……ん。
人波が肌に合わない奴らの居場所って所か。
吹けば散る溜まり場。生徒会に目をつけられるような事はご法度な。
後は好きにすればいい。寝ぼけて風邪だけはひくなよ。
(瓢さんには、気付いてない様子)
(握手されつつ)
勘違いしないで欲しいな。
僕は君に何か与えたい訳じゃない。
寧ろ君から奪おうとした。
今も君の貴重な時間を奪い続けているし、「君の隣を占有する権利」も僕のものだ。僕はやりたくない事はやらない。君にどうしようが僕の自由だ。
……だからそうやって、「誰かを慰めるために人に触れる」のはよして欲しい。
僕を怒らせたくないのであれば。
……言い過ぎた。
(冴来さんと話していて楽しいと言うのを聞いて微妙な顔で聞いています)
……まあ、君は……そう思うのか……(わざとらく)
(その話は知っていると聞いて、少し息を吐き、落ち着いた顔を維持するように務め)
自分が何も出来ない事を悲しんだ王子の像は、出会った一羽のツバメに頼んだ。
「ぼくの剣のルビーを、あそこへ運んでおくれ」とね。
両目のサファイアを失って目の見えなくなった王子に心を打たれ、ツバメは王子の目となる事を誓った。そして王子の望みを叶えるために、王子の体じゅうの金箔を全て剥がした。
冬が来て、ツバメは力尽きた。その時悲しみのあまり王子の心臓は割れた。
町の人は王子のした事など露知らず、「美しくない王子は溶かしてしまおう」と、王子を溶鉱炉にくべた。
だが鉛の心臓だけは溶けなかった。
その心臓は、ツバメと一緒にごみ溜めに捨てられた。
(言い終えると、少し怒ったように)
……僕は、この話が大嫌いだ。
二人は天使に拾われ天国で幸せに暮らすとか言うが、それがなんだ。死んだあとの魂の救済なんて。
町の連中は何にも知らない。表面的な美しさばかりにとらわれて……。
(だんだん激昂してきます)
……僕が一番嫌いなのは、王子だ。
ツバメは王子が好きになった。だから力になりたかった。幸せにしたかった。でも、王子は自分の幸せを望んではいないから、ツバメは王子の……王子の願いを叶えるために、命を燃やした。
……僕が言いたいのは……。
……ツバメの気持ちも考えてやれと言うことだ……。
(そして過呼吸ぎみに。相手が制しようとしても、振り払ってでも続けます)
君は全ての人を幸せにしたいと願っておきながら、君の身近な人を悲しませているんだ。
君の友人は、君の幸せを無視した上に自分の幸せを望むような、そんな軽薄な人間だと思っているのか……?
見くびるなよ……。
僕じゃない……。
君がさっき頭に思い浮かべた「誰か」だよ。
(と言いながら、ぼろぼろ泣いてしまいます)