ゾンビシナリオ中に、握利平が思い返した映画
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相棒との付き合いは12年になる。
4年間は只の顔見知り。
だが、どんなに印象の薄い知り合いも、新しい町の同じ職場で再会すれば一緒に行動する十分な理由になる。
腐れ縁の失礼な親友が出来あがりってワケだ。
30手前で頭髪に別れを告げた俺と違って、ハンサムな相棒はとにかくモテる。
ところが誰に義理立てていやがるのか、その手の女に見向きもしない。
俺はしょっちゅうダシに使われ、時においしい思いをしたりもする。
悪い事ばかりじゃない。
そういう事だ。
「ジョン? 何してるんだ?」
両手に湯気立つコーヒーカップを持った相棒が、俺に問いかける。
親切な俺は、勿論丁寧に答えてやる。
「マイク、俺等の関係を不思議がる誰かさんに、必要な説明をしてたのさ」
肩を竦める相棒からコーヒーカップを受け取ると、一口啜って俺はむせた。
「苦過ぎる。何だこりゃ?」
相棒は更に肩を竦め
「お前のリクエストだろ?」
俺の要望は却下された訳じゃなかったらしい。
日の光にもだいぶ慣れた、窓辺でモーニングコーヒーと洒落こもうか。