して、今度はなかなか消えはしない。
「だから強くなろうと走り続けるのに何一つ届きやしない」
まるで、意思ある言葉の集合体のように。
脳内にまで響いた声の群れを、その言葉で圧し留める。
その言葉は、今までの刀の行動理念そのものだった。疑う事無く走り続けた。
しかし、その言葉にすら否定が混ざる。
「目の前で女の子が刺された、お前の力にもなれなかった、振るう刃は阻まれて斬ろうとした奴に届かない」
お前と呼んだ人形のルヴィアを見やる。
刀にとって、それは今、一番身近な“願った時に、望む手が届かなかった象徴”だった。
一番近くにあった、動いている時ずっと触れられる状況があった。
それでも、最後にはすり抜けた──違う、全力で走って届かなかったのだ。
「守りたいと望んでもこのまま何も守れず、何かを成したいと願っても何も成せず、何にも届かず俺は終わるんじゃないか、そう思う時があるんだ」
ステンドグラスを見上げていた瞳が、いつの間にか床を見つめていた。
呟いた不安と絶望にも近い感情に押し潰されそうになる。
また……同じ事を繰り返すのではないか。伸ばした手は届かずに目的は直前にして霞のように消えてしまうのではないか。
刀の中に、大きな不安が巻き起こる。
「でも……俺はそれでも先に進むんだ」
それでも、出てきた言葉は、今までとは異なる、誓いの言葉。
打ちひしがれ、手も届かず、何を望んでも何度も何度も絶望に終わり──
それでも尚、先に進むと告げた言葉。
それが、刀の中に浮かんだ不安と絶望に対する、
無骨で、そしてがむしゃらなまでに、疑いの無い答えだった。
「流石に、そろそろ帰らなくちゃな」
ルヴィアを片腕に座らせて、会衆席から立ち上がり、聖堂を後にした。
空間に名残惜しさはあるが、己の心に未練は無い。
──また、走り続ける。何度でも、願いが叶い、目的が成就されるまで。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月28日
参加申し込みの期限
2015年09月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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