陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
ちっ、マゾかよてめえ……まあいいさ、そっちがその気なら揉んでやらあ
最初に言っとくが手加減は下手だからな?命乞いなんて興ざめなマネすんじゃねーぞ、せいぜい楽しませてくれや
んだよ、瓢か。神出鬼没だな
てめえも血の匂いにひかれて沸いて出やがったクチか?
ふ~ん、ファイトクラブねえ
面白そうだ、のった
歯が折れた骨が折れた上等だ、無傷の喧嘩なんてつまんねーよ
どうせ殺るんなら殺す気でやろうぜ