夜歩く人たちのある日の記録。どんな事が起きたのやら。
そういうことよ。
それに、何もかも自分の思い通りになる人間と一緒にいたって
そんなのはきっとつまらないわ。
そうすることで貴方の心の空洞が埋まるかどうかは
試してみなくては分からないけれど…。
…心の空洞というものは
誰かにそれを埋めてもらおうとしているうちは
埋まらないものだと私は思うわ。
自分で埋める努力をしないうちは
心の空洞は決して埋まらないの。
利用していないわけではないわ。
特に男の人をからかうときに
この容姿はとても重宝するのよ。
なんてね。
(冗談めかしてクスクスと笑う)
うーん…。
あの子の場合、男性恐怖症とはまた違う様な気もするけれど…。
とにかく可愛らしい女の子が
何よりも好きみたいだわ。
…優しいということは、確かに愚かなことね。
だけれど、それは同時に美徳でもあるの。
貴方が自分を悪い人間だと思い
私にもそう思わせようとすることは貴方の自由。
だけれど、そんな貴方を見て
私が何を思うかもまた自由なのよ。
貴方、本当はそんな悪い人間である自分のことを
誰かに受け止めて貰いたいのではなくて?
嫌な男だなんてとんでもない。
優しくて明るい、素敵な人じゃない。
でも、そうね…。
たまに一緒に過ごすのならいいだろうけど
毎日一緒だと疲れてしまいそうではあるかな。
(申し訳なさそうに苦笑して)
…足枷だと思うこともあるかな…。
頼られたり、真っ直ぐな好意を向けられるのが
重くて面倒で、逃げ出したくなって…。
それでも、大切で守りたくて
あの子が立派な大人になりますようにって
神様に祈るぐらいには私は妹が好きよ。
例え足枷だとしても、妹は私にとって無くてはならない存在よ。