「こっくりさん」
誰もがそれを聞いた事があるだろう。
中には、実行してみた・それに混ぜられた人もいるかもしれない。
寝子島高校のフツウの生徒・恵御納夏朝もその1人。
ある怪談話の時、語り手に合わせ相槌を打つようにこう言った。
『僕も、中学校でやったことあるよ。流行ってたもん』
ならば、やってみた時の状況はどうだったのか。
とじられた項をめくり…一部分を明かしてみよう。
A-1
―ある中学校にて。
『ねぇ、「こっくりさん」って知ってる?
最近流行ってるらしいんだけど―』
その場にいた、白く質素なセーラー服姿の中学生たちが
少し怖くてスリルがあり、すぐにでも試せそうな「噂」の話に色めき立ち…
放課後、興味のある子を集めてやってみようという事になった。
その中に、当時中学生だった
恵御納夏朝の姿もあった。
「こっくりさん、こっくりさん、おいでください―」
広く一般に知られている
文字を書いた紙の上で、一枚の10円玉に皆の指を乗せて行う方法が
夏朝を含めた数人の生徒により行われる。
『危なそうだし、やめたほうがいいと思う』と言いながらも
他の皆が心配だったから、半ば仕方なく参加した夏朝。
その内心は、無事に終わってほしい…という
恐怖混じりながらも周囲の無事を願うものだった。