何年も前に引き払われた、とある個人商店の前
「貸店舗」の3文字の真下に冷めたハチワレみたいな女が1人、陣取っている。
べっこべこにヘコんだシャッターにべったり寄っかかってあぐらをかいて
まばらになった人の流れを無気力な眠い目でぼーーっと眺めている。
ボロいギターケースにすりきれたズタ袋、煌々と光るランプが傍に置かれ
ナニを聴いているのか、ヘッドホンを着けたまま…誰かが来るのを待っている。
…
(唐突ですが助っ人が到着次第、助っ人と市子の2人で1曲歌います
時間帯は夏場の暗くなり始めた頃合い
帰宅途中、夜遊びに行きがてら、ただの通りすがり、ご近所さん…
どなたも、良かったらちょっとだけ足を止めて、聴いて行きませんか?
もしも感じることがあったなら、足跡を残してくれると嬉しいです
演者は歌い終えるまで会話できませんが、ナニカ反応はする…かも
チナミに歌や演奏の飛び入り参加はごめんなさい今回ナシの方向で…)
…!
…良かった、嬉しい…♪
…貴女達の、歌が、また聞ける…!
(先程の憂いは何処へやら、ぱっと笑みを浮かべ
喜びを表現する様にその場でくるりと無邪気に回って見せる)
…放送室ジャックも、いいけど…
…目の前で聞ける、方がいいな…♪
…絶対、絶対、聞きにいくから…!
…また、会えるのを、楽しみにしてる…♪
(そう告げると酷く楽しげな様子で
夜の街へと駆け出して行った。)
…おお。コーコーセーは寝る時間だなー…(自分こそ欠伸かみころし)
(眠い目でギターをかたづけて。ランプの火を吹き消し)
あーあ。
あんたらのおかげでダイナシっすよあたしのカンペキなケーカクが。
ネコフェス当日は寝子高の放送室ジャックしたろーって思ってたのに。
お客来んならそーもいかねーじゃんやっぱ。
ギョーギ良くしなきゃいけねーじゃん。どーしてくれんだ。
…オボエテロ(呪わしい言葉を、日頃みせない屈託のない笑みで。祝う)
…
(以上をもちまして本トピックは終了とします
以後も発言して戴くことに制限は御座いませんが
鳴さんと市子は(多分)反応しませんので悪しからずご了承下さい
改めまして、足を止めてくださった皆様に、心よりお礼申し上げます
ここまでのお付き合い、有難う御座いました!)
(響に「ノロイ」で思い出されたっぽいコトにカクンと肩を落としつつ微苦笑)
そのセツはどーも。確か響っつったか。鳴のダチとはな。
…イヤ。同じガッコだしンな意外なコトでもねーのか。
…あのな。良く考えろよ鳴。
大体オマエがスゲーっつったあたしの歌は猫の鳴き声みてーなモンだ。
多かろーが少なかろーが深い浅いカンケーなく後から掴んだモンのがよっぽど…
(言いかけたものの「どーやら決まりじゃない?」に閉口。
ジト目で桃川、鳴、響と見ていき花風でピタリ。情けない顔で首を傾けて。
しまいにアタマをぐしゃぐしゃ掻きながら「あーーもーー」と溜め息)
………知らんぞ。どーなっても(ぼそっと鳴へ)
ってちょっテメっ、桃川…!(カっと赤面。とっさに明後日の方角を向いて)
…うるせーよ。コチトラ誰かサンほど心臓毛深くねんだ(つんと憎まれ口)
(花風先輩、仲村渠さん、と視線を巡らせたあと、ふっと笑い)
どーやら決まりじゃない?
ちなみに言うと、私も賛成の一人ね。
(それから獅子島さんに顔を向け、にま、と何やらいやらしげに笑みを深くする)
てーか、路上で演る度胸はあるわりにずいぶん繊細な心をお持ちなことで。
かーわーいーい♪
……と、もうこんな時間?
もうそろそろ引き上げましょうか、ね……だいぶ楽しんだし。
(ずいぶん長いことしゃがみ込んでいた。少しふらつきつつ、億劫げに腰を上げる)
ノロイ、かぁ……(考え込むように顔を伏せ)
……あたしの音とか歌なんて、市子が言うほどのものじゃないよ。
あたしが今まで手にしてきたものなんて少ないし、そんなに深く考えて歌ったことなんてなかったもの。
音楽の持つ力とか、市子と歌って初めて実感したぐらいだよ。
期待されてるのは市子の歌の方だとなー。
ネコフェスね、市子が出るならあたしはそれに乗りたいと思ってる。
きっともっと深い音に触れられる気がして……市子がよければだけど、ね。
そういうことだから(にっと口の端を吊り上げ笑う)
ノロイ・・・あ、思い出した。らっかみさん降霊会のときに一緒だった人だね!
