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その胸のあまりに痛きこと
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【何が為に】
まだ、朝日も昇らぬ空も暗い早朝。
そこそこに長い日課となっているトレーニングで、自分の息がいつしか白くなっているのを見た。
星ヶ丘の自動車の通った高台で、
新江 天懸
はふと物珍しそうに立ち止まる。
寝子島による走り込みを始めたのは、中学生……今もまだこの体格で中学生だが、寝子島に来てすぐのこと。
事情により、本土では暴力不純異性交友、ありとあらゆる問題行動を起こし、離婚してついた母親の元よりも、更に遠くの寝子島に住む親戚の下へ送られた。
両親が離婚する前──小学生の頃は野球部で、ランニング自体は大事なトレーニングの一環だった。
野球をやめて、寝子島に来て。走りこみは、それでも誰にも気付かれないように再開された日課だった。
最初こそ道に迷ったが、それでも夜がうっすら白み始めた頃に家を出て、星ヶ丘まで向かい、戻ってくるのは朝日が出る頃。
今でもそれを続けている。親戚の中でも気付いている者はまだいない。
今日も、いつも通りの星ヶ丘。
ただ、1点いつもと違うのは──
「……開いてやがるな」
それは、とても白を強調した建物だった。その中で、出入り口であろう、自動ドアでもない茶色の大きな扉が僅かな隙間を覗かせている。
「チッ。さすがに、この時間に扉が開いているのは無用心じゃねぇのか。
それとも、中に誰かいるのか……?」
鍵の有り無しにしても、どちらにしろ扉を閉めた方が良い事には変わりない。
天懸は中の様子を伺いに、教会の中へと足を踏み入れた。
まず目に入ったのは、横壁から天上まで全体を包むかのようにあしらわれたステンドグラスだった。
外は薄ら明るくなったとは言え、朝日は僅かな光しか差しておらず、まだ夜と言った方が遥かに近い。
それなのに、殆ど光が存在しなくても、ステンドグラスは、その僅かな光と夜の闇すらそれぞれのガラスの色に吸収して、模様が日中と変わらないほどに“そこにある”という存在を、その場にはっきり誇示していた。
何とはなしに入った天懸は、まずその存在に圧倒された。
朝日が少しずつ昇るにつれて、ステンドグラスの色味が明るくなっていく。
そこで、はたと我に返った天懸は、感銘と僅かな呆然を隠さなかった。
そして、思う。
「…毎日こんな光景を見て、神様は飽きないもんだな」
試しに口にした、それに答える者はいない。しかし、ただ静かで、そしてひたすらに光と闇の間で、風合いを変えていくステンドグラスは、確かに圧巻の一言だった。
「………………」
天懸は沈黙を隠すのをやめた。
この荘厳な空間で。毎日、毎週──神様という存在は、どれだけの人間の悩みを聞き、どれだけの人を救ってきたのだろうか。
奥に“懺悔室”の方が通りの良い告解室が目に入る。
恐らく今は席を外しているのであろう教会の偉い人に、そこで話を聞いてもらえることも出来るのだろう。
──だが、天懸はそれを一目見て、直ぐに興味なさそうに視界から外した。
牧師や司祭やシスターや──いくら、神に任を託された身であろうとも、“人間にはどうしようもない時がある”事を、天懸は身をもって知っていたから。
ただ──そんな、少しだけ曇り掛かったその心で、それでも。
今までの、途方も無い数であろう祈りと後悔の中に、己の後悔を1つ混ぜても良いだろうか──
これからの告白に、神様に近しい司祭の“赦します”も“アーメン”も要らない事を改めて確信する。
“祝福”だろうが“赦してもらえる”だけでは、状況も過去も未来も変わらない。それは、既にこの身に刻んで生きてきた事だから。
「俺はあの時どうすりゃよかったんだろうな」
水滴が零れるように落ちた言葉──その過去には、とある一つの家庭があった。
それは、分野を問わず様々な学問を究めた学者の一家。
父親と天懸の姉は、その研究に“人間をやめる”という言葉が相応しいほどに、文献の解読、それを基にした研究に没頭した。
しかし、母親とまだ小学生であった天懸は、そんなものはどうでも良かった。
母親と、天懸が望んでいたのは。ただただ、家族全員の温かな家庭の雰囲気。
小学生の天懸が所属していた野球のチーム戦を見に来る時だけは、その母の瞳が輝いて見えた事だけが、今でも脳裏に刻まれて忘れられない。
そして、馴染む事も相容れる事も無い中で、ついに母親が事故で姉を負傷させ、離婚への道を辿っていった。
当時、小学校五年生であった天懸の瞳は、その時より変化した。
母が自分を唯一のよすがとしている事を、一番良く分かっていたつもりだった。
だが、それでも。齢を重ねる毎に、天懸はエスカレートする様に、父と姉とは方向性と本質こそ異なるが、人としては咎められる選択を、鬱憤を晴らすかのように繰り返した。
その挙動はあまりに酷く、ついには母元から放され、親戚の寝子島に叩き込まれてからも、その態度は変わっていない。
親戚が母へ連絡を取る都度、電話を置いた後で、電話口で母が泣いていた事を聞かされたが、それでも、やめようとする気には全くなれなかった。
母を守ろうと思った。野球の試合みたいに喜ぶ姿が見たかった。文字通り島に流されても、母の期待に応えようと思った。
現実は──全て、反対巡りに回っている。
「……弱い男で、悪かった。人に縋って何も出来ない人間で悪かった」
朝の光が十字架に照らされて、その光で我に返った。
ステンドグラスが、生き返っていくように朝日の光で満ちていく。
いつもより、帰宅がだいぶ遅れたランニングの時間。
親戚には“ランニングをしている女をナンパしていた。……これにしよう”と、決めて。 天懸は、教会でのその告白を恥じ入る事すら諦めた。
「……神様か。けっ、やってられるかよ」
その言葉を最後に、出入り口の扉をしっかりと閉めて。
いつからか、深く眉を潜めたまま。
その場から親戚の家へ戻る為に。
不快じみた表情を隠す事無く、ランニングを再開して、急ぎその場を後にした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月28日
参加申し込みの期限
2015年09月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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