ある日のことでした。
寝子ヶ浜海岸の脇をとおりがかった
恵御納 夏朝は、ぱしゃり、と鳴る音を耳にしました。スマホやケータイで写真を撮影するときに鳴る、あの音です。
「なにを撮ってるのかな……?」
海になにか面白いものでもあるのかな? なんて思いつつ、なんとはなしに砂浜へ目をやりますと。
「……ええっ!?」
「うニャ? やあ、お嬢さん!」
流木にちょこんと腰かけ、スマートフォンでぱしゃぱしゃ自撮りをしておりますのは……顔と足、尻尾は黒くて、身体は真っ白毛並み。
大きなバックパックを背負い、年季が入ったハットをすっぽりとかぶった、一匹の『
ねこ』でした。
猫、ではありません。ややこしいですけれど、『ねこ』です。ねこは二本の足で立って歩いて、人間のようにおしゃべりするのです!
夏朝も幾度となく不思議な
あれこれと遭遇する中で、たくさんのねこたちにお目にかかったことがありました。
とはいえ、ここは寝子島。歩いてしゃべるねこがうろうろしていたら、神魂も不思議現象も知る由のない普通のひとが、ぎょっとしてしまいます。夏朝はちょっぴり慌てて、ねこに声をかけました。
「き、君、どうしたの? こんなところで……ねこネコ王国から来たの? それとも天界から?」
「オレがどこから来たのかって? ふっ。忘れっちまったニャァ」
ぴゅうと口笛をひと吹き、ねこはクールにうそぶきます。
「オレの名は『
レオ』。旅ねこのレオ! まぼろしの『
ねこだい文明』を求めて、世界中を旅しているのニャァ!」
ばばん!
「ね……ねこだい文明!!」
古代文明? いいえ、ねこだい文明です!
なんとも魅力的な響きに、左手の猫パペットハルくんといっしょに口をぽかんと開けた夏朝。つぶらな瞳がぴかぴかりんと輝き始めます。
「はるかニャ昔、世界中に散っていったねこたちは、決して歴史の表舞台には現れず、その痕跡のみを各地に残してきた……そしてこの寝子島にも、
ねこだい文明の遺物が埋もれていると突き止めたのニャ!」
ばばん!
レオと名乗ったねこは、ふむにゃん。としばし考え込んだ後、わくわくする夏朝へ提案しました。
「どうだい、お嬢さん。これもニャにかの縁、ちょいと手伝ってはくれないかニャ?」
「てつだう?」
「これとおニャじようなものが、寝子島のあちこちにも隠されているらしい。探すのを手伝ってほしいニャ」
彼が夏朝に見せてくれたものは、陶器の破片のような、それでいてなにかの部品、あるいはパズルのピースのようにも見える、なにやら不思議な品物です。
薄いピンク色の滑らかな表面には、可愛らしいねこの顔が描かれていました。
「どうニャ? わくわくしてこニャいか? 見つけてくれたら、ニャにかお礼はするんニャぜ」
「寝子島で、ねこだい文明の遺物探し……かぁ」
スケールの大きくなってきた話に、夏朝は遠い空の下でにゃんにゃかにゃんとのんきな古代ねこたちを想像して、ほんわかふわん。思わず微笑んでしまうのでした。
「なんだか楽しそう……!」
初夏の寝子島。
新たな冒険の始まりを告げる強い風が、びょうと吹き抜けていきました。
そして。
「……あいつは……」
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドには、恵御納 夏朝さんにご登場いただきました。
ありがとうございましたー!
(ご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、自由なアクションでどうぞ!)
このシナリオの概要
今回は、先日公開された『そうなんです。』のリアクションにちょろっと登場しました、
『ねこだい文明』を、もっと深く掘り下げてみよう! というシナリオになります。
2~3回のシリーズシナリオを予定しています。
とはいえ、上記シナリオとの関係はほんのちょっぴりなので、読まなくっても全然大丈夫です。
どなたもお気軽にご参加くださいませ~!
