蜩の鳴き声がする。
盛夏特有の長い昼もそろそろ終わり、目を見張るほどの橙色が街を満たしていた。
帰り道を急ぐ学生や、買い物鞄を片手に談笑する主婦、少し疲れた顔のサラリーマンなど、様々な者が行き交う中で、ふと目を惹く虹色に足を止めることもあるだろう。
ぷかり、ぷか。
虹色のシャボン玉が漂っては弾けて消えていく。
視線だけで出所を探せば、其処は崩れかけた廃墟だ。
はて、此処は廃墟だというのに、いったい何処からきたのだろう。
首を傾げて、けれど然程の興味も湧かず去りゆく者もいるだろう。
あるいは、好奇心からそっと中を伺う者もいるだろうか。
もし、貴方が中を伺ったのなら。
『立ち入り禁止』の黄色いテープの向こう、すっかり崩れかけ苔むした廃屋の、その縁側に小さな子供が座っているのが見えるかもしれない。
オレンジ色の陽光に照らされて、ふう、とシャボン玉を飛ばした子供は楽しそうに笑った。
◆RPスレ
◆苔むした縁側でシャボン玉を拭く。
吹かなくてもいい
夕暮れ。飽きたら帰るといい。
トーチカさんはここに住んでるんですか??
羽根もかわいいですねぇ、ほんとの羽根なんですねぇ
えほん、たぶんねないこの絵本じゃないですね?。。。
家にあって弟たちが読んでいましたよ、うんと前のですけどね〜
そうです、おばけもかわいいお化けだっているんですよ、ふわっとしていたり、恥ずかしがりだったりで
ありがとう、私もお化け同士としかお話できないので嬉しいな
良いのなら遊びましょう☆ ♪シャボン玉とんだ屋根まで飛んだ〜
(歌いだす
はろー?(耳慣れぬ言葉に首を傾げ)
んーん、トーチカはここに住んでるぞ!
じーちゃんとばーちゃんがトーチカにずっとここにいてもいいよ、って言ってくれたから、ここはトーチカのおうちなのだ!
(えへん、と胸を張る。背中についた羽根がぱたぱたと自慢げに揺れた)
トーチカはお外のことあんまり知らないから、おばけを見たのもはじめてだったのだ!
んとね、えほんで呼んだおばけはまっしろで、ねないと怒るおばけだったのだ〜
でも、トーチカはこゆきのことこわくないぞ!
トーチカ、ずっとひとりでいるからこゆきとおはなしできてうれしい!
こゆき、トーチカとあそんでく?しゃぼん玉、あるぞ!
(そう言うとぱ、と手を挙げて期待に満ちた目で小雪を見上げた)
トーチカさん、というのね。日本に遊びに来られたのかしらね?
は、はろー?
(外国人と思ってる/白い髪とおツノが生えているのを不思議そうに
Σ 見えてて気づかなかったんですかー? (ズコーッ(昭和な転び方
まぁ、おばけといっても悪さや人を呪ったりする、霊とかじゃ
ありませんからね
こわい映画とかお化け屋敷、実は今も苦手です。。。(しゅん
うん?見える……のだ?
(言われたことに首を傾げて小雪を見上げる。
くしくし、と目元を擦って、それから「やっぱり見えるのだ!」と頷いて)
こゆき、こゆき……うん、覚えたのだ!
あ、えっと、トーチカの名前はトーチカって言う、ます!
旧市街だとこゆきとトーチカ、お揃いなのだな!
(と、そこまで言ってからふと、言葉の中に気になるものをみつけて)
……おばけ?
(気付いていなかったようで。
目を皿にせんばかりの勢いで見開いたあと)
……トーチカ、おばけってもっとこわいのかと思ってたのだ。
こゆきはすっごくやさしそうだから、ちょっとびっくりした!
あれまぁ、こんにちは。私が見えるのね?
(かわいい少女が出てきたのを見て会釈し
一人で住んでるの?私は三夜小雪っていいます。
迷子、だったらまぁ、成仏もできてないから
迷子なのかもしれないですね
みてのとおり霊だからお墓に住むべきかもだけど、
家族の住むおうちは旧市街にあります。
むぁ?
(突然の女性声に、緑色の筒を咥えたまま子供が目を丸くした。それからぴょん、と縁側から飛び降りて)
えっと、こんにちは、なのだ!
(それから小雪をしげしげと眺めて、首をこてんと傾げた)
んと、おねえさんはだれなのだ?
じーちゃんとばーちゃんのしりあい?
あっ、それとも、迷子さんなのだ?だったらトーチカ、地図描いてあげるのだ!
(幼子が故に矢継ぎ早に質問を忙しなくしてから、じっ……っと期待に満ちた目で小雪を見る。どうやら、久しぶりの客人に舞い上がっているようだ)
こんなところにシャボン玉が?古びたおうちの中から、
誰かがとばしているのね、いってみましょう。
こんにちは?