こんなところでまた会えるなんてね~。
ネコフェス、見に行くよ。また歌聴けるの楽しみにしてる~♪
いいね。あんたも歌えんだ。
楽しみにしてんよ。いつかソイツを聴ける日が来んの。今は…養生しな。
ノロイかイワイかなんてのは時と場合による。…ヒトの都合すよ所詮。
だがノロイかもって考えてみるのはわりーコトじゃねーさ。
なんせ強すぎっと当たったモンをぶっ壊しちまうし…
サジ加減くれー覚えときてーだろやっぱ。アブネーもん。
ソレは誰も代わってやれない…結局自分にしかできないんよ。
…できるハズさ。生きたニンゲンなら。多分。分からんけど(徐々に小声)
ラクじゃーねーがそーやって手に入れたモンはなかなかだぜ。
(鳴を顎で示し)コイツの鳴らす音や歌みてーにな。…あ(←しまったってツラ)
……………(そっぽ向いて暫く黙る。観念したように溜め息)
コチラのかわいーオネーサンに期待されてっけど。どーする鳴。
…悪かったな(むす)
あたしがナニカ言う前にオマエの意思を聞いときたかったんよ。
ネコフェスともなりゃーイロイロあんだろ。もう誘われたりしてんじゃねーの?
ガッコクビんなった不良とつるむよりソッチで演った方が将来のためだぞ。
…歌は…聞くのも、歌うのも…好き…。
…私も…声が、ちゃんと、出るようになったら…
…誰かの前で…歌いたい…。
…強過ぎる、愛情は…やっぱり、呪い…なのかな…。
…ネコフェス…出ないの…?
…次のライブは…いつ…?
(桃川のドヤ顔に)…今言おーと思ってたしソレ(小声で負け惜しみ)
(心に近かったと言われて)…この曲さ。
内容だけならソレこそロクでもねー…ノロイだ要するに。
でもあんたら聴いてくれたろ。また聴きたいって言ってくれた。
良かったって拍手くれたりドヤ顔キメてくれたり(ささやかな仕返し)
ンなカンジで。生きてりゃヤなコトもあんだろーけど…
生きてっからヤな経験活かしゃー逆にヒト喜ばしたりできんだたまに。
その瞬間ノロイはイワイになんのさ。多分な。分からんけど。
今夜はあんたらが祝ってくれた。ホント…どーもな。
…つーワケで鳴。答えはとっくに出てんだ(<お役目果たせたかな?)
つまらんコト聞いた罰としてネコフェスの予定はナイショの刑に処す。
(べっと舌を出したあと。ナゼか申し訳なさそうに。残念そうに苦笑いをする)
(曲が終わって大きく息をつき、周囲の様子は視界に入るも放心状態でしばらく反応できず
拍手の音ではっと我に返る)
うあ……ごめん、ぼーっとしてた……。
えと、大丈夫……(冴来さんの様子を窺い)……かな。よかった。
なんか、運動した後みたいに疲れた……けどまだ歌い足りない、みたいな変な感じ。
市子の歌がすごかったから引っ張られちゃった。
あたし、ちゃんとお役目果たせたかな?
それにしても、聞いてもらえるのって嬉しいものね。
(見に来てくれた三人の顔を見回して微笑み)……ありがとう。
ネコフェス……は、どうなんだろ?(ちらりと市子に視線を送り)
>圭花
…うん…もう、大丈夫…。
…ありがとう…。
…泣いている所…あんまり人に…見られたくは、ないけど…
…泣いたら、結構…すっきりした…。
…色々と、吹っ切れた、感じがする…。
(拍手して)すっごく良かった!
鳴ちゃん、絵だけじゃなく歌もうまいんだね~♪
うん、泣けるのわかるよ~。
僕も美術専攻だから音楽は専門外だと思ってたけど、こういうのは美術じゃ表現できない。
なんかやってみたくなっちゃったな~。
また聴きたいな。ネコフェスにも出るんでしょ?
>獅子島さん
(演奏が終わって余韻からも立ち直ったころ。
先ほどから隣の客の様子に気付いてはいたらしく、助けを求める視線には、気まずげな表情と)
("えーーー………そこは年長者のアレコレを見せるとこでしょーー?")
(なんとも薄情な視線を返した)
>花風先輩
……あ、もう大丈夫?
まーいいことよ、音楽とか……こういう機会に泣いたりして発散しとくっていうのは。
ほんとに泣きたい時なんて、泣いてる場合じゃないことの方が多いんだから。
(ドヤ顔で纏めた……)
…!
(かけられた声に我にかえり
…えっと…ありが、とう…。
…歌が…私の心に、近かった、から…つい…。
…また…聞きたいな…。
(そっとティッシュを受け取り涙を拭って
どこか寂しげに微笑む
(足を止めてくれたひとりひとりに目を向けて
「ライブハウスのオヤジだよなさっきの」なんて思いつつソッチを見ようと…)
うおっ!?
(…したけど花風さんの涙に気がついて肩ビクっ
なんとなく鳴と桃川と響に助けを求める視線を送ってみたりジタバタしたり)
……………………………えーーーーーーっと(ズタ袋をゴソゴソ。やがて)
…泣いたらハナ出っし。バイトの残りモンでわりーけど。
(消費者金融のポケットティッシュをぶっきらぼうに差し出して。顔色をうかがう)
(このたびの路上ライブは以上となります
ご来場、ご清聴、ご協力、どうも有難う御座いました!
このトピックは5月20日ごろ終了します)
(辺りは、静まり)
………………(すーーっと、ゆっくり息を吐く)
(一角は普段どおりの…ただの。寂れた貸店舗へ戻り――――了)
――――マッテ。
マッテ――――
待って…待って…待って…待って…