夜歩く人たちのある日の記録。どんな事が起きたのやら。
自分で埋める努力か……。
僕は何者にも壊されず、触れられてもけして淀む事は無く、確かに僕であったのに、いつか僕の心に大きな穴が空いてしまった……。
穴を開けた者が、責任を取らせようと僕は思った。いや、僕は嫌いになってほしかった。僕を失望させて欲しかった。そうすれば、僕はまた、僕に戻れると。
(冴来さんの冗談に冗談っぽく返します)男をたらしこむには便利だろうね。
まあでも気を付けた方がいい。不用意に好意を振り撒くのは剣呑だ。要らぬ誤解を招いて、君や回りの者を危険に晒し兼ねないよ。君はか弱い少女なのだから。
その気高い魂を失う事になる。
僕のきらいな花風冴来でいておくれ。
可愛らしい女の子が好きなのなら、君はさぞかし気に入られているのだろうね。
僕は優しさはきらいだ。この世で最も残酷なものだ。
災厄が詰まったパンドラの箱に、何故希望が入っていたと思う?
人を絶望は絶望する事もできず、永遠に苦痛の中をさ迷い続ける。
(「悪い人間である事を受け止めてもらいたいのでは?」と言われ、しばらく、沈黙して……心から吐き出すように呟きます)
言って欲しい……それでも、好きだと……。
(冴来さんの「明るくて素敵な人だ」と言う言葉に、少し嬉しそうに目を閉じて聞いています)
一緒にいるとつかれるよ……。(と言うが、穏やかな口調)
いつも笑ってて、明るくて、幸せで、この世界のすべてが好きだって顔。
僕はあれを見ていると苦しい。
僕が穢れてるって、思い知らされるし。
何よりも……誰の前でも辛いとか悲しいとは、言わない……僕の前でも。
最初はそれが気に入らなくて、泣かせてやろうと思って……。醜い本性を暴いてやろうと……思ったのに……。
(俯いて、泣きそうな声で言います)
君の姉妹愛はおぞましいほどに純粋だね。
僕もそんなふうに思えたら……こんなに苦しくは……なかったのに。
(そう言って冴来さんを見る目には涙を溜めて、弱々しい不安げな表情です)