木箱の中に入れられたアンティーク調のノート。
木箱の中には青薔薇の飾りがついた
ボールペンも一緒に入れられている。
ノートの一ページ目には
「言の葉ひらひら。
吐き出せないなら書き出して。
あなたの想いで私を埋めて。」
と丁寧な字で記されている。
*落書きや誰にも言えない想いなど
ご自由に書き込みをどうぞ。
小説の一文に鉛筆で薄く線がひかれていた。
生まれて来たことが罪なのか。
ここにいることが間違いなのか。
何が間違いだったのか。
悲しく切ない遺書のシーン。
答えの出ない自問自答。
その線は、酷く弱々しく震えていて
その文は私の心に凄く近くて
私と同じ想いの人が
この世界の何処かにいるのだと
安堵すると同時に悲しくなった。
あの本の元のご主人様は
どんな想いであの本を読み
どんな想いで手放したんだろう。
どうか、元のご主人様の憂いが晴れていますように。
小説の中、遺書を残して
命を絶ってしまった優しい男の子の様に
命を絶ってしまってはいませんように。
この世界の何処かで、生きてくれています様に。
もしも、線を引いたその人が
まだこの世界に存在しているのだとしたら
私は、その人に会いたい。