オズと名乗る少女が間借りしている部屋。
簡素なテーブルと椅子、数冊の本が置かれている。
「来る者は拒まず、去る者は追いません。
たいしたお持て成しは出来ませんが
暇潰しの話し相手程度には
なって差し上げられることかと存じます。」
…こうしていますと、何もかもが面倒に感じられていけませんね。
(小説の一文をついと指でなぞり)
『本当は誰にも嘘をつきたくない』ですか。
嘘をつくのが苦しいのであれば
嘘をつくことなど、やめてしまえば良いと思いますけれどね。
『恋愛感情など性欲の詩的表現に過ぎない』
と、私は考えますが
私のこの考えにもいずれ
変化が訪れるかもしれませんね。
(恋愛小説を読みなが
(床に置かれたキャンディにちらりと視線をやり)
…以前の利用者の忘れ物ですかね。
(たいして興味もなさそうにキャンディから視線を外し
椅子に腰掛けて読書を開始する。)