ちなみに『ねこ』は、こんなシナリオやこんなシナリオ、こんなシナリオにも登場しています。
かわいいよ!
寝子島を訪れた、自称旅ねこの『レオ』。
まぼろしのねこだい文明を求めて世界中を旅していると語る彼は、
寝子島に埋もれているというその遺物の捜索を皆さんに頼んできました。
ねこだい文明の遺物は、陶器のような石のような金属のような不思議な感触の、謎の物体です。
それ単体ではなんなのかよく分からない代物で、なにかの欠片、または部品、
あるいはパズルのピースのようにも見えます。
全てが揃うことで、ひとつの物品として完成するようです。
そして、同じ頃。
寝子島のあちこちで、二本足で立つ『ねこ』の幻が目撃されている、という噂が、
ねこったーなどのソーシャルメディアを中心に広がり始めています。
神魂の影響? それとも遺物の能力?
実は、どうやらねこだい文明の遺物に触れたり、その周囲をとおりがかると、
ねこの幻が宙に浮かび上がるようなのです。
これらの幻は遺物を探すヒントになるものの、一般人が目にしたら、ちょっと驚いてしまうかもしれません。
早急な解決が望ましいでしょう。
情報は、レオがスマホで逐一ねこったーなどに流しているので、
レオとの出会いがきっかけでなくとも、ネットで情報を得たり、あるいは直接遺物を探したり見つけたり、
といった形でのご参加もOKです。
アクションでできること
ご参加の際は、遺物を探す・入手するための行動や、遺物が集まったらなにが完成するのか? といった予想などをお書きください。
●ねこだい文明の遺物を探す
遺物はいくつもあり、寝子島のあちこちに存在しているようです。
フツーにそのへんに落ちてたり、誰かが所有していたり、どこかのお宅の神棚に祀られていたりします。
以下は場所と状況の一例です。周辺にはねこの幻影が現れているようです。
詳細はねこったー等の情報や口コミで広がっており、参加者は誰でも確認することができます。
<遺物の場所一例>
・シーサイドタウン。寝子島高校の北校舎付近のどこかにしまい込まれているようです。
・旧市街のとある名家。頑固おやじが趣味の骨董品集めの一環として所有しています。
上手く説得すれば譲ってもらえるかも?
・星ヶ丘地区。とあるオシャレな雑貨店で、お店の飾りとしてディスプレイされています。
・九夜山。三夜湖周辺のどこかに落ちているようです。
ほかにも、探せばいろんなところで見つかることでしょう。
<遺物について>
ねこだい文明の遺物はたくさんあり、組み合わせることでひとつになります。
組み合わさるとどうなるのかは、レオくんも知らないそうです。
はたして、いったいなにが出来上がるのでしょうか?
遺物を見つけたら、寝子ヶ浜海岸にいるレオに届けてあげてください。
見つけてくれたら、なにかお礼をしてくれるそうです。
●レオと話す
探し物の途中、休憩がてらにレオとおしゃべりすることもできます。
世界中を旅してきたと語る彼の話を聞いてみるのも良いでしょう。
NPCについて
○レオ・オブリーオ
二本足で歩く『ねこ』。顔、耳、手足と尻尾が黒くて身体が白い、猫種としてはシャムに似ています。
ねこだい文明を探してずっと旅をしているそうで、出身は『忘れてしまった』とのこと。
人当たりは気さく。でも皮肉屋なところもあり、クールねこを気取っています。
機械の類に強いようで、スマホで各地の写真を撮ったり、ニャンスタにアカウントを持ってたりします。
寝子ヶ浜海岸にいますが、「ひとに見つかるようなヘマはしニャいぜ」だそうです。
○テオドロス・バルツァ
思わせぶりに遠くからレオを見つめている彼は、今回のリアクションには登場しません。
はたして、どんな関係なのか? つーか、関係あるのか?
真相はそのうち明かされる……かも!
以上になります。
今回は、導入編。レオくんといっしょに、ねこだい文明を巡る冒険へ出かけてみませんか?
それでは、皆様のご参加をお待ちしております~!