夕暮れの旧市街、そのレトロな街並みの中に
すっかりと溶けこむ一軒の豆腐屋があった
古びた外観、辺りに漂う大豆の匂い
・・どこからかあの独特な笛の音が聞こえてくるような感じさえする
そんな豆腐屋の中を覗いてみると、一人の男性が笑顔で声をかけてきた
「いらっしゃい、今日は何をお求めかな?」
(少々音量に驚きはしたが故郷でも聞いた事があるような何処か懐かしい音に思わずはしゃいでぱちんっと手を合わせ)
わぁ、多分これですっ。庚くんが言ってたの。
あ、はい。皆食べ盛りだし、猫鳴館の生徒だけじゃなくてお客さんでも食費払ってくれる人には食べてもらってるからいつも大量に作らなくちゃならなくて。
あんまりお金の無駄遣いは出来ないからお肉の代わりにお豆腐使うことも多いし。足りなければあたしみたいな買い出し班が自費で出してる部分もありますけど。
えと、おからは…とりあえずお豆腐一丁分くらいでお願いします。
(ちょっとどきどきしつつ相手の手元を見て)