夜の面だけが目立つ第3倉庫ではあるが、昼間も時折誰かがやってくることがある。
野良猫がくつろいでいたり、昨日の夜はなかった落書きが追加されていたり、探検目的で誰かが来るのだ。
鍵はかかっていないし、セキュリティーもなにもない。出入りは自由。咎める人はどこにもいない。
終わりは新たな始まり。
確かに、そういう考え方もあるわね。
でも私は、何かを捨てて前進することより
今のまま停滞を続けていたい。
…人の繋がりは、儚く、脆い。
人は忘れる生き物だから
長く離れ離れになってしまえば
共に時間を過ごしたことさえ、忘れてしまうわ…。
…私が失いたくないのはね、
本当は、たった一つの繋がりだけなのよ。
その繋がりを守る為なら
私は何もかもを捨ててしまえるの。
手にある全てを繋ぎ、護ろうとする程
私は善良な人間ではないのよ。