遊園地の敷地内にある野外音楽堂
石造りのステージでは嘗て手品やお芝居、ヒーローショーが演じられていたが、今は演者も観客もなく静まり返っている
ステージには壊れたピアノが一台打ち捨てられている……
いやいや、なんもなんも。謝んないで下さいって(手をパタパタ)
ギャップかぁ。そういうところが魅力になってるといいなぁ~☆
ん、凝ってます?
へへー、そう言ってもらえると嬉しいですわー♪
あ、作った物を出品した事はまだないですねぃ。
(蝶のイヤホンジャックを遙さんに差し出して)
もし良かったらですけど、コレ。使いますか?
オレって聴いてるジャンルがバラバラだし、知識にバラつきがあるからなぁ…。
まだまだ通までいけないかもぉ…(たはぁ…と、苦笑い)
…あ。遙さんも人混み苦手なんですねぃ。
オレも人混み苦手でー…といっても、むかーし人混みで家族とはぐれた事があって
それですんごく苦手っていう…ちょっと限定された理由なんですけど。
そっかぁ、遙さんは集中して静かに聴く方が多いんですねぃ。
…って、遙さんってミュージカルに出てたんですか??
オレ、そのフェスに行くタイミング逃しちゃったんですよねぃ…。
遙さんが歌って踊ってるの見たかったぁ…。
隣の芝生は青く見える…かぁ。
正にソレかも…。当たってると思います。
う、うーん…?いてもいなくても、揺るがない???
でも、遙さん。
時任さんは遙さんに聞かせる事で演奏を練磨してたって、ちょっと前に話してくれたし、
まったく揺るがないって事はなかったんじゃないかなぁ…。
(遙さんの顔色に気付いて、申し訳なさそうな顔になり)
う…。やっぱ言っちゃいけなかったかなぁ。
だけど嘘言っても、遙さんにはその内分かっちゃうだろうし…。ごめんね、遙さん。
なにもかもを極めすぎて、陳腐なまでに完璧に、かぁ…。
そういう人ほど本音を巧みに隠すし、どうすれば人の心を揺さぶれるか分かってるから、
ほとんどの人は奏でる音色に共感する事が出来ても、本当の意味で理解するのは困難なのかも…。
(資格はないな、という言葉に顔を曇らせて)
オレが言うのもお門違いかもしれないけど、多分…遙さんがまだ気付いてない事があって、
全部解けてないだけなんじゃないかな…?
オレは理解者ではないけど…。いくつか引っ掛かってる所があるし…。
もう少し、調べてみてもいいかもしれませんよ。