夕暮れの旧市街、そのレトロな街並みの中に
すっかりと溶けこむ一軒の豆腐屋があった
古びた外観、辺りに漂う大豆の匂い
・・どこからかあの独特な笛の音が聞こえてくるような感じさえする
そんな豆腐屋の中を覗いてみると、一人の男性が笑顔で声をかけてきた
「いらっしゃい、今日は何をお求めかな?」
そうなんですか。でもこの旧市街の雰囲気によく合う気がします。
あたし、寝子島出身じゃないから分かるんです。此処と此処の外は、何だか時間の流れも空気も違う。
…出来れば、変わらないで欲しいなあ…。
(古びない物なんてないんだけど、と苦笑交じりに呟いて笛を見つめ)
え?あぁ、あたしなら大丈夫ですよ。大した趣味もないし、制服やジャージがあるから私服もそんなに多くないし。
(まさか両親が娘の居場所を桜花寮と勘違いしている分、送金に差額が生じていることなど言える筈もなく、ただ手をひらひらさせて笑うだけで)
(相手の言葉に一度慌てて首をぶんぶん縦に振り)
も、勿論です、お金払わないのは流石にちょっとあたしも気が引けちゃうし…。
でも、これって結構産業廃棄物になっちゃうんですよね?聞きかじり、ですけど。
勿体無いし、レシピいっぱい覚えて、皆が好きになってくれたらもっと買いに来ます。
安価で沢山買って行けるのはとてもありがたいですから。
時々沢山必要になることもあるし、その時は連絡させてもらいますね。
(持っていた鞄の中からメモ帳とミニペン取り出し)
えと、此処の電話番号教えてもらっていいですか?