小萩です。
このトピックでは、PCさんの外見や雰囲気などを、小説の登場シーン風に描写します。
出演希望のPCさんは小萩宛に【登場シーンSS出演希望】の件名でメッセージを下さい。
どんなところを・どんなふうに描写してほしいか、本文でリクエストをいただければ参考にします。全部おまかせでも請け負います。
内容によっては、時間がかかったり順番が前後したりする場合もあります。
期間は特に設けませんので、気が向いたら、どうぞ。
受付をお休みする場合もありますので、その時は再開を待っていてください。
なお、プレイヤーさん一人につきPCさん一人でお願いします。
パーティー会場の片すみで、彼女は明らかに浮いていた。
年齢は中学生ほどで、おそらく今回が社交界デビューというところだろう。長い黒髪はまとめるでもなく飾り物ひとつつけるでもなく、ただまっすぐに背中に流している。メイクもごく薄いが、これは若者ならではの特権だろう。赤いアンダーハーフリムの眼鏡をかけているのが唯一、色白の整った顔立ちに華を添えていた。
彼女が浮いて見えたのは、決して地味な装いのせいではない。彼女は、その若さと裏腹に、パーティーのにぎやかさを拒絶するような空気を身にまとっていた。
「ご退屈ですか?」
私は少女に声をかけた。彼女はゆっくりとこちらに目をやり、迷うように少し間を置いてから、「はい」と答えた。その正直さに、私は苦笑してしまう。
「苦手なんです、こういうの。着飾ったり、意味もないおしゃべりをしたり。両親に行けって言われたから来たんですけど、アントアクアリウムでも見ている方がよっぽど楽しいわ」
「人間観察よりも?」
「観察する相手によります」
彼女の言葉は辛辣だった。
「こういうところって、みんな似たような事しかしないし言いませんから」
「違いない」
私が笑ってみせると、彼女は意外そうに目を見開いた。
「あの…」
「失礼、カネオと申します」
「あっ、神野美野梨です。カネオさんも、こういうパーティーって苦手なんですか?」
「はは、楽しい時もありますよ。ですが神野さんくらい若い人なら、見も知らない大人と実利の混じった話をするより、同年代のご友人と過ごす方が楽しいのは、自然な事です」
「友達なんかいません」
ひどくそっけない口調だった。そこには迷いもためらいもなく、ただ、無機質な事実を告げているだけのように聞こえた。
意外な答えとは思わなかった。今までの物言いからは、むしろ彼女らしいとさえ思えた。
「おかしい、ですよね」
彼女は初めて、ばつの悪そうな表情になった。
「でも本当なんです。友達なんて、いても面倒なだけで、一人で何かを調べたり作ったりしている方が、ずっと楽しいんです」
「それはそれは。いえ、おかしいとは思いませんよ。私の孫娘も似たような事を言います」
私がそう言うと、少女の表情が心持ち、やわらいだ気がした。
「今日は研究があると言って来ていませんが、機会があれば紹介しますよ」
「ありがとうございます」
しかしその機会は来なかった。神野家の破産の報せだけが、代わりに届いた。