古々しくも手入れの行き届いた空手道場。
人数こそ少ないものの猛者揃いの盆倉門下たちが日々汗を流している。
土日には子供空手教室なんかも行っていたりする。
時折態度のでかい居候がやって来て指導をしたりしなかったり。
ちっ、消え・・!?
(顎を狙うアッパーに直感的に反応し、左スウェーで間一髪かわしバックステップで間合いをとり)
はぁ・・はぁ・・手厳しいなあ。痛っ!
(かわしきれず頬から軽く流血。軽く手で血を拭い)
はは、ホントに規格外だよね。鳴神くん・・まさかボクシングの心得まであるなんてさ。
これがホントのカミソリパンチって奴なのね。身をもって味わうのは初めてだよ。
これだから君との喧嘩は面白い・・(改めて拳を構え直し)
(楓の様子を目を鋭く細めながらジッと見つめて)
(ボディに入ったな…ただ、内部に直に入ってはいない。恐らくは腹筋で受け止めた、と言った所であろう)
(いくらボディに上手く入れた、としても内部まで届かなければ意味が無い。…腹筋で受け止めた以外に流しを入れたのであろう。ダメージの分散と言った所か…)
(そうであるならば、恐らくは先ほどのボディストレートの効果は薄い。ボディを狙うと言う事は長期戦を主軸にした物である)
(…ふむ、型は空手かと思ったが実戦空手であるな。型ありて型なしと言った所であろう。ボクシングと言う型に合わせてボクシングの型に変えている…)
(しかし、素早い…。すぐさま足さばきを変えて横倒しに出来る態勢にした後、流れる様な動きで顎狙いのアッパーを繰り出している)
(横倒しである為、体に捩りが入っている。そこから繰り出されるアッパーの威力は半端ではないな。こちらもまともに食らえば一撃でKOとなる代物であるな)
(やはり観察眼が鋭く、何度も頷きを入れながら二人の戦いの様子を本当に真面目に分析しながら見ている)
あーバニラなーバニラもいいよな、……――ッ!
(ドズッ、という鈍い打撃音と共に強かな衝撃。
無防備な腹部に突き刺さった一撃にヒュッ、と小さく息が漏れる。
ダメージは確かに入った。……が)
……いいパンチだ。
ボディから削ってくっつー狙いもいい。
しかし、しかしだねむる。
俺に勝ちたいんなら、迷わず顎を狙うべきだったぜ――!!
(言うが早いか、キュキュッという足鳴りの音と共に楓の上半身が掻き消える。
神速で繰り出されたその一撃は空手ではなく、相手同様ボクシングの技。
身体をほぼ横倒しにした状態で真下から相手の顎を狙う、異形の右アッパーが唸りを上げて迫る)
余はバニラが好みであるが(と、普通に返しながらキッと目を細める)
何、ボクシングを習っているのであろう。そうであるならば、その格闘技に合った型と言う物がある
自分が習っていない型を見るのも修業の一つである。そう言った観点ならばただ単にこの道場の空手だけでなく様々な格闘技をこの目で観る事が強さにもつながる事でもあるぞ
(そのまま眼光を鋭くしながらねむるの様子をジッと見て)
(バンテージの巻き方が手馴れているな…それにボディストレートであるか…先ずは内側からの攻めか…しかし、習い始めたとは言え、一瞬で上体を屈めてすぐさま攻撃に入っている…俊敏であるな)
(闘い慣れもあるのかも知れないな…下半身のバネも良く使い一気に踏み込みを入れている…まともに食らえばジワジワとダメージが蓄積される物であるな…)
(そのままコクリコクリと二度頷く)
(明星さんに視線をやり、首をかしげ)
う~ん、僕の闘い方見ても参考にはならないかもよ?
君の方が僕よかよっぽど強そうな気がするし・・
でもま、鳴神くんの暴力的な強さは良い刺激になるかもね!
僕自身未だに勝てる気全くしないし(くすくす笑いながら)
う~ん、グラブとかはいいや。
ただ、拳痛めちゃやだからバンテージだけ巻かせてね。
(手馴れた手つきでバンデージを巻き、さっと拳を構え)
んじゃ、鳴神君に胸を借りるつもりで一発・・
ボディーブローだっ!!
(一瞬上体を屈め、下肢のバネを活かし一気に踏み込み強烈なボディへのストレートを放ち)
へェ、ボクシング始めたんか。
いいね。素人が手っ取り早く強くなるにゃ悪くない選択だ。
何ならグラブとシューズも用意しようか?
(クツクツと笑いながら楽しげに嘯き)
どれ、んじゃあお手並み拝見。
今回も一発目はサービスだ。好きなとこから打ってきな…!
(言うと緩やかに両腕を広げ、身体前面を無防備に晒す)
(明星の喋り方に一瞬「うわー何か面倒臭い奴上げちゃった」
みたいな表情になるも、すぐに元の薄ら笑いを浮かべ)
……うんっ! そうだなっ!
俺もダッツはストロベリーが至高だと思うぜ!
(とりあえずものっそい適当な相槌でお茶を濁すことにした)
ふむ、ではお邪魔をさせて貰おう
(楓に誘われる様にゆっくりと道場に入りながらその場に正座をする)
いや、何、この道場から良き声が聞こえてきてな
良き声を発すると言う事は良き指導者がいると言う事である
余は道場破りに来た訳では無くこの道場の稽古の様子を見学しに来ただけであるぞ
何、見学である。汝等の戦いぶりを見て余もそれに倣い自らの心を体を鍛える為であるぞ
ただ手合せや戦うだけでなく「手合せを見る」と言う事も修業も内に入るのである
汝等の動きを見て、次の動きを読み、先の先、そして後の先、それらの要素を複合的に念頭に置いて動く事
日常生活に置いても十分役立つ要素であるからな、なので余は道場破りと言う訳でなく見学に訪れた訳であるぞ(そう言って薄く笑って見せる)
はは・・そりゃそうだよねえ。(苦笑しつつ)
って事は今、この道場の看板は鳴神君が背負ってるわけね。
勝てる気しないなあ・・(とか言いつつ拳にバンテージを巻き始め)
でもま、鳴神君との手合わせってのも悪くないかな。
ボクシングvs空手の異種格闘技戦になっちゃうけどいい?
(静かに闘志を燃やしつつ)
あら、今日はいっぱい人が来る日だねえ。
君も道場破りかな?(にこっ)
思うにお前が言っても冗談にしか聞こえないからじゃねェかなー。
まあお察しの通り先にやっちゃったんだけどな、結構強かったぞ此処の師範。
今は看板持ってかない代わりに此処でタダ飯食らいをしている。
でだ。道場破りってんならソコで一番強い奴をぶちのめさにゃならんよなァ。
さてねむる、お前「どうするんだ」?
(ギラリ、と獰猛な笑みを浮かべる。斬りつける様な殺気を隠しもしない)
(外から掛かる声に視線をそちらに向け)
取り込み中だ、後にしろ。
……と言いてェところだが、ふぅん。成程ね。
いいぜ、入んな。
(相手の身体つきを一瞥するとニィ、と口の端を吊り上げて手招き)
(紺の胴着と袴姿でコンコンと道場の門を叩きながら)
少しお邪魔しても良いだろうか
(中に聞こえる様に腹に力を込めながら、堂々とした声を発する)
(門下生たちによる総スカンに唖然とした様子で)
あ、あれ?意外と食いつかないなあ・・
もしかして今時道場破りだなんて時代錯誤って事?
思わぬアウェイの洗礼だねえ・・(苦笑
・・にしても鳴神君がいるってのは予想できなかったよ。
もしかして先にやっちゃった感じかな?
(道場の看板を指差しながら)
ん? おー、ねむるじゃん。
何お前道場破りなんかやってんの。似合わねー。
(のそりと立ち上がり出迎える。門下生達は突然の闖入者をチラ見するも稽古を続行)
(気だるげな様子で道場の門をそ〜っと開けて)
え~っと・・失礼しま~す。
すいません。道場破りに来ました・・
(ちょっぴり申し訳なさげな様子で)
(本来師範が座るべき場所に堂々と胡坐をかいて稽古を眺めている)