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その胸のあまりに痛きこと
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【もし──が、出来たなら】
11月半ばの、もう冬にも近しい寒空の中。
夜の闇と深さを写し返した蒼月の前に、
朝鳥 さゆる
は立ち止まり、忌々しさすら感じずにはいられない心でその月を見上げていた。
大分夜も更けた。ここからなら、一つ二つ大きな道を出れば、幾らでも一晩を過ごす、行きずりの相手を見つける事が出来る。
……それが、彼女の日常だった。
今は、外見的に規則の制服ではない、二十歳前後にまで見える私服。ただでさえ大人びた長身とその様子に、身に纏うトレンチコートとマフラー、ブーツの組み合わせ。
看板の明りに映える赤い唇には、年上の異性が幾らでも集まった。
いつもならば、一夜を過ごす相手など誰でも良かった。
しかし今日は、造形こそ美しいが、翳りに染まり切った、乾いた瞳に映る月が、さゆる自身から“誰でも”という気を削いだ。
月の光がそれでも尚、聡明にこちらを照らしている。
それに意味など無いはずだった。
だが、少なくとも刹那の興に殉じる気は失せた。
家に帰る理由はなく、それでも行き場なく家のある方角へと向かう。
両親は三年前に他界した。
それ以来、巨大なクローゼットと化した家に帰る事があれば、まずシャワーを浴びて。
一歩間違えれば、泥の様に沈み込み二度と起き上がることすら拒否したくなる、都度常用する睡眠薬を喉に流し込む。
家に帰らないか、それを選ぶかの二択が主な選択肢だったさゆるは、その両方の選択肢を選ばないという、何もない心に珍しい時間を過ごしていた。
目的と言うほどでもない、家の方角へと向かう最中、月の光が僅かに何かを光らせた。
ふと、俯き歩いた顔を上げると、そこには闇夜に浮かび上がる白い壁でステンドグラスを支える大きな教会が目に留まる。
普段であれば、軽く横目で眺めて、すぐに忘れてしまう様な存在だ。
しかし今日は、夜の蒼を湛えた月の光で照らし出されるそれに、さゆるは無意識にそちらに足を踏み入れた。
巨大な聖堂内は、空高くに出ている月のお陰か、横壁から天上まで組み上げられたステンドグラスの全面を淡く照らして、僅かに床にその色を落としていた。
身廊の中央をゆっくり歩けば、さゆるはステンドグラスの淡い光に包まれた気がした。
そのまま、何もない心に何かを映すかのような、虚無に錯覚を映し出すにも似た情景を歩きながら、さゆるは会衆席の奥の一席にその身を静かに座らせる。
そのまま、さゆるは動かない。
そもそも、何か目的があったわけではない。
しかし、何故か確かにここに腰掛けている自分がいる。
さゆるは身動き一つせず。
席に腰を掛けたまま、それは時の止まった彫刻像の様に。
僅かに俯き、瞬きすら忘れて、視線を落とした瞳も、まるで動く事を忘れたかの様だった。
長い時間、それでも現実には10分と経った程度だろうか。
さゆるは静かに、誰もいない空間に、小さいながらも言葉を置き始めた。
「あたしは」
──零れた言葉は、両親が他界した3年前から始まった。
最初は、家に帰ってもいない両親の存在に穴が開き。
その内、帰るのが辛くなり、夜の街をさまよい歩いた。
12歳の、それでも年相応には見えない女性が歩く夜──そうしたら、注意を促す大人よりも、圧倒的遥かに一晩の行きずりを求める者が余りに多かった。
さゆるには一生遊んで暮らせるだけの財産がある。その為、金などは既にどうでも良かった。
さゆるは異性からの誘いを、何も感じなくなってきた自分の心を、埋め合わせるかのように利用した。
事が終わればそれっきり。
用が済んだ後の、自分を抱きとめる異性の腕は、とても気持ちが悪かった。
今の睡眠薬も他愛のない入手経路だった。精神科に向かって、不眠症の薬が出される度に“効きません”を何度も繰り返せば、簡単にそこそこの物が手に入った。
語られるのは過去から今。さゆるは他人事のように、それでも静かに言葉を落とす。
今、聖堂内には人の気配がしない。
告解室で語るような内容でもなかった。否、同じ人間に語りたいとは思わなかった。
この教会のどんな偉い人どころか、人間の全てに聞かれたいとは思わなかった。
さゆるの中で、人は自分の心を蹂躙するモノであり、
それを何とも思わず受け入れるさゆるは、明らかに自分の心を削り取っていた。
15歳にして、たった3年間をもってして──本来ならば、美しく透明な心の水に、今になってはそこにまるで巨大で薄汚れた鉛を溶かし落としたような人生。
そんな生活を、さゆるは自分の意思で受け入れた。
それは運命でも何でもなく、明らかに、もう既に治る余地も見込みの宛ても無いモノ──“宿痾”として受け入れた。
心は既に散り散りだった。
他者に蹂躙された人生。痛みを減らす為に、自分から始めたその外見で人を誘い続ける自傷行為。
ぐしゃぐしゃの、ばらばらとなってしまった、心のピースが見当たらない。
パズルピースの如く、飛び散った心の欠片。
……今の自分には、集めたところで、そんな繋ぎ方も忘れてしまって。
欠片は幾つ集めればいいのだろう。そして、それをどう繋ぎ合わせていたのかなど、今の自分には想像もつかない。
「……結局、あたしはここへ何しに来たのかしら? 自分は救われないことを確認しに来た……ってこと?」
もし……もしも、つなぎ直す事が赦されるなら、この心はまた元通りになるのだろうか……?
そう、思った時──初めてその身体が動いた。
ほんの僅かに、膝の上に乗せていた両手が、固く握られた。
俯き、僅かに隠れた表情の中で、紅を差した様な口元が“もう手遅れだと”深く深く、口角を上げた笑みを表情の中に皮肉じみた様子で刻み付ける。
そして見えない貌の中で、深くくすみきった茶色の瞳は、強く固く閉じられた。
言葉には出来ない救いの声。
もしも、ここでほんの少しでも、涙一つ流す事が出来たなら。
しかし、
願った瞳は、今はただただ枯れ果てて、
己の口元はその事実によって、更に自らを穢す様に、その笑みを深くしただけだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月28日
参加申し込みの期限
2015年09月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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