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その胸のあまりに痛きこと
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【温かき言葉】
八神 修
は、生後8ヶ月の猫、ロシアンブルーのブルーを連れて、教会内に訪れていた。
普段は足を向けることもなく、全く存在を気にする事もなかった。
気まぐれ、というのが一番適切であっただろう。
ここのステンドグラスは、寝子島の観光名所にまでなっている。
誰がいてもおかしくない時間帯だが、聖堂には修とブルー以外は誰の姿も見えなかった。
「静かな気持ちで考え事をするのに良いかもな」
改めて、静寂が耳打つ空間で修は辺りを見渡した。
無数の輝くステンドグラスの中から、聖書を題材にしたものを探す。
昔の文字の読み書きの出来ない人々にとって、ステンドグラスは文字通り、見て理解出来る聖書であった。
横壁と天上にあるステンドグラスには、新約聖書から抜き出されたものと、おそらくイエス・キリストの存在を敢えて幾何学模様に落とし込んだものとが交互に並んでいる。
その中でも修の目を引いたのは、聖母子──イエス・キリストと聖母マリアの姿を映し出すものだった。
しばし、何も思うところは無いが、じっと見つめる。
何も思うところは無いはずなのに、修は猫のブルーが声を上げるまで、ついその聖母子のステンドグラスから目を離せなかった。
会衆席には腰を掛ける事無く、修は人のいない中、ステンドグラスを鑑賞しながら立ち歩く。
途中、告解室が目に入るが、己には無縁と、あっさりと眼中になさそうに目線から外す。
修は自分の過去を振り返り“後悔する生き方はしていない”と改めて意識を振り返り、巡らせる。
そうすれば、自分の生き方は、太陽に向かって咲くひまわりの如く王道の人生だと。これからも、おそらくそうであろうと確信を持つことが出来た。
そもそも、失敗しても再発防止に余念はなく、気持ちも切り替えて引きずる事はない。
元々が、ドライな合理主義なのだろう、と自己分析をする。
それでも、幼少時代から消えなかった……亡くなった実母や兄についてはずっと負の念を抱き続けてきた。
修は、政治家である父の妾の子だった。
幼い腹違いの兄が亡くなった時、実母から引き離されるようにして、その兄の名前を奪うように引き継ぎ、この立ち位置にいる。修は元は兄の名前。最初の己の名は“秀”なのだ。
そうして、後に実母が亡くなったことを聞かされた。その時の悲しさ、余りある無力感は。
そして、最初に亡くなった腹違いの兄の立ち位置を、望まずに奪ってしまった罪悪感。
しかし、この寝子島で始まった異変のお陰で、ずっと心に繰り返してきた、どうしようもないと思い続けた切なさや、無力感や罪悪感を拭い去る事が出来た。
それらは、まさに奇跡の連続と言えた。
この島で、何名もが同じ不可思議現象を味わった中、修はその亡くなった兄と邂逅を果たした。
恨まれていると思っていた。
しかし、用意した2つの湯のみを間に挟んで、兄はむしろ自分の代わりに巻き込んでしまいその人生を変えてしまったのではないかと、修が思っていた事とは逆の胸の内を告げ、そして問い掛けた。
『秀、今の生活は、楽しいか?』
楽しい、と答えた修に、兄は表情を緩ませ、微笑んだ──微笑んで、くれたのだ。
実母とは、二回も逢える機会を得た。
一度目は、感動で身が震えた。“ずっと一人であろう”と思っていたこの身に起きた奇跡に──ただ甘えた。迷いを告げて、そして願った。
『もう一度、名前を呼んで欲しい』
呼んでもらえた──秀、と。
遠い過去に置き去りにされた“シュウ”という名前を。
二度目は、少し慣れた様子で僅かながらに雑談が出来た。
好きな女の子の事、そして実母が、あんな仕打ちをした父を尚“愛している”と言った事。
自分の想いと照らし合わせて、愛しているというその思いに、少しだがその心に理解が出来た──
「俺は……こんなにも、恵まれていたじゃないか。
こんなに暖かい存在が身近にいた──家族に……感謝を」
光が透ける聖母子のステンドグラスを前にして、小さく確かに修は呟いた。
ふと、聖堂内にブルーの鳴く声が響く。
修に知らせる様に、壁に聖母子のモニュメントが掘られ置かれた祭壇の方へと顔を向けて。
「どうした、ブルー」
修もつられる様にそちらを見つめれば、修の目には確かに見覚えがある、二つの人影が見えた。
「……………!!」
修は我が目を疑う間も取らずに、性格上めったに走る事は無い屋内を走った。
会衆席を抜け、身廊を走る。
正面から修が見た姿は、間違いなく──
「……母さん、兄さん!」
驚きから喜びへ。
しかし、もしや今すぐ消えてしまうのではないか、と。
その様な思いがかすめて、走る勢いで祭壇とこちらの境目である木の枠に手を掛けようとして。
「──……っ!」
まるで透明なガラスで遮られているかのように、伸ばした手を突き指して、修はあまりの不意打ちの痛みに、ついその場にうずくまった。
「大丈夫?」
頭の上の方から柔らかな声が聞えてくる。
修が顔を上げれば、そこには見覚えのある実母と青年の姿をとった兄の顔。
痛みよりも──嬉しさに、笑みが浮かんだ。
「お久しぶりです。
母さん……兄さん」
「その様子なら、元気なんだろうな」
兄が微笑んで、声を掛ける。
「せっかく出会えたのに、意地悪を言わないでくれ」
恐らく、この木の柵の区切りが此の世界と彼の世界との区切りなのだろう。
触れる事も出来ないが、本来なら幻覚と言われる世界であっても。
こうして“家族”と会話出来る機会を、修は幻覚ではなく“奇跡”と取った。
「兄さん。
母さんから、天国はあたたかい所だと聞いた。兄さんにとってはどうなんだ?」
「やはり……あたたかい所だな、とても。
けれど、以前逢った時。おまえの人生だと、はっきりこの心で聞いたから──だから、秀は間違っても自然死まで来るなよ?」
「もちろんだ。死んだ家族にまで、こうして逢えて。
こんなに幸せなのに、それ以外で死んでたまるか」
「シュウ、学校はどう? 好きな女の子とはどうかしら?」
「学校は、生徒会副会長になりました。
……好きな人とは、母さん──兄さんの前で……」
修の母が、鈴を転がすように小さく笑った。兄も興味ありそうに笑みを浮かべている。これは勝てそうにない……それを悟った修は、観念した様子で告げた。
「告白して、振られました──でも、まだ諦めていません」
まあ、と修の母親が表情を驚きに変える。そして、再びそれを笑みに変えて微笑んだ。
「素敵ね。シュウ、それは生きていなければ出来ない、とても素敵なこと。
だから──」
「はい。……後悔はしません。
約束、ですから」
それを聞いた修の母親と兄は、その答えに満足したように、その姿をうっすらと透明へと変えて。
修が止めようとする前にふわりと消えてしまった。
「………………」
立ち尽くす修の足元で、猫のブルーがにゃあと鳴く。
「ああ、何でもないよ、ブルー。
ただ──」
床に立つ子猫を抱き上げてそっと抱える。
「──次に逢う時は、せめて別れの言葉くらい……違うな。
是非『また、逢う日まで』と、言わせて欲しいなと思ったんだ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月28日
参加申し込みの期限
2015年09月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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