遊園地の敷地内にある野外音楽堂
石造りのステージでは嘗て手品やお芝居、ヒーローショーが演じられていたが、今は演者も観客もなく静まり返っている
ステージには壊れたピアノが一台打ち捨てられている……
…そう。
あの人は本当はずっと遠い世界で生きる人で…。
きっと、私なんかには想像もつかないくらいに
重い大切な何かをいくつも抱えて…。
あの人が私を遠ざけ様とするのは、
本当に私を思ってくれているからだと
分かっているけど…認めたくないの。
大好きなの。…愛しているの。
あの人がどんなに汚れた人でも
私は、ずっと、ずっと一緒にいたい、のに…。
(ふるふると弱々しく首を振り
私に、自由に生きる権利があるのかどうか…。
それは責任から、過去から逃げることにはならないか…。
私にはとても、判別がつかない…。
闇に独りで閉じこもって、それでも願うの。
いつか光を、って…。
許されていいわけがないのに…。
この子がまた音を奏でられる様になったら
この子を欲しがる人が現れて
この子をここから連れ出してしまったりするのかしら…。
それは、寂しいわ…。
それならいっそ、壊れたままでいて欲しい…。