本来のだんぼーるはうすに、いかにも突貫工事的な、やはりダンボールの扉がついている。
扉を開ければ、外ともつながっている、本館に比べたら若干こじんまりとした空間が広がっていた。
中には、テーブルと、同じながらもこちらの方が繊細な銀細工のワイヤー細工で組まれた籠に、今度はピンクの星の形をした飴玉が山積みになって入っている。
『防水ダンボール』なるものを入手した為に、実験的に改築工事を行ってみたらしい。
いかに防水といえど、劣化すれば建て替えを行うのだが、作った本人は満足感にあふれて、その事をすっかり失念しているもようである……
実際の部屋としては、若干のこじんまりさではあるが、人が二人とテーブルが一つある分には全く問題なさそうだ。
(話を聞いていく度に潤みかける目を我慢して、駆け去った背中にやっと安心したように涙を一筋)
話を聞く、か……でも皆、前の私と同じように『自分の周りさえ良ければいい』と言うんだよ。
だから、ここで帰結するんだ。皆、『何事も無かったののこさんの世界に戻したい』のかなって。
(両目から涙を零して)あはは……当たり前だよね。皆、ののこさんの世界に不満が無かったらそうするに決まってる。
もれいびの特性と、ろっこんと併用して、治してくれるって案もあった。けど……そうしたら同遇の他の人に対して不平等になってしまうと、間違っていても思ってしまったんだよ。他の人の苦しみはどうなってしまうのだろうと思ってしまったんだよ。
世界はいつかののこさんの世界に戻ってしまうかも知れない。
そうしたら──
──でも、そうなる前に、『話をする』という選択肢をもらったよ。……ありがとう。もらった言葉は全部、全部忘れないから。
うひゃああ!だんぼーるはうすの中に虫さんがぁっ!!
(開け放した扉からか言ってきた模様。必死で追い出さんと格闘